住宅ローンの契約を検討している方の中には、団信とは何なのか気になっている方もいるのではないでしょうか。数多くの種類があり、人によって最適な団信が異なるため、特徴を理解しておくことが大切です。 

この記事では、団信とは何なのか、団信の種類、加入条件、加入する際の注意点やポイントなどについて解説します。団信について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。 

住宅ローンの団信(団体信用生命保険)とは

団信とは、団体信用生命保険の略称です。団体信用生命保険とは、住宅ローンに特化した保険であり、住宅ローンの返済中の契約者が死亡または高度障害を負った場合、保険金で住宅ローンの残高を完済できます。 

契約者が死亡または高度障害を負って契約者が返済できない場合は、家族が住宅ローンを返済しなくてはなりません。家族が返済できない場合は、家を手放さなくてはならないでしょう。しかし、団信に加入していれば、契約者に万が一の事態が発生しても家族は返済せずに済むので安心です。 

住宅ローンの団信の種類

団信には数多くの種類あり、どれを選択するかによって保障内容が異なるので注意が必要です。主な団信の種類として、以下の6つが挙げられます。

種類

特徴

団体信用生命保険

契約者が死亡または所定の高度障害になった場合が対象

3大疾病保障特約付き住宅ローン

一般的な団信に3大疾病(がん、急性心筋梗塞、脳卒中)が追加

8大疾病保障特約付き住宅ローン

3大疾病に5大疾病(糖尿病、高血圧症疾患、慢性膵炎、肝疾患、慢性腎不全)を追加

全疾病保障特約付き住宅ローン

一般的な団信に全ての病気、ケガによって就業できない場合が追加

がん保障特約付き住宅ローン

一般的な団信にがんと診断された場合が追加

ワイド団信

保障内容は一般的な団信と同じであるものの、持病があっても加入できる可能性がある

それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。 

団体信用生命保険

団体信用生命保険とは、一般的な団信です。住宅ローンの契約時に団体信用生命保険に加入した場合、契約者の死亡または高度障害になると、住宅ローン残高に相当する保険金が支給されて完済されます。 

高度障害には、両目の視力を全く永久に失う、言語またはそしゃくの機能を全く永久に失うといったケースが含まれます。フラット35以外の住宅ローンは団体信用生命保険の加入が義務化されており、金利の上乗せは基本的にありません。フラット35の場合は0.2%程度の金利上乗せによって加入できます。 

万が一の事態に備えておきたいものの、費用負担を抑えたい方に向いているでしょう。 

3大疾病保障特約付き住宅ローン

3大疾病保障特約付き住宅ローンとは、一般的な団信に日本人の死亡率の約半分を占めている3大疾病(がん、急性心筋梗塞、脳卒中)が追加された保険です。 

3大疾病は死亡する可能性が高いだけでなく、発症した場合は仕事ができなくなって収入が大幅に減少する可能性が高い疾病です。3大疾病保障では、がんと診断された場合、急性心筋梗塞や脳卒中を発症して手術した場合などに保険金が支給されて住宅ローン残高を完済できます。 

保障内容が充実することによって安心感が高まりますが、金利が0.20.3%程度上乗せされる点に注意が必要です。金利負担が大きくなっても、保障内容を充実させたい方に向いているでしょう。 

8大疾病保障特約付き住宅ローン

8大疾病保障特約付き住宅ローンとは、一般的な団信に3大疾病(がん、急性心筋梗塞、脳卒中)と5大疾病(糖尿病、高血圧症疾患、慢性膵炎、肝疾患、慢性腎不全)が追加された保険です。 

追加された5大疾病は重度慢性疾患で、疾病を発症すると、就労不能になる可能性があります。5大疾病が原因で1年以上就業不能状態が続いた場合は、保険金が支給されて住宅ローン残高を完済できます。 

保障内容が充実することによって安心感が高まりますが、金利が0.30.4%程度上乗せされる点に注意が必要です。生活習慣病を発症するリスクは高まっているため、万が一にしっかり備えたい方に向いているでしょう。 

全疾病保障特約付き住宅ローン

全疾病保障特約付き住宅ローンとは、一般的な団信に該当する場合と全ての病気やケガによって就業できない場合に保障対象となる保険です。 

全ての病気やケガによって就業できない状況が続いている場合、12か月間は住宅ローンの毎月返済額が保険金として支給されます。12か月以上続いている場合、住宅ローン残高に相当する保険金が支給されて完済されます。 

全疾病保障特約付き住宅ローンは無料で加入できるのが一般的です。ただし、全疾病保障特約付き住宅ローンではがんと診断されただけで保障を受けられるがん保障が含まれていない点に注意してください。全ての病気やケガにしっかり備えたい方に向いているでしょう。 

がん保障特約付き住宅ローン

がん保障特約付き住宅ローンとは、一般的な団信にがんと診断された場合が追加された保険です。診断された時点で保険金が支給されるのが特徴です。 

がん保障特約付き住宅ローンは、がん50%保障やがん100%保障のようにいくつか種類があります。がん50%保障は住宅ローン残高の50%相当額の保険金が支給されて住宅ローンの返済に充てられます。がん100%保障は残高に相当する保険金が支給されて住宅ローンを完済できます。 

がん50%保障に加入するには0.1%程度、がん100%保障は0.2%程度の金利の上乗せが必要です。一般的な団信では心配で、費用負担を抑えながらがんの保障を充実させたい方に向いているでしょう。 

ANAの住宅ローンでは、上乗せ金利なしのがん50%保証団信、上乗せき金利0.05%もしくは0.1%のがん100 保証団信をご用意しております。
詳しくはANAの住宅ローンをご確認ください。

ワイド団信

ワイド団信とは、保障内容は一般的な団信と同じであるものの、保険の加入条件が緩和されていて、持病がある方でも加入できる可能性がある保険です。 

一般的な団信に加入する場合は、健康状態を知らせる告知が必要とされており、告知内容によっては加入できません。しかし、ワイド団信は一般的な団信では加入が困難な高血圧症、糖尿病、うつ病などの持病がある方でも加入できる可能性があります。 

保障内容は一般的な団信と変わりませんが、ワイド団信に加入する際は金利が0.3%程度上乗せされる点に注意が必要です。持病があって一般的な団信への加入が困難な方に向いているでしょう。 

住宅ローンの団信への加入条件

住宅ローンの団信は誰でも加入できるわけではありません。所定の要件を満たした方しか加入できないという点に注意が必要です。 

例えば、団信は住宅ローンに加入する際や借り換え時に加入するものであるため、契約後に加入する、途中でプランを変更するといったことはできません。新規の借り入れや借り換えをする方に限られています。 

また、新規の借り入れや借り換えをする方でも、健康状態といった団信が定める所定の条件を満たさなくてはなりません。加入時に現在の健康状態や持病の有無、既往歴などを告知することが義務化されており、条件を満たしていなければ団信に加入できないので注意してください。 

健康状態に問題があって団信に加入できない方は、加入条件が緩和されているワイド団信を検討しましょう。 

住宅ローンの団信に加入する際の注意点

住宅ローンの団信に加入する際の注意点として、以下の2つが挙げられます。

  • l  住宅ローンの契約時にしか加入できない
  • l  免責事項がある 

それぞれの注意点について詳しく解説していきます。 

住宅ローンの契約時にしか加入できない

住宅ローンは新規の借り入れや借り換えのタイミングでしか加入できません。契約してから万が一に備えたいと考えても、契約後に加入することはできないので注意してください。 

契約してから加入できないだけでなく、プランを変更することも基本的にできません。そのため、保障内容を充実させたいと思っても、途中でプランを変えることはできないため、契約時にしっかりと自分に合ったプランを選んで加入しましょう。 

免責事項がある

住宅ローンの団信には免責事項が定められているのが一般的です。免責事項に該当した場合は、保険金の支払いが行われません。よくある免責事項として以下の例が挙げられます。

  • l 被保険者が保険契約後に短時間で自殺した
  • l 告知内容に誤りがあった
  • l 被保険者の故意によって高度障害状態になった

免責事項の内容は団信によって異なるため、加入を検討している団信の免責事項をしっかり確認しましょう。 

住宅ローンの団信を選ぶ際のポイント

住宅ローンの団信を選ぶ際のポイントとして、以下の2つが挙げられます。

l 保障内容で選ぶ
l 金利優遇の有無で選ぶ

それぞれのポイントについて詳しく説明していきます。 

保障内容で選ぶ

団信には数多くの種類があり、保障内容が大きく異なります。一般的な団信は死亡または高度障害になると保険金が支給されますが、がんや急性心筋梗塞、脳卒中などの死因の高い疾病はサポートされていません。 

保障を充実させるためには上記の3つをサポートする3大疾病保障特約付き住宅ローン、生活習慣病もサポートする8大疾病保障特約付き住宅ローンなどに加入すれば安心です。 

しかし、保障内容を充実させるほど金利が上乗せされて返済負担が大きくなるため、保障内容と金利負担とのバランスを考慮して、最適なプランを選択しましょう。 

金利優遇の有無で選ぶ

団信の保障内容を充実させる際は、金利負担が上乗せされるのが一般的です。しかし、団信によっては、保障内容を充実させる際に金利が上乗せされる代わりに基本部分の金利を優遇してくれる場合があります。 

基本部分の金利が優遇された場合、一般的な団信と同程度の金利で保障内容を充実させることが可能です。団信に加入する際は、金利優遇の有無も確認してから選びましょう。 

住宅ローンの団信に関するよくある質問 

住宅ローンの団信の理解を深めるために、よくある質問と回答を見ていきましょう。 

Q.住宅ローンの団信に入れない人は?

住宅ローンの団信に加入する際は、健康状態といった団信が定める所定の条件を満たさなくてはなりません。加入時に現在の健康状態や持病の有無、既往歴などを告知することが義務化されています。条件を満たしていなければ団信に加入できないので注意してください。 

Q.住宅ローンの団信は何年で支払われる?

住宅ローンの団信に加入する際は金利が上乗せされる場合があります。返済が完了するまで金利が上乗せされるため、加入にかかる費用は借入期間分を支払うことになります。また、保険金が支払われる条件は、保障内容で異なります。死亡を条件とする場合は死亡時、がんを条件とする場合はがんと告知された場合など、保障内容によって異なるため、契約前に確認しておきましょう。 

Q.住宅ローンの団信は解約できる?

一度加入した住宅ローンの団信は原則解約することはできません。解約できる団信だった場合は、一度解約すると再度加入できないので注意してください。 

まとめ

住宅ローンを提供する金融機関は、契約者に万が一の事態が発生して融資を回収できなくなる事態を回避するために団信への加入を義務化しているのが一般的です。 

団信には数多くの種類があり、種類によって保障内容が異なります。保障内容を充実させるほど、金利が上乗せされて返済負担が大きくなるため、保障内容と返済負担のバランスをよく考えてから加入する団信を選びましょう。 

住宅ローンの団信についての悩みは「ANAファシリティーズ」に相談することをおすすめします。「ANAファシリティーズ」は住宅購入に関する無料相談を実施しています。住宅ローンの団信について悩みがある方は、一度相談してみてはいかがでしょうか。

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