住宅ローンの借入限度額がいくらに設定されるか気になっている方も多いのではないでしょうか。借入限度額が購入額に達していない場合、購入計画に支障が生じるので注意が必要です。
この記事では、住宅ローンの借入可能額がどうやって決まるか、計算方法、借入可能額の目安、借入可能額を増やす方法などを解説します。住宅ローンの借入可能額について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
住宅ローンの借入可能額はどうやって決まる?
マイホームの購入価格は高額であるため、住宅ローンを契約するのが一般的です。しかし、住宅ローンは希望する金額を全額借りることができるわけではありません。借入可能額が決まっており、不足する場合は自己資金で補う、予算に合う物件を再度探さなくてはならないという点に注意が必要です。
住宅ローンの借入可能額は、以下の4つの条件によって変化します。
- l 年収
- l 物件の購入価格
- l 申し込み時の年齢
- l 他ローンの借入状況
それぞれの条件について詳しく見ていきましょう。
年収
金融機関が住宅ローンの借入可能額を決める際は、年収に対する年間のローンの返済額の割合(返済負担率)を判断材料の1つとしています。返済負担率は以下の計算式で算出します。
年間の合計返済額÷額面年収×100
例えば、年間の合計返済額が200万円、額面年収が600万円の方の場合、返済負担率は30%です。
返済負担率の上限は住宅ローンを提供する金融機関によって設定が異なりますが、20~40%が一般的です。年収が少ない方ほど返済負担率の上限が低く設定されるケースが多いため、年収が多い方ほど借入可能額が高くなるでしょう。
物件の購入価格
住宅ローンを契約して購入する物件の購入価格も借入可能額を決める際の判断材料となります。その理由は、物件の購入価格は担保価値と関係するためです。
住宅ローンを契約した後に返済が滞った場合、金融機関は担保にした物件を売却して融資を回収します。担保価値の低い物件の場合、売却しても融資を回収できない可能性が高いため、借入可能額が低く設定される、融資を断られるケースも少なくありません。
物件の購入価格と担保価値との乖離が少ないほど、借入可能額が高くなるでしょう。
申し込み時の年齢
申し込み時の年齢も借入可能額を決定する要因の1つです。住宅ローンを提供している金融機関は「満18歳以上満65歳未満」「最終返済時が満80歳の誕生日まで」といったように年齢条件を設けており、条件を満たしていないと住宅ローンを利用できません。
年齢条件を満たしていても、ローン完済までの期間が短くなるような年齢の場合、毎月の返済額の負担が大きくなるので借入限度額が低くなる可能性があります。
30歳代や40歳代のように収入が安定していて完済までの期間が十分あれば、借入可能額が高くなるでしょう。
他ローンの借入状況
他ローンの借入状況も借入可能額を決める際の判断材料となります。その理由は、返済負担率は住宅ローンだけでなく他ローンの借入状況も考慮するためです。
返済負担率から算出した年間の合計返済額の上限が200万円だったとしましょう。計算で算出した上限は、あくまでも住宅ローンのみ契約している場合の上限金額です。仮にマイカーローンを契約していて年間の合計返済額が50万円のケースでは、200万円から50万円を差し引いた150万円までしか認められません。
他ローンを完済してから申し込めば、借入可能額を高められるでしょう。
住宅ローンの借入可能額の計算方法
住宅ローンの借入可能額は、以下の計算式で算出することが可能です。
(年収×返済負担率の上限÷12)÷(100万円を借りた場合の毎月の返済金額)×100万円
100万円を借りた場合の毎月の返済額を計算する際は、住宅ローンを契約する際の適用金利ではなく、返済能力を確認する審査金利を使用します。審査金利は契約中に金利が上昇しても返済できる能力があるかを確認するために、3~4%程度と適用金利よりも高めに設定されているのが一般的です。
審査金利が4%に設定されている金融機関において、100万円を借りた場合の毎月の返済金額は以下の通りです。
返済期間 |
毎月の返済金額 |
10年 |
10,125円 |
15年 |
7,397円 |
20年 |
6,060円 |
25年 |
5,278円 |
30年 |
4,774円 |
35年 |
4,428円 |
年収だけでなく、審査金利や返済期間、返済負担率によっても借入可能額が変化する点に注意してください。
ANAファシリティーズでは、無料個別相談を実施しており、お借入可能額のご参考金額を算出させていただくことも可能でございます。
現在のご年収でどのくらいのローンが組めるのかを確認したい方は一度ご相談してみてはいかがでしょうか。
【年収別】住宅ローンの借入可能額の目安
年収別に住宅ローンの借入可能額がいくらになるのか目安を以下の表にまとめました。なお、計算で使用した式と条件は以下の通りです。
- l (年収×返済負担率の上限÷12)÷(100万円を借りた場合の毎月の返済金額)×100万円
- l 審査金利4%
- l 返済期間35年
- l 1万円未満は切り捨て
|
返済負担率25% |
返済負担率30% |
返済負担率35% |
年収300万 |
1,411万円 |
1,693万円 |
1,976万円 |
年収400万 |
1,881万円 |
2,258万円 |
2,634万円 |
年収500万 |
2,352万円 |
2,822万円 |
3,293万円 |
年収600万 |
2,822万円 |
3,387万円 |
3,952万円 |
年収700万 |
3,293万円 |
3,952万円 |
4,610万円 |
上記の年収別借入可能額はあくまでも一例です。金融機関によって借入可能額は異なるため、事前に確認することをおすすめします。それぞれの年収別シミュレーションを詳しく見ていきましょう。
年収300万の場合のシミュレーション
年収300万円の場合、以下の計算式で借入可能額を計算します。
返済負担率 |
計算式 |
借入可能額(1万円未満は切り捨て) |
25% |
(300万×0.25÷12)÷(4,428円)×100万 |
1,411万円 |
30% |
(300万×0.30÷12)÷(4,428円)×100万 |
1,693万円 |
35% |
(300万×0.35÷12)÷(4,428円)×100万 |
1,976万円 |
返済期間が20年だった場合、4,428円が6,060円に変わることで、以下のように借入可能額が少なくなります。
返済負担率 |
計算式 |
借入可能額(1万円未満は切り捨て) |
25% |
(300万×0.25÷12)÷(6,060円)×100万 |
1,031万円 |
30% |
(300万×0.30÷12)÷(6,060円)×100万 |
1,237万円 |
35% |
(300万×0.35÷12)÷(6,060円)×100万 |
1,443万円 |
年収400万の場合のシミュレーション
年収400万円の場合、以下の計算式で借入可能額を計算します。
返済負担率 |
計算式 |
借入可能額(1万円未満は切り捨て) |
25% |
(400万×0.25÷12)÷(4,428円)×100万 |
1,811万円 |
30% |
(400万×0.30÷12)÷(4,428円)×100万 |
2,258万円 |
35% |
(400万×0.35÷12)÷(4,428円)×100万 |
2,634万円 |
返済期間が20年の場合における借入可能額は以下の通りです。
返済負担率 |
計算式 |
借入可能額(1万円未満は切り捨て) |
25% |
(400万×0.25÷12)÷(6,060円)×100万 |
1,375万円 |
30% |
(400万×0.30÷12)÷(6,060円)×100万 |
1,650万円 |
35% |
(400万×0.35÷12)÷(6,060円)×100万 |
1,925万円 |
年収500万の場合のシミュレーション
年収500万円の場合、以下の計算式で借入可能額を計算します。
返済負担率 |
計算式 |
借入可能額(1万円未満は切り捨て) |
25% |
(500万×0.25÷12)÷(4,428円)×100万 |
2,352万円 |
30% |
(500万×0.30÷12)÷(4,428円)×100万 |
2,822万円 |
35% |
(500万×0.35÷12)÷(4,428円)×100万 |
3,293万円 |
返済期間が20年の場合における借入可能額は以下の通りです。
返済負担率 |
計算式 |
借入可能額(1万円未満は切り捨て) |
25% |
(500万×0.25÷12)÷(6,060円)×100万 |
1,718万円 |
30% |
(500万×0.30÷12)÷(6,060円)×100万 |
2,062万円 |
35% |
(500万×0.35÷12)÷(6,060円)×100万 |
2,406万円 |
年収600万の場合のシミュレーション
年収600万円の場合、以下の計算式で借入可能額を計算します。
返済負担率 |
計算式 |
借入可能額(1万円未満は切り捨て) |
25% |
(600万×0.25÷12)÷(4,428円)×100万 |
2,822万円 |
30% |
(600万×0.30÷12)÷(4,428円)×100万 |
3,387万円 |
35% |
(600万×0.35÷12)÷(4,428円)×100万 |
3,952万円 |
返済期間が20年の場合における借入可能額は以下の通りです。
返済負担率 |
計算式 |
借入可能額(1万円未満は切り捨て) |
25% |
(600万×0.25÷12)÷(6,060円)×100万 |
2,062万円 |
30% |
(600万×0.30÷12)÷(6,060円)×100万 |
2,475万円 |
35% |
(600万×0.35÷12)÷(6,060円)×100万 |
2,887万円 |
年収700万の場合のシミュレーション
年収700万円の場合、以下の計算式で借入可能額を計算します。
返済負担率 |
計算式 |
借入可能額(1万円未満は切り捨て) |
25% |
(700万×0.25÷12)÷(4,428円)×100万 |
3,293万円 |
30% |
(700万×0.30÷12)÷(4,428円)×100万 |
3,952万円 |
35% |
(700万×0.35÷12)÷(4,428円)×100万 |
4,610万円 |
返済期間が20年の場合における借入可能額は以下の通りです。
返済負担率 |
計算式 |
借入可能額(1万円未満は切り捨て) |
25% |
(700万×0.25÷12)÷(6,060円)×100万 |
2,406万円 |
30% |
(700万×0.30÷12)÷(6,060円)×100万 |
2,887万円 |
35% |
(700万×0.35÷12)÷(6,060円)×100万 |
3,369万円 |
住宅ローンの借入可能額を増やす方法はある?
借入可能額は以下の3つのいずれかの方法を選択することによって増やせる可能性があります。
- l 夫婦・家族の収入を合算する
- l 返済負担率を上げる
- l 借入期間を延ばす
それぞれの方法を詳しく説明していきます。
夫婦・家族の収入を合算する
年収別の借入可能額のシミュレーションからも分かる通り、年収が多ければ多いほど借入可能額が増えます。申込者の年収を増やすことができない場合でも、夫婦や家族の収入を合算して世帯年収を増やすことができれば、借入可能額を増やすことが可能です。
しかし、収入を合算できるのは配偶者や両親、子どものように一定の範囲に限られています。また、個人で住宅ローンを契約する場合とは異なる部分も多いため、契約条件や控除などの制度に関する理解を深めてから契約しましょう。
返済負担率を上げる
借入可能額のシミュレーションからは返済負担率が高いほど借入可能額が増えていることが分かります。そのため、借入可能額を増やしたい方は、返済負担率を上げるのも選択肢の1つです。
金融機関が定めている返済負担率の範囲内に限られますが、返済負担率を引き上げることで借入可能額を増やせる可能性があります。しかし、返済負担率を引き上げるということは、それだけ年収に占める返済額の割合が増えるため、返済負担が大きくなる点に注意してください。
借入期間を延ばす
年収や返済負担率だけでなく、借入期間も借入可能額を増やす要因になります。借入期間が長ければ長いほど借入可能額が増えるため、借入可能額を増やしたい方は、借入期間を延ばすのも選択肢の1つです。
借入期間を延ばすことで返済負担率を抑えられるため、返済負担が小さくなるというメリットもあります。しかし、支払いが長期化することで金利の影響を大きく受けることになり、総返済額が増える点に注意しましょう。
住宅ローンを借入する際の注意点
高額な新居の購入も、住宅ローンを契約することによってハードルを下げることが可能です。しかし、金融機関からお金を借りて新居を購入しているだけで、最終的には利息を上乗せして返済しなくてはならないということを忘れてはなりません。
借入可能額を増やすことができれば高額な物件を購入できますが、毎月の返済負担が大きくなることで家計を圧迫する可能性がある点に注意してください。
また、マンションの場合は管理費や修繕積立金、駐車場の利用料などの支払いが毎月発生する、戸建住宅の場合は将来の修繕に必要な費用を確保しておかなくてはなりません。
毎年固定資産税や都市計画税などの支払いも発生するため、返済計画に無理がないのか事前にしっかり確認してから契約に移りましょう。
まとめ
住宅ローンの借入可能額は、申込者の年収や物件の購入価格、申し込み時の年齢、他ローンの借入状況などによって変化します。借入可能額が物件の購入代金を下回っている場合、不足分を自己資金で補う、予算に合う物件を再度探さなくてはならない点に注意が必要です。
借入可能額は夫婦・家族の収入を合算して世帯年収を増やす、返済負担率を上げる、借入期間を延ばすことによって増やせる可能性があります。しかし、借入可能額を増やすということは返済負担が大きくなることによって家計を圧迫する可能性が高まるため、返済計画に無理がないかよく考えてから契約しましょう。
住宅ローンの契約に不安を抱いている方は「ANAファシリティーズ」に相談することをおすすめします。「ANAファシリティーズ」は住宅購入に関する無料相談を実施しています。契約に不安を抱いている方は一度相談してみてはいかがでしょうか。