住宅ローンを契約している方の中には、繰り上げ返済すべきかどうか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
繰り上げ返済にはメリット・デメリットがあるため、よく考えてから繰り上げ返済すべきかどうかを判断することが大切です。
この記事では、住宅ローンの繰り上げ返済とは何なのか、繰り上げ返済すべきか、繰り上げ返済するメリット・デメリット、最適なタイミング、注意点などについて解説します。
住宅ローンの繰り上げ返済とは?
住宅ローンの繰り上げ返済とは、予定されている返済計画よりも早く一部または全部を返済することです。住宅ローンの繰り上げ返済には、以下の2種類があります。
- ●期間短縮型
- ●返済額軽減型
それぞれの違いを詳しく見ていきましょう。
期間短縮型
期間短縮型とは、繰り上げ返済によって元本を減少させて、返済期間を短縮する方法です。毎月の返済額を変わらずローンの返済を早めることが可能です。
返済期間が短くなることによって長期間にわたる利子負担を軽減できる、ローンを早期に完済することで精神的な負担を軽減できるといったメリットがあります。
繰り上げ返済をするために短期間で大きな資金を用意する必要があり、手元の資金が減少するリスクを伴うという点に注意が必要です。
返済額軽減型
返済額軽減型とは、繰り上げ返済を行うことによって元本を減少させて、毎月の返済額を減らす方法です。返済期間は変わらず、月々の負担を軽減することが可能です。
毎月の返済額が減少することによって家計に余裕が生まれる、他の投資や支出に充てる資金を確保しやすくなるといったメリットがあります。
返済期間が変わらないため、利息の支払いが長期にわたることで、総利息額があまり変化しない可能性があるという点に注意が必要です。
住宅ローンは繰り上げ返済しないほうがいい?
住宅ローンの繰り上げ返済をしないほうがいいかは一概に言い切れません。その理由は、繰り上げ返済をすべきかどうかは個々の状況や将来の計画などで大きく異なるためです。経済的な状況、金利の動向、将来のライフプランなどを考慮し、自分にとって最適な判断をしましょう。
そこで重要なのが、住宅ローンの繰り上げ返済をすることが自分にとってメリットが大きいのかという点です。次の見出しで住宅ローンの繰り上げ返済するメリット・デメリットを紹介します。
住宅ローンを繰り上げ返済するメリット
住宅ローンを繰り上げ返済するメリットは、期間短縮型と返済額軽減型でそれぞれ異なります。
自分に合った最適な繰り上げ返済の方法を選択するためにも、両者のメリットの違いについて詳しく解説します。
期間短縮型で繰り上げ返済するメリット
期間短縮型で繰り上げ返済をするメリットとして、以下の2つが挙げられます。
- ●総支払利息を軽減できる
- ●精神的な負担が和らぐ
期間短縮型では、繰り上げ返済で元本を減らし、従来よりも返済期間を短縮できます。返済期間が短くなるということは支払う利息の総額が大幅に減少するということなので、返済負担を大幅に軽減できます。
また、早期に住宅ローンを完済することで経済的な負担が軽減されます。将来の資金計画にも余裕が生まれるでしょう。
期間短縮型で繰り上げ返済をするには、ある程度の資金が必要です。そのため、安定した収入、余裕資金がある人に向いています。また、金利が高い時期に住宅ローンを契約した人の場合は、利息軽減効果が大きいのでおすすめです。子どもの教育費や老後の資金といった将来の支出が予測される場合も、期間短縮型による繰り上げ返済は精神的な安心感をもたらすので向いているでしょう。
一方、手元資金が少なく、急な出費に備える必要がある人はある程度の資金が必要な期間短縮型に向いていません。また、住宅ローン控除といった税制用のメリットを受けている人は繰り上げ返済で控除額が減少する可能性があるため、慎重に判断する必要があります。
返済額軽減型で繰り上げ返済するメリット
返済額軽減型で繰り上げ返済するメリットとして、以下の2つが挙げられます。
- ●毎月の返済負担を軽減できる
- ●資産形成の機会が増える
返済額軽減型では、繰り上げ返済で元本を減らし、従来よりも毎月の返済額を軽減できます。つまり、家計に余裕が生まれることで生活費や他の支出に充てる資金を確保できるようになるため、経済的な負担を軽減することが可能です。
また、余裕資金を他の投資や貯蓄に回せるようになるため、資産形成の機会が増えるでしょう。
返済額軽減型は、毎月の返済負担を軽減できるのが魅力であり、収入が不安定で将来的な支出が不確定な場合にリスクを軽減できます。そのため、自営業者またはフリーランスなどのような人におすすめです。また、子どもの教育費や介護費用といった将来的な支出が見込まれる家庭にも、月々の負担軽減は大きな助けとなるでしょう。
一方、契約した住宅ローンの金利が高い、総利息額が多い人には向いていません。十分な緊急資金を確保していない人は、繰り上げ返済をすることで手元資金が減少して緊急時に対応できなくなる可能性があるので注意が必要です。
住宅ローンを繰り上げ返済するデメリット
住宅ローンの繰り上げ返済が最適な選択肢とは限りません。繰り上げ返済をしてから後悔しないためにも、期間短縮型・返済額軽減型で繰り上げ返済するデメリットを確認しておくことが大切です。
それぞれのデメリットについて詳しく説明します。
期間短縮型で繰り上げ返済するデメリット
期間短縮型で繰り上げ返済をするデメリットとして、以下の2つが挙げられます。
- ●手元資金が減る
- ●節税効果が薄れる
大きな一時金を用意する必要がある期間短縮型の場合は、手元資金が減少するというデメリットを伴います。そのため、急な出費や予期せぬ事態に対応するための緊急資金が不足する可能性があるので注意が必要です。また、住宅ローン控除が適用されている場合には、繰り上げ返済によって控除額が減少し、節税効果が薄れる可能性があるという点にも気を付けましょう。
手元資金が少なく、急な出費に対して備えたい自営業者やフリーランスのような人にはデメリットになりやすいです。また、住宅ローン控除を受けている期間中に繰り上げ返済を行うと、控除額が減少するため、控除を受けている人も影響を
大きく受けるでしょう。
対策としては、まず十分な緊急資金を確保しておくことが重要です。生活費の6か月程度の資金を手元に残しておけば安心です。また、住宅ローン控除を受けている人は適用が終わってから期間短縮型で繰り上げ返済すれば節税効果を最大限に活用できるでしょう。
返済額軽減型で繰り上げ返済するデメリット
返済額軽減型で繰り上げ返済をするデメリットとして、以下の2つが挙げられます。
- ●総支払利息額の軽減効果が小さい
- ●計画的な資金運用が難しくなる可能性がある
返済期間が変わらない返済額軽減型の場合は、利息の支払いが長く続くことによって結果的に利息負担が大きくなる可能性があります。また、毎月の返済額が減少することで、返済意識が薄れて散財しやすくなるというデメリットに注意が必要です。
住宅ローンの金利が高い人は、利息軽減効果は期間短縮型のほうが大きく、返済額軽減型では総利息額の削減が十分に達成されないのでデメリットになりやすいです。また、将来的に大きな出費が見込まれる人も、返済額軽減による月々の余裕資金が短期的な負担軽減になっても、長期的には不利になる可能性があるので影響を受けるでしょう。
対策としては、まず利息負担をしっかりシミュレーションし、総利息額の比較をすることが重要です。また、返済額の軽減で生じた余剰資金を効率的に運用するために低リスクの投資や貯蓄計画を立てることをおすすめします。
住宅ローンを繰り上げ返済するのに最適なタイミングは?
住宅ローンを繰り上げ返済するのに最適なタイミングとして、以下の4つが挙げられます。
- ●返済初期
- ●ボーナスや臨時収入があった
- ●住宅ローン控除の適用期間終了後
- ●金利が上昇する前
住宅ローンの返済初期は毎月の返済額の多くが利息に充てられています。そのため、この時期に繰り上げ返済を行えば総支払利息を大幅に削減することが可能です。ボーナスや臨時収入があった場合は、手元資金が増えるため、無理なく繰り上げ返済を行えます。
また、住宅ローン控除の適用期間終了後であれば節税効果を最大限に活用できるので最適なタイミングです。金利が上昇すると見込まれる場合や固定金利から変動金利に切り替わるタイミングといったように、金利条件が悪化する場合、繰り上げ返済を行えば将来的な利息負担を軽減できるでしょう。
住宅ローンの繰り上げ返済する際の注意点
住宅ローンの繰り上げ返済する際の注意点として、以下の5つが挙げられます。
- ●手数料の確認
- ●手元資金の確保
- ●住宅ローン控除の影響
- ●金利の確認
- ●ライフプランとの整合性
金融機関によっては、繰り上げ返済に対して手数料を設定している場合があります。全額繰り上げ返済や契約期間の途中での返済には高額な手数料が発生することがあるため、事前に確認することが重要です。
繰り上げ返済をすることで手元資金が減少します。急な出費や緊急事態に備えるための資金を十分に確保することが推奨されます。
住宅ローン控除の影響も考慮しなくてはなりません。控除の恩恵を最大限に活用するには、繰り上げ返済のタイミングを慎重に検討することが大切です。
また、金利を確認することも重要です。特に変動金利の住宅ローンを利用している場合は、将来的な金利上昇リスクを考慮し、繰り上げ返済による元本減少でリスクを軽減することが求められるでしょう。固定金利でも、金利が高い時期に契約した場合は、繰り上げ返済による利息軽減効果が大きくなります。
子どもの教育費や車の購入、リフォーム費用などの大きな支出、結婚や出産などのライフイベントを見据えて、無理のない範囲で繰り上げ返済を行うことがポイントです。資金計画とライフプランなどを総合的に考慮し、適切なタイミングと方法で繰り上げ返済を行いましょう。
まとめ
住宅ローンを予定されている返済計画よりも早く一部または全部を返済する繰り上げ返済をすることにより、返済期間の短縮(期間短縮型の場合)あるいは毎月の返済額を減らす(返済額軽減型の場合)ことが可能です。
住宅ローンの繰り上げ返済をすることには、利息負担を軽減できる、毎月の返済額を減額することによって生活に余裕が生じるなどのメリットがありますが、手元資金が減る、手数料が発生するなどのデメリットがあります。
繰り上げ返済が最適な選択肢とは限らないため、繰り上げ返済のメリット・デメリット、注意点などをしっかり確認してから繰り上げ返済すべきかどうか判断しましょう。
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