住宅購入を検討する際、「いくらまでの住宅ローンを組めるのか」「無理のない返済額は月々いくらなのか」といったことは誰もが気になるポイントですよね。本記事では、年収800万円の方に焦点を当て、借り入れできる住宅ローンの上限額や返済シミュレーションを紹介します。これから住宅購入を考えている年収800万円前後の方は、ぜひ参考にしてみてください。

年収800万で組める住宅ローンの借入額は?

一般的に、住宅ローンの借入上限額の目安は「年収の5~7倍程度」と言われています。この計算式に当てはめると、年収800万円の場合は4,000万~5,600万円が借入上限の目安です。ただし、この金額はあくまで目安であり、年収以外にも勤続年数や職業、ローンの返済期間などの条件によって借入額は異なります。

実際に自分がいくらまで借り入れできるのかを知るには、以下の2つの方法があります。

  • ●金融機関の住宅ローン審査を受ける
  • ●住宅金融支援機構の「団体信用生命保険」の基準から算出する

年収倍率から考える

住宅ローンの借入額を算出する指標の1つに「年収倍率」があります。 年収倍率とは文字通り、年収の何倍までの借入を許容するかを示した数値です。

年収倍率の計算式は、「住宅ローンの借入額 ÷ 年収」で求められます。一般的な住宅ローンの年収倍率は5~7倍程度とされていますが、 年収800万円の場合、5倍で4,000万円、7倍で5,600万円が借入上限の目安となります。

ただし年収倍率は、返済期間や金利、ボーナス払いの有無など、ローンの条件によって変動するので、この倍率はあくまで目安と考えましょう。

返済負担率から考える

住宅ローンの借入額を検討する際のもう1つの指標が「返済負担率」です。返済負担率とは、年収に占めるローンの年間返済額の割合を示した数値のことです。

返済負担率の計算式は、「年間のローン返済額 ÷ 年収 × 100」で求められ、住宅ローンの審査では、この数値が25~30%以下であることが望ましいとされています。仮に年収800万円の場合、年間返済額は200~240万円が上限となります。

金利1%、35年ローンで借り入れる場合、200万円の年間返済額となる借入額は約5,900万円、240万円だと約7,100万円が目安です。

このように、返済負担率から考えると、年収の7~9倍程度までの借り入れが妥当と言えそうです。

関連記事:住宅ローンは年収の何倍が目安?借入限度額とローンを組む際の注意点を解説

年収800万で住宅ローンを無理なく返せる額はいくら?

住宅金融支援機構の調査によると、実際の住宅ローン利用者の平均返済負担率は21.8%となっています。年収800万円の場合、年間返済額は約174万円、月々の返済額にすると約14.5万円が目安です。

ただし、この数値はあくまで平均値であり、住宅ローンを無理なく返済できると感じる金額は人によって異なります。子育て世帯や老後資金を貯めたい世帯は、返済負担率を20%以下に抑えたほうが安心です。

そこで、ローン額別のシミュレーションを行い、具体的な返済額をイメージしてみましょう。

返済方法:元利均等返済
ボーナスタイプ:ボーナス払いなし
返済期間:35年
金利タイプ:全期間固定
金利:1.0%

関連記事:住宅ローンで月々10万円の返済はきつい?返済額の決め方を解説

住宅ローンを3,000万借入した場合

年収800万円の世帯が3,000万円の住宅ローンを組んだ場合、月々の返済額は約85,000円となります。年間返済額は約102万円、返済負担率は約12.8%です。

住宅ローンを4,000万借入した場合

4,000万円の住宅ローンを借りた場合、月々の返済額は約113,000円。年間返済額は約136万円、返済負担率は17.0%となります。

住宅ローンを5,000万借入した場合

借入額を5,000万円に増やすと、月々の返済額は約142,000円に上昇。年間返済額は約170万円、返済負担率は21.2%とやや高めになります。

住宅ローンを6,000万借入した場合

6,000万円まで借り入れると、月々の返済額は約170,000円。年間返済額は約204万円、返済負担率は25.5%と適正ラインを超えてしまいます。

住宅ローンを7,000万借入した場合

さらに7,000万円まで借入額を増やすと、月々の返済額は約198,000円となります。年間返済額は約238万円、返済負担率は29.8%と高負担になってしまうため注意が必要です。

住宅ローンを8,000万借入した場合

フラット35の上限額である8,000万円まで借り入れると、月々の返済額は約226,000円。年間返済額は約271万円、返済負担率は33.9%と、かなり厳しい返済プランとなってしまいます。

頭金なしで住宅ローンは組める?

年収800万円の世帯であれば、頭金なしでも住宅ローンを組むことは可能です。フラット35をはじめ、金融機関は頭金ゼロのローン商品を取り扱っています。

ただし頭金なしでローンを組むと、当然ながら借入額が増えるため、月々の返済額や総返済額も増加します。

頭金ゼロのメリットとしては、早期の住宅購入が可能になることや、手持ち資金を他の用途に回せることが挙げられます。一方でデメリットは、総返済額が増えることや金利上昇リスクを背負うこと、審査通過のハードルが上がることです。十分なシミュレーションを行い、無理のない返済プランを立てることが大切です。

住宅ローンを借入限度額いっぱいまで借り入れするリスク

住宅ローンの審査では、年収の5~7倍が限度額の目安とされていますが、この上限まで借り入れするのはリスクが高いです。

返済負担率が30%を超えるような借入プランは、ライフスタイルの変化で返済が困難になるリスクが高まります。また金利の上昇局面では、支払利息の増加で返済がさらに苦しくなる可能性もあります。

年収800万で住宅ローンを組む際のポイント

年収800万円で無理なく返済できる住宅ローンを組むためには、以下のようなポイントを押さえておく必要があります。長期的な返済計画を立て、金利上昇など様々なリスクも考慮しておくことが大切です。

  • ●頭金を用意して住宅ローンの借入額を減らす
  • ●返済負担率は25%以内にすること
  • ●返済計画は無理のない範囲で立てること
  • ●共働き世帯の場合、片方の収入で返せる額にすること

それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。

頭金を用意して住宅ローンの借入額を減らす

住宅ローンの借入額を減らすには、頭金を用意するのが効果的です。借入額が少なくなれば、毎月の返済額を抑えられるほか、支払う利息の総額も減らせます。

近年は頭金なしでもローンを組める金融機関が増えており、フルローンを選ぶ人も少なくありません。頭金ゼロのメリットは、手持ち資金を温存できることですが、その分返済負担は大きくなります。預貯金の一部でも頭金に回せば、長期的な返済の安定につながるでしょう。

返済負担率は25%以内にすること

住宅ローンは長期の返済になるため、家計に余裕を持たせることが大切です。返済負担率が高すぎると、ライフスタイルの変化についていけず返済が滞るリスクもあります。年収に対する返済額の割合は25%以内に抑えるのが理想的とされています。この割合であれば、教育費や老後資金など他の資金計画も立てやすいでしょう。

返済計画は無理のない範囲で立てること

住宅ローンの返済計画は、将来のライフプランを見据えて立てることが大切です。 結婚、出産、教育費、老後資金など、人生の節目で必要になる資金を想定しておきましょう。

また金利上昇のリスクも考慮し、返済額の増加をシミュレーションしておくのも良いでしょう。金利が1%上昇すると、返済額は5~10%程度増えると言われています。計画的な返済を心がけ、無理のない借入額に抑えることが賢明です。

共働き世帯の場合、片方の収入で返せる額にすること

共働き世帯の場合、住宅ローンの審査では2人の年収を合算できるメリットがあります。これにより、借入可能額が増加し、より高額な物件を購入することが可能になります。また、住宅ローン控除を夫婦双方で受けられる点もメリットです。

共働き世帯の増加に伴い、配偶者側もローン控除による節税を受けたいという需要も増えているのが現状です。しかし将来的に片方が仕事を辞めることになった場合、大幅な収入減になるリスクがあります。

そのようなリスクに備えるためにも、住宅ローンの返済は、片方の収入で賄えるように設定しておくことが大切です。パートナーの収入を当てにしすぎず、万が一の状況にも耐えられる計画を立てましょう。

まとめ

年収800万円の世帯が組める住宅ローンの借入額は、返済期間や金利により変動しますが、年収の6倍程度が目安となります。返済額は月14万円前後に設定し、返済負担率は25%以内に抑えるのが理想的です。

頭金を用意することで借入額を減らせますが、無理のない返済計画を立てることが何より大切。ライフプランに基づいた計画的な返済を心がけ、資金計画に余裕を持たせることが重要です。

住宅購入時の資金計画は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談すると良いでしょう。客観的なアドバイスをもらいながら、無理のない返済プランを練っていくことをおすすめします。

ANAファシリティーズでは、住宅購入に関する無料の個別相談会を実施しています。資金計画の立て方やローンの選び方など、住宅購入の様々な疑問や不安に専門スタッフがお答えします。年収800万円前後の方で住宅購入を検討中の方は、ぜひ一度ご相談されてみてはいかがでしょうか。

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