住宅ローンを契約中の方の中には、借り換えを検討している方もいるのではないでしょうか。借り換えの仕組みをきちんと理解しないまま借り換えると、返済負担が大きくなる可能性があるので注意してください。

この記事では、住宅ローンの借り換えとは何なのか、借り換えのメリット・デメリット、失敗しないためのポイントなどについて解説します。住宅ローンの借り換えを検討している方は、ぜひ参考にしてください。 

住宅ローン借り換えとは

新居を購入する際に住宅ローンを契約したものの、金利の変動によって既存の住宅ローンでは返済負担が大きくなった、新しい住宅ローンが誕生して既存の住宅ローンよりも団信の保障内容が強化されたというケースも少なくありません。 

そこで返済負担を抑える、団信の保障内容を充実させるための手段として選択されるのが住宅ローンの借り換えです。住宅ローンの借り換えとは、新規に住宅ローンを契約し、既存の住宅ローンを一括返済して解約することです。 

住宅ローンの借り換えは誰でも利用できるというわけではありません。新規に住宅ローンを契約する場合と同様、審査に通らなくてはならず、諸費用も発生する点に注意が必要です。 

住宅ローン借り換えのメリット

住宅ローンを借り換えるメリットとして、以下の5つが挙げられます。 

  • ● ローンの返済総額を減らせる
  • ● 月々の支払いの負担が減る
  • ● 返済期間を短縮できる
  • ● 金利上昇へのリスクを防げる可能性がある
  • ● 団信の保障範囲を強化できる

それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。 

ローンの総返済額を減らせる

日銀の金融緩和で政策金利の引き下げや資金供給量が増加したため、住宅ローンは低金利の状況が続いています。そのため、住宅ローンを契約した方の中には、契約時よりも金利が下がっているという方も多いのではないでしょうか。 

初回契約時に固定金利を選択した場合は、完済するまで契約時の金利が適用されるため、金利が下がっても恩恵を受けられません。しかし、住宅ローンの借り換えによって既存の住宅ローンよりも金利を下げることができれば、総返済額を減らすことができるでしょう。 

月々の支払いの負担が減る

既存の住宅ローンよりも金利が下がっている状況で借り換えた場合、総返済額を減らせるだけでなく、毎月の支払いの負担を減らすことも可能です。 

返済総額を減らすことで将来手元に多くのお金を残せる一方、毎月の支出を減らすことで家計の負担を軽減できます。家計の負担の軽減によって浮いた分で贅沢ができるだけでなく、浮いた分を投資や貯蓄に回すことによって教育資金や老後資金の確保につながるでしょう。 

返済期間を短縮できる

住宅ローンの借り換えによって返済期間を短縮することも可能です。返済期間を短縮した場合は、住宅ローンの月々の支払い負担が大きくなることに不安を抱いている方もいることでしょう。 

確かに返済期間を短縮した場合は、支払い回数が少なくなるので月々の支払い負担が大きくなります。しかし、金利の負担は返済期間が長期になるほど大きくなるため、返済期間を短縮したほうが負担を軽減できます。 

家計にゆとりがある、金利の低下で借り換え後における月々の支払いの負担が減るようなケースでは、借り換えによって返済負担を短縮するのも選択肢の1つといえるでしょう。 

金利上昇へのリスクを防げる可能性がある

金融緩和によって住宅ローンは低金利の状況が続いていますが、いつまでも低金利の状況が続くとは限りません。昨今は長期金利の上昇を理由として、大手銀行は住宅ローンの固定金利の水準を相次いで引き上げています。 

固定金利が引き上げられたからと言って、必ずしも変動金利が影響を受けるとは限りません。しかし、長期金利の上昇で変動金利も上昇した場合、変動金利で住宅ローンを契約した方は今後返済負担が大きくなる可能性があります。 

住宅ローンの借り換えで変動金利から固定金利に変更すれば、金利上昇のリスクを回避できます。今後の金利変動の状況を気にせずに済むため、精神的な負担も軽減できるでしょう。 

団信の保障範囲を強化できる

団信とは、団体信用生命保険の略称です。団体信用生命保険とは、住宅ローンの契約者が返済中に何らかの理由で亡くなった場合、返済を免除する生命保険です。 

住宅ローンを提供する金融機関は、契約者が死亡して融資を回収できなくなるリスクを軽減するために、団信の加入を原則必須にしています。 

以前は死亡時や高度障害時を保障の対象とするものが多く、ケガや病気などで十分な収入が得られなくなった場合の保障が十分ではありませんでした。しかし、昨今は3大疾病(がん・脳卒中・急性心筋梗塞)、7大疾病(3大疾病+高血圧症疾患・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変)などを対象とするものが増えています。 

契約後に団信の保障範囲を強化することは基本的にできませんが、借り換え時には団信に改めて加入するため、保障範囲の強化を図れる点は大きなメリットといえるでしょう。 

住宅ローン借り換えのデメリット

住宅ローンを借り換えるデメリットとして、以下の3つが挙げられます。 

  • ● 手数料などの費用がかかる
  • ● 再度契約手続きをする必要がある
  • ● 住宅ローンの控除額が減る可能性がある

それぞれのデメリットを詳しく解説していきます。 

手数料などの費用がかかる

住宅ローンを借り換える際は、既存の住宅ローンの一括返済にかかる手数料、新規の住宅ローンを契約する際にかかる事務手数料や保証料などの諸費用が発生します。 

また、住宅や土地などに設定された抵当権を削除し、新たに設定する際に登録免許税や印紙税、登記を司法書士に依頼する際の報酬などの諸費用もかかる点に注意が必要です。 

例えば、金利が下がったことを理由とする借り換えの場合は、諸費用が借り換えによって得をする金額を上回っていれば意味がありません。借り換えによるメリットと諸費用を比較して、得をしているかどうかを判断してから借り換えましょう。 

再度契約手続きをする必要がある

住宅ローンを借り換える際は、再度審査を受けなくてはなりません。現在の仕事や収入、転職歴に問題がある場合は、審査に通らない可能性があります。 

また、加齢とともに健康状態が悪化していて、団信に加入できない方も少なくありません。団信への加入は住宅ローンを申し込む際の必須条件としている金融機関が多く、借り換えできない可能性があります。 

上記のように既存の住宅ローンの審査に通っても借り入れの審査に通るとは限らず、手間と時間がかかる点にも注意が必要です。審査が不安な方は審査基準が緩和されたワイド団信や団信への加入が不要な住宅ローンを選びましょう。 

住宅ローンの控除額が減る可能性がある

住宅ローン控除とは、住宅ローンを契約して新居を購入した場合に税金の控除を受けられる制度です。入居した年から10年間または13年間、住宅ローンの年末残高の0.7%の控除を受けられるのが基本です。 

しかし、住宅ローンを借り換えた場合は、借入金額や返済期間によっては住宅ローン控除で受けられる恩恵が小さくなる可能性があります。 

また、借り換え後の返済期間が10年以上ない場合は、住宅ローン控除が適用されないので注意してください。 

住宅ローン借り換えで失敗しないためのポイント

住宅ローンの借り換えで失敗しないためのポイントとして、以下の3つが挙げられます。 

  • ● 住宅ローン完済までの年数
  • ● 住宅ローンの残高
  • ● 金利の差

それぞれのポイントについて詳しく説明していきます。 

住宅ローン完済までの年数

金利差を理由に住宅ローンの借り換えを検討している場合、住宅ローン完済までの年数をしっかり確認しておきましょう。その理由は、金利の影響は完済までの年数が短いほど小さく、長いほど大きいためです。

完済までの年数が短い場合は、借り換えにかかる費用を考慮すると受けられる恩恵が小さく、借り換えたほうが損をする可能性があるので注意が必要です。

完済まで10年以上ある場合には、借り換えによって恩恵を受けられる可能性が高いため、10年以上が1つの目安といえるでしょう。

住宅ローンの残高

金利差の影響を受けるのは完済までの年数だけではありません。住宅ローン残高も金利差の影響を大きく受けるため、残高がいくらあるのかを確認することも大切です。 

残高が少ないと借り換えで受けられる恩恵が小さいため、借り換えによる恩恵を大きくするには一定額以上の残高がある状況で借り換えることをおすすめします。 

残高が1,000万円以上ある場合には、借り換えによって恩恵を受けられる可能性が高いことから、1,000万円以上を目安に判断しましょう。 

金利の差

借り換え時の失敗を防ぐには、事前に既存の住宅ローンと借り換え後の金利の差がどのくらいあるかを確認しておくことも重要です。 

既存の住宅ローンと借り換え後の金利の差が小さい場合は、一括返済にかかる諸費用、借り換え時にかかる諸費用、登記にかかる諸費用を考慮すると損をする可能性があるので注意してください。 

金利差が1%以上ある場合には、諸費用を差し引いても借り換えの恩恵を受けられる可能性が高いため、1%以上が1つの目安といえるでしょう。 

住宅ローン借り換えシミュレーション

現在の住宅ローンの契約内容が以下の条件の方が借り換えた場合をシミュレーションしてみましょう。 

  • ● 残債:2,500万円
  • ● 現在の金利:年2.38
  • ● 残りの期間:15

 

現在の住宅ローンのままの場合

借り換えた場合

残高

2,500万円

2,500万円

金利

2.380

0.148

月々の返済額

165,288

140,444

総返済額(15年)

2,975万円

2,527万円

参照:ANAの住宅ローン

上記のケースでは、借り換えることで月々の返済額が約2.4万円、総返済額が約448万円お得になります。 

  • ● 残債:5,200万円
  • ● 現在の金利:年0.875
  • ● 残りの期間:30

 

現在の住宅ローンのままの場合

借り換えた場合

残高

5,200万円

5,200万円

金利

0.875

0.148

月々の返済額

164,283

147,683

総返済額(15年)

5,914万円

5,316万円

参照:ANAの住宅ローン

上記のケースでは、借り換えることで月々の返済額が約1.6万円、総返済額が約598万円お得になります。 

借り入れにかかる諸費用を考慮していないため、実際に返済負担を軽減できる金額は上記よりも少なくなる点に注意が必要です。借り換えによる恩恵を受けられるとは限らないため、金融機関に相談してから決めましょう。

まとめ

住宅ローンは借入額が大きく、返済期間が長いため、金利変動による影響を大きく受けます。そのため、場合によっては借り換えたほうが返済負担を抑えられる可能性があるため、借り換えを検討するのも選択肢の1つです。

しかし、残債や完済までの期間、金利差によっては、借り換えにかかる諸費用を考慮すると、借り換えによる恩恵をあまり受けられない可能性があるので注意してください。

借り換えによる恩恵を受けられるか気になる方は「ANAファシリティーズ」に相談することをおすすめします。「ANAファシリティーズ」は住宅購入に関する無料相談を実施しています。借り換えにも対応しているため、借り換えるべきかどうか悩んでいる方は一度相談してみてはいかがでしょうか。

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