住宅ローンでは高額な借入が可能ですが、いくらでも借りられるわけではありません。借入可能額によっては購入計画を見直す必要があるため、事前に年収の何倍まで借りられるのかを把握しておくことが大切です。
この記事では、住宅ローンは年収の何倍が目安なのか、借入可能額とは何か、ローンを組む場合の注意点などについて解説します。住宅ローンが年収の何倍組めるのか気になっている方は、是非参考にしてください。
住宅ローンは年収の何倍が目安?
住宅金融支援機構が発表した「2022年度 フラット35利用者調査」によると、住宅購入者の平均年収と各物件の所要資金を比較すると以下のような結果となりました。
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購入者の平均世帯年収
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各物件の平均所要資金
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実際のローンの借入金額
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倍率
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注文住宅
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624万円
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3717万円
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2967万円
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4.8倍
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土地付き注文住宅
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660万円
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4694万円
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4018万円
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6.1倍
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新築建売住宅
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594万円
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3719万円
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3185万円
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5.4倍
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新築マンション
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844万円
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4848万円
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3692万円
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4.4倍
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中古戸建住宅
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529万円
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3157万円
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2292万円
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4.3倍
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中古マンション
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621万円
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2704万円
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2509万円
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4.0倍
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参照:住宅金融支援機構「2022年度 フラット35利用者調査」
各物件の購入者の平均世帯年収と実際のローンの借入金額の倍率を平均すると4.83倍という結果でした。結果は平均に基づいており、一概に言い切れるものではありませんが、目安としては年収の6倍程度まで借りられると考えても問題ないでしょう。
住宅ローンの借入可能額とは
住宅ローンの借入可能額とは、住宅ローンを契約した場合にいくらまで借りることができるのかという上限額のことです。
住宅を購入する際にあらかじめ借入可能額を知っておくことで、どのくらいまでの物件を購入できるのかを把握できるため、購入を速やかに進められるでしょう。
借入可能額を計算する方法は、年収倍率から考える方法と返済負担率から考える方法の2つです。それぞれの違いを詳しく見ていきましょう。
年収倍率から考える
年収倍率とは、住宅ローンの借入額を年収で割って算出した倍率です。「住宅ローンは年収の何倍が目安?」で触れた年収の6倍というのが年収倍率のことです。
仮に年収倍率を6倍に設定した場合の住宅ローンの借入可能額は以下の通りです。
年収
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住宅ローンの借入額
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400万円
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2400万円
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500万円
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3000万円
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600万円
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3600万円
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700万円
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4200万円
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800万円
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4800万円
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900万円
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5400万円
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1000万円
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6000万円
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6倍というのはあくまでも1つの目安です。各金融機関によって設定が異なる、他の方法で借入可能額を算出している可能性があるため、それぞれの金融機関の基準や算出方法を事前に確認しておくことが大切です。
返済負担率から考える
返済負担率とは、ローンを契約する方の年収に占めているローンの返済額の割合です。1年間の全てのローン返済額を年収で割って100倍したものが返済負担率です。
返済負担率の目安は25~35%程度で、返済負担率が高いほど1年間の返済負担が大きいので注意してください。返済負担率25%の場合における年収ごとの返済額の目安、借入可能額は以下の通りです。
【返済負担率35%の場合】
年収
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毎月の返済額の目安
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住宅ローンの借入額
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400万円
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11万円
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2634万円
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500万円
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14.6万円
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3293万円
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600万円
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17.5万円
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3952万円
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700万円
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20.4万円
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4611万円
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800万円
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23.3万円
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5269万円
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900万円
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26.3万円
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5928万円
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1000万円
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29.2万円
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6587万円
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毎月の返済額は年収に35%をかけて12で割って算出した数値です。借入額は元利均等返済(審査金利4%)、返済期間35年、返済負担率35%のシミュレーション結果です。
年収倍率と同様、各金融機関で設定が違う、他の方法で借入可能額を算出している可能性があるため、それぞれの金融機関の基準や算出方法を事前に確認しておきましょう。
住宅ローンを組む際の注意点
住宅ローンを組む際は、契約後のトラブルを回避するためにも、以下の4つのポイントを押さえておくことが大切です。
年収倍率の「年収」は手取りではない
返済負担率も重要
住宅ローン完済時の年齢も考慮する
返済計画は無理のない範囲で立てること
それぞれの注意点を詳しく解説していきます。
年収倍率の「年収」は手取りではない
年収倍率で住宅ローンの借入可能額を算出する際は、総支給額、税金や保険料などが引かれた後の手取りなのかで大きく異なります。仮に、年収500万円の方の手取りが380万円だったとしましょう。
年収倍率が6倍だった場合は、500万円では3000万円が借入可能額 ですが、380万円では2280万円です。同じ年収500万円であっても、それが手取りなのかどうかによって借入上限額には約700万円の差 が生じます。
年収倍率の計算時に使用するのは総支給額が一般的ですが、総支給額で計算した場合は、手取り収入はそれよりも少なく、返済負担が重くのしかかるかもしれません。返済トラブルを防ぐためにも手取りでの計算をおすすめします。
返済負担率も重要
年収倍率よりも返済負担率のほうが重要と言えます。その理由は、返済負担率を計算する場合の年間の返済額には、住宅ローン以外の返済額も含まれているためです。
住宅ローンの契約を検討している方の中には、既に自動車ローンや教育ローンなどの他のローンを契約しているという方も少なくありません。返済負担率を計算する際は、これらの他のローンを考慮して借入可能額を算出します。
借入可能額は年収倍率よりも低い結果となるのが一般的ですが、返済負担率で算出した借入可能額のほうが実態に近い結果となるため、契約後の返済トラブルを回避できる可能性が高いでしょう。
住宅ローン完済時の年齢も考慮する
住宅ローンを契約する際は、申込時の年齢だけでなく、完済時の年齢も考慮することが大切です。各金融機関によって申込可能年齢と完済時年齢の設定に差があるので一概に言えませんが、申込可能年齢は20歳以上70歳未満、完済時年齢は80歳未満であることが多いです。
高齢になってからでも住宅ローンを契約することは可能ですが、完済までの期間が短くなるという点に注意が必要です。例えば、60歳で住宅ローンを申し込むと、完済までの期間は最長で20年となります。35年ローンの方と比較すると、分割回数が減少することによって毎月の返済負担が大きくなることに加え、返済比率が高くなることで審査が厳しくなる可能性があります。
また、高齢になってから申し込む場合、万が一の事態に備えるために加入する団体信用生命保険(団信)の審査に健康上の理由で落ちる可能性があります。団信への加入を条件としている金融機関では、団信の審査に落ちた場合は契約できません。申込時の年齢、完済時の年齢の両方をしっかり考えてから申し込みましょう。
返済計画は無理のない範囲で立てること
住宅ローンは借入額が大きいため、返済期間が長期に設定されるのが一般的です。仮に35年の返済期間で契約を締結した場合、契約当時は無理のない返済計画を立てられたと考えていても、月日の経過とともに想定外の事態により返済計画に支障が生じるということも珍しくありません。
例えば、子どもが生まれた、車を買い替えた、子どもが進学したなどのようなお金のかかるライフイベントが今後発生する、金利上昇によって返済負担が大きくなるといったように支出が増加する可能性があります。
また、病気をした、会社が倒産したなどのように収入が減少するかもしれません。どのような事態が生じても、余裕を持って返済を継続するためにも、さまざまな事態を想定した無理のない返済計画を立てられているのか考えることが大切です。
住宅ローンの返済負担率を下げるためのポイント
住宅ローンの返済でのトラブルを回避するには住宅ローンの返済負担率を少しでも下げることが大切です。住宅ローンの返済負担率を下げるためにも、以下のポイントを押さえておきましょう。
頭金を用意して住宅ローンの借入額を減らす
金利の低い住宅ローンを組む
返済期間を長く設定する
それぞれのポイントを詳しく説明していきます。
頭金を用意して住宅ローンの借入額を減らす
住宅購入に必要な資金の全額を融資するフルローン、各諸費用も含めたオーバーローンを提供する金融機関もいます。金融緩和政策によって低金利状態が続く昨今、手元に資金を少しでも残しておきたいという理由から、頭金を出さずにフルローンやオーバーローンを選択する方も少なくありません。
しかし、借入額が大きくなるほど返済負担が大きくなり、返済計画に支障が生じた場合のリスクが大きくなるので注意が必要です。少しでもリスクを軽減するには、頭金を用意して借入額を減らすことをおすすめします。
金利の低い住宅ローンを組む
住宅ローンの契約条件は、どの金融機関も同じではありません。金融機関ごとに設定金利が異なるため、少しでも返済負担を軽減したい方は、金利の低い金融機関で住宅ローンを組むことをおすすめします。
ただし、住宅ローンを契約する際は、金利の低さだけを比較するのはおすすめしません。各諸費用が高く設定されている金融機関の場合、トータルの返済負担が大きくなる可能性があります。
金利が低いかどうか、各所費用の設定が低いかどうかなどを踏まえながら総合的に条件の良い金融機関で住宅ローンを契約しましょう。
返済期間を長く設定する
毎月の住宅ローンの返済負担を少しでも軽減したい方は返済期間を長く設定するのも選択肢の1つです。返済期間を長く設定すれば、1か月当たりの返済額が小さくなるため、毎月の返済負担を軽減できます。
ただし、返済期間を長く設定した場合、それだけ利息を支払う期間が長くなるので最終的な返済負担は大きくなります。毎月の返済負担を軽減したいのか、最終的な返済負担を軽減したいのかによって最適な対策が異なるため、どのような目的なのかを明確にしてから最適な対策を選択しましょう。
まとめ
住宅ローンは借入可能額によって購入できる物件が変わってくるので事前におおよその借入可能額を把握しておくことが大切です。
年収の何倍まで借りられるのかという年収倍率、年収の何%までをローン返済に充てられるのかという返済負担率などの基準で借入可能額を計算します。
年収倍率は6倍、返済負担率は25~35%に設定されるケースが多いですが、これらは金融機関によって異なるので契約前に各金融機関がどのような条件を設定しているか確認しておきましょう。
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