不動産の購入を検討している方の中には、不動産の代金以外にどのような費用がかかるか気になっている方も多いと思います。トラブルを回避するためにも、費用を把握しておくことは大切です。
この記事では、不動産を購入する場合にかかる費用、費用を抑えるポイントなどを解説します。記事を読めば、費用の詳細や抑えるポイントなどがわかるため、余裕をもって不動産購入に臨めるほか、費用負担を抑えながら不動産を購入できるでしょう。
不動産屋に相談する際、料金はかかる?
不動産を購入する際には、不動産の専門家である不動産屋に依頼するのが一般的です。不動産屋は売主と買主を繋ぐ仲介を行っているだけでなく、売主・買主の相談にも応じています。そのため、不動産屋は相談のみ行うことも可能です。
不動産屋に相談する際、相談料が発生するのか気になるところですが、相談料を無料としている不動産屋が多いです。税務や法律などの専門外の内容は、法的にアドバイスが禁止されているため、一部応じてもらえない可能性があります。しかし、不動産の購入に関する相談や住宅ローンの相談などは基本的に応じてもらえます。
また、税理士や弁護士、ファイナンシャルプランナーといった専門家を招いて相談に応じる不動産屋もあるため、専門的なアドバイスを希望している方はそのような不動産屋に相談しましょう。
不動産屋で料金が発生するのはいつ?
不動産屋は全ての業務を無料で行っているわけではありません。不動産屋を介して成約に至った場合は、必ず料金が発生するため、資金が足りず払えないということがないように、料金発生のタイミングを把握しておくことが大切です。不動産を購入する際の主な流れは以下の通りです。
- ・相談
- ・物件の提案
- ・売買契約
- ・決済・引き渡し
物件の提案は、相談の一環として行われる業務なので料金は基本的に発生しません。料金が発生するのは、売買契約を締結したタイミングと決済・引き渡しのタイミングです。
決済・引き渡し時に料金を一括で徴収する不動産屋もあれば、売買契約の締結と決済・引き渡しの2回に分けて徴収する不動産屋もあります。
不動産屋でかかる費用は仲介手数料
不動産屋が依頼主に請求するのは仲介手数料です。不動産屋でかかる仲介手数料とは、不動産屋が家を売買したい方、賃貸したい方から依頼を受けて成約に至った場合の成功報酬です。あくまでも成功報酬なので依頼したものの成約に至らなかった場合は、仲介手数料を支払う必要はありません。
仲介手数料は依頼した不動産屋に支払います。例えば、不動産を買いたい方が不動産屋に依頼して成約に至った場合は、買主が不動産屋に仲介手数料を支払うのが一般的です。仲介手数料は売買だけではなく、不動産の賃貸においても発生します。
仲介手数料の相場
仲介手数料の相場は賃貸の場合で「家賃1か月分」、売買の場合で「成約価格の3%+6万円(税別)」が目安になります。しかし、仲介手数料は依頼する不動産屋によって違うので一概に言い切れません。
仲介手数料を無料とする不動産屋もあるため、仲介を依頼する際は仲介手数料の設定がいくらなのか事前に確認することをおすすめします。
仲介手数料には上限が設定されている
不動産屋は自由に仲介手数料を設定できるというわけではありません。宅地建物取引業法に仲介手数料の上限に関する以下の規定が設けられており、不動産屋はその範囲内で仲介手数料を設定します。
・宅地建物取引業者が宅地または建物の売買、交換または貸借の代理または媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる
・宅地建物取引業者は、前項の額をこえて報酬を受けてはならない
参照:e-GOV法令検索「宅地建物取引業法第46条1項、2項」
賃貸の場合
具体的な賃貸の仲介手数料の上限については国土交通省が以下のように定めています。
・貸借の媒介で依頼者の双方から受けられる報酬の額の合計額は、借賃の1か月分の1.1倍に相当する金額以内とする。依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、当該媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の1か月分の0.55倍に相当する金額以内とする
・貸借の代理で依頼者から受けることのできる報酬の額は、借賃の1か月分の1.1倍に相当する金額以内とする。ただし、宅地建物取引業者が当該貸借の相手方から報酬を受ける場合においては、その報酬の額と代理の依頼者から受ける報酬の額の合計額が借賃の1か月分の1.1倍に相当する金額を超えてはならない。
参照:国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」
原則賃料の1か月分に消費税10%を上乗せした家賃1.1か月分、借主と貸主の双方から受け取る場合には半分の0.55か月分と覚えておきましょう。
売買契約の場合
具体的な賃貸の仲介手数料の上限については国土交通省が以下のように定めています。
・宅地建物取引業者が売買や交換の媒介により受けられる報酬の額は、依頼者の一方につき、それぞれ、代金または価額を次の表の上欄に掲げる金額に区分して、それぞれの金額に同表の下欄に掲げる割合を乗じて得た金額を合計した金額以内とする
〇200万円以下:5.5%
〇200万円超400万円以下:4.4%
〇400万円超:3.3%
・宅地建物取引業者が売買や交換の代理で依頼者から受けられる報酬の額は、第二の計算方法により算出した金額の2倍以内とする。ただし、宅地建物取引業者が当該売買又は交換の相手方から報酬を受ける場合には、その報酬の額と代理の依頼者から受ける報酬の額の合計額が上記の計算方法により算出した金額の2倍を超えてはならない
参照:国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」
売買価格ごとの仲介手数料の目安は以下の通りです。
【仲介手数料の上限早見表】
売買価格 |
仲介手数料 |
200万円 |
11万円 |
400万円 |
19万8,000円 |
600万円 |
26万4,000円 |
800万円 |
33万円 |
1,000万円 |
39万6,000円 |
2,000万円 |
72万6,000円 |
3,000万円 |
105万6,000円 |
5,000万円 |
171万6,000円 |
仲介手数料の計算方法
先ほどの国土交通省の仲介手数料では、200万円以下、200万円超400万円以下、400万円超に分けて計算しなくてはならないので手間がかかります。しかし、売買価格が400万円を超える場合、以下の速算式を使用すれば、誰でも簡単に仲介手数料を算出できます。
仲介手数料の速算式:売買価格×3%+6万円+消費税
例えば、3,000万円のマンションを購入する場合は「3,000万円×3%+6万円」に消費税の10%をかければ105万6,000円となります。
仲介手数料以外にかかる初期費用
不動産を賃貸する場合、家賃や仲介手数料以外にも敷金や礼金などの初期費用がかかります。初期費用が高額になるケースもあるため、どのような費用がいくらかかるのかを事前に把握しておくことが大切です。不動産を賃貸する際にかかる主な初期費用は以下の通りです。
初期費用 |
費用の目安 |
詳細 |
敷金 |
家賃1か月分 |
契約終了後の原状回復費用(修繕費用)に充てられる 原状回復費用を引いて残った分は返金される |
礼金 |
家賃1か月分 |
大家さんに対してお礼の意味を込めて支払う 敷金とは異なり返金されない |
前家賃 |
家賃1か月分 |
入居する月の家賃を前払いするもの |
火災保険料 |
1.5~2万円 |
火災や水漏れなどのトラブルに備えるもの |
保証料 |
家賃1か月分 |
家賃保証会社を利用する場合に支払うもの 連帯保証人がいれば不要なケースもある |
鍵の交換費用 |
1~2万円 |
入居時に鍵を新品に交換するためのもの |
上記費用の目安は物件によって増減しますが、仲介手数料以外にも家賃5か月分程度の初期費用がかかることを想定しておきましょう。
不動産契約にかかる費用を抑えるポイント
不動産契約には仲介手数料以外にも初期費用がかかりますが、うまく工夫すれば費用負担を軽減することが可能です。不動産契約にかかる費用を抑えるポイントを賃貸と売買でまとめると以下の通りです。
【賃貸の費用を抑えるポイント】
- ・礼金なしの物件を選択する
- ・仲介手数料の安い不動産屋を選択する
- ・フリーレント物件を選択する
フリーレント物件とは、入居後の数か月間は家賃が無料の物件です。初期費用を抑えられるのが魅力ですが、無料期間終了とともにいつでも退去できるわけではなく、あらかじめ最低限の契約期間が決まっているケースが多いので注意してください。
【売買の費用を抑えるポイント】
- ・仲介手数料の安い不動産屋を選択する
- ・金利の低いローンを契約する
- ・引っ越し費用を抑える
賃貸の場合も売買の場合も、仲介手数料が安い不動産屋を選択することで、負担を抑えることが可能です。仲介手数料が安くない場合でも、交渉することで下げてもらえる可能性があります。しかし、不動産屋にとっては仲介手数料が重要な収入源であるため、交渉に応じてもらえるとは限りません。
売買は賃貸のように不動産の契約時にかかる費目が少ないため、住宅ローンや引っ越し費用などの他の費用を抑えられないか検討してみましょう。
不動産屋でかかる費用に関するよくある質問
最後に、不動産屋でかかる費用に関するよくある質問にお答えします。
Q.不動産屋での相談は無料?
不動産屋での相談は原則無料です。
Q.売買の仲介手数料の計算方法は?
仲介手数料の計算方法は売買価格によって異なります。200万円以下、5.5%、200万円超400万円以下4.4%、400万円超3.3%となっており、仮に1,000万円の場合は3段階に分けて計算します。
売買価格が400万円を超える際は「売買価格×3%+6万円+消費税」という速算式で求められます。
Q.賃貸の仲介手数料1ヶ月分は違法?
違法ではありません。不動産屋は、貸主・借主の双方から合計1ヶ月分の賃料を受領できます。それぞれの負担割合については図面に掲載されているか、掲載されていない場合は不動産屋に確認しましょう。
まとめ
不動産屋に支払う仲介手数料は、不動産屋に依頼して成約した場合のみです。そのため、成約に至るまでは原則無料で対応してくれるため、不動産の売買や賃貸などで不安を抱いている方は、不動産の専門家である不動産屋に気軽に相談しましょう。
不動産契約でかかるのは仲介手数料だけではありません。不動産屋に依頼して賃貸契約を締結した場合は、仲介手数料以外にも家賃5か月分程度の敷金や礼金などの初期費用が発生します。費用負担が大きいので負担を少しでも軽減するためにも、この記事に書かれているポイントを押さえながら契約に臨みましょう。
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