住宅ローンを契約してマイホームの取得を検討している方の中には、月々10万円の返済がきつくないか不安という方も多いことでしょう。トラブルを回避するには、無理のない返済計画を立てることが重要です。

この記事では、住宅ローンで月々10万円の返済がきついのか、きつくなる理由、借入れできる金額、返済額の決め方、無理なく組むためのポイントなどを解説します。住宅ローンの契約を検討している方は、是非参考にしてください。

 住宅ローンで月々10万円の返済はきつい?きつくなってしまう理由

住宅ローンを契約して月々10万円の返済を計画していたところ、返済がきついと感じる方も少なくありません。契約して後悔しないためにも、どのような理由で返済がきついと感じるのかを事前に把握しておくことが大切です。

月々10万円の返済をきついと感じる主な理由は以下の通りです。

  • ● 年収に対して無理な返済額を設定してしまった
  • ● 将来的に年収が上がることを想定して返済額を設定してしまった
  • ● ランニングコストやライフイベントによる支出について想定していなかった
  • ● 病気や災害などのリスクを想定していなかった
  • ● 老後について考えていなかった

それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。

年収に対して無理な返済額を設定してしまった

年収に占める住宅ローンの返済額の割合が大きい場合、返済負担が大きく、返済がきついと感じてしまうでしょう。仮に年収600万円の世帯と年収300万円の世帯で比較すると、年収600万円では年間の返済額120万円を引くと480万円、年収300万円では180万円と手元に残るお金が大きく異なってきます。

一般的に年収の30%未満に抑えることが安心して生活を送るための目安と言われています。年収300万円の場合、月々10万円の返済は年収の40%となるため、年収に合った返済額を設定することが大切です。

将来的に年収が上がることを想定して返済額を設定してしまった

今は返済負担が大きいものの、将来的に年収が上がることで返済負担が軽減されると考えて住宅ローンを契約する方も少なくありません。しかし、必ずしも年収が上がるとは限らないので注意が必要です。

昇給までに時間がかかった、昇給しても想定より年収が低かった場合、返済負担が重くのしかかることになります。給与の上昇を期待して返済額を設定することは避けましょう。

ランニングコストやライフイベントによる支出について想定していなかった

住宅ローンを契約してマイホームを取得した場合、負担するのは住宅ローンの返済だけではありません。固定資産税や都市計画税などの税金、経年劣化を補うための修繕費、マンションでは修繕積立金や管理費などのランニングコストが発生します。

また、出産や子どもの進学などの支出が増加するイベント、産休や育休による収入の減少といったライフイベントの存在を忘れてはなりません。返済計画を立てる際はランニングコストやライフイベントによる支出の増加、収入の減少をあらかじめ想定しておきましょう。

病気や災害などのリスクを想定していなかった

病気や災害などが原因で返済に負担を感じる可能性があります。例えば、病気になったことで長期間仕事を休むまたは仕事を退職した場合は、収入が減少することで返済を負担に感じるでしょう。

また、災害で建物が被害を受けても、住宅ローンが免除されることはありません。住宅ローンの返済に加え、修繕費用が発生するため、大きな負担となるでしょう。

病気や災害などのリスクには、団体信用生命保険への加入、火災保険や地震保険に加入することによってある程度は備えられるため、住宅ローンを契約する際はこれらの保険加入を慎重に判断することが大切です。

老後について考えていなかった

住宅ローンを契約する際は、返済期間30年超で契約する方も少なくありません。仮に30歳で返済期間30年超の住宅ローンを契約した場合、完済するのは60歳を超えています。

老後資金の積み立てと同時に住宅ローンの返済を進めなくてはならず、月々10万円の返済に老後資金の積み立てを上乗せすると大きな負担に感じる方もいるでしょう。かといって住宅ローンの返済を優先した場合、老後資金が不足して苦労することになるため、総合的に無理のない返済計画を立てましょう。

月々10万円返済の住宅ローンで借入れできる金額は?


借入れできる金額によって購入できる住宅が変化します。そのため、月々10万円の返済でいくらまで借入れができるか事前に確認しておくことが大切です。

住宅保証機構株式会社の「住宅ローンシミュレーション」を使った結果は以下の通りです。

返済期間

変動金利

固定金利

0.35%

0.375%

0.4%

1.0%

1.25%

1.5%

20

2,317万円

2,320万円

2,306万円

2,174万円

2,122万円

2,072万円

25

2,872万円

2,876万円

2,854万円

2,653万円

2,570万円

2,500万円

30

3,416万円

3,423万円

3,391万円

3,109万円

3,000万円

2,897万円

35

3,952万円

3,961万円

3,918万円

3,540万円

3,400万円

3,542万円

変動金利は固定金利よりも低く設定されているため、借入可能額が大きくなります。しかし、借入可能額を増やしたいと安易に変動金利を選ぶと、途中で金利が変動したことで返済負担が大きくなる可能性があるので注意が必要です。

【年収別】月々10万円返済の住宅ローンを組んだ場合のシミュレーションと返済額の決め方

年収によって住宅ローンの月々の適切な返済額は異なります。そのため、月々10万円というのが年収いくらの方にとって適切なのかを把握しておくことが大切です。

年収別に月々10万円の返済額の住宅ローンを契約した場合をシミュレーションしてみましょう。なお、手取りは年収の75%程度、余裕のある年間の返済額は年収の25%とします。

年収300万円の場合

年収300万円の場合、300万円×75%の225万円が手取り収入です。225万円×25%の56万2,500円が年間の返済額となり、それを12か月で割った4万6,875円が余裕のある月々の返済額となります。

月々10万円の返済額と比較すると、余裕のある返済額との乖離が大きいです。このままではかなり負担が大きく、返済不能に陥るリスクが高いため、年収300万円の方は月々5万円程度の返済額に抑えたほうが良いでしょう。

年収400万円の場合

年収400万円では、400万円×75%の300万円が手取り、300万円×25%の75万円が年間の返済額となり、12か月で割った6万2,500円が余裕のある月々の返済額です。

年収300万円よりは差が縮まりましたが、月々10万円の返済額よりも余裕のある返済額との乖離がまだ大きいです。このままではかなり負担が大きく、返済不能に陥るリスクが高いため、年収400万円の方は月々6万円程度を目安に借入額を設定したほうが良いでしょう。

年収500万円の場合

年収500万円の場合、500万円×75%の375万円が手取り収入です。375万円×25%の93万7,500円が年間の返済額となり、それを12か月で割った7万8,125円が余裕のある月々の返済額となります。

乖離が小さくなってきましたが、依然として月々10万円の返済額よりも下回っています。返済不能に陥るというトラブルを未然に回避するためにも、年収500万円の方は月々8万円程度の返済額に抑えたほうが良いでしょう。

年収600万円の場合

年収600万円の場合、600万円×75%の450万円が手取り、450万円×25%の112万5,000円が年間の返済額となり、12か月で割った9万3,750円が余裕のある月々の返済額です。

下回ってはいますが、数千円程度下回っているだけなので、支出をうまく調整することができれば返済不能に陥るリスクは低いでしょう。ただし、油断して返済不能に陥ることがないように注意してください。

年収700万円の場合

年収700万円の場合、700万円×75%の525万円が手取り、500万円×25%の131万2,500円が年間の返済額となり、12か月で割った10万9,375円が余裕のある月々の返済額です。

年収700万円になってようやく余裕のある月々の返済額が10万円を超えました。そのため、年収700万円であれば月々の返済額が10万円であってもトラブルが生じる可能性が低いと言えます。

ただし、いくら余裕があると言っても油断してはいけません。ランニングコストやライフイベントによる支出、老後の資金などを考慮し、本当に無理がないかよく考えてから契約しましょう。

無理なく住宅ローンを組むためのポイント

住宅ローンを契約したことによるトラブルを回避するには、以下の3つのポイントを押さえた上で契約することが大切です。

  • ● 頭金を用意して住宅ローンの借入額を減らす
  • ● 返済負担率は25%以内にすること
  • ● 返済計画は無理のない範囲で立てること

それぞれのポイントを詳しく解説していきます。

頭金を用意して住宅ローンの借入額を減らす

借入額が少ないほど、毎月の返済額が小さくなるだけではなく、残高に対して上乗せされる利息が少なくなることによって返済総額も小さくなります。

頭金とは、自己資金のことです。例えば、住宅ローンで借入額を3,000万円にする場合と500万円頭金を拠出して借入額を2,500万円にする場合では借入額が大きく異なります。

返済負担を少しでも抑えたい場合、余裕のある範囲で頭金を用意して借入額を減らすことをおすすめします。

返済負担率は25%以内にすること

返済負担率とは、年収に占める年間の住宅ローン返済額のことです。金融機関によって基準は異なりますが、一般的に25~35%以下が基準と言われています。

しかし、この範囲内に収まっていれば安心というわけではありません。出産、子どもの進学、産休や育休、退職などのライフイベントで支出が増える、収入が減少することで返済負担が大きくなる可能性があります。

返済負担率が25~35%の範囲に収まっていれば住宅ローンの審査に通る可能性は高いですが、だからと言って返済計画に問題がないというわけではないため、なるべく25%以内に収めることをおすすめします。

返済計画は無理のない範囲で立てること

月々の返済負担を軽減するために返済期間を長く設定すればいいと考えている方も多いのではないでしょうか。しかし、返済期間を長く設定した場合は月々の返済負担は軽減できるものの、利息の上乗せが増えることによって返済総額が大きくなるので注意してください。

また、返済期間を長くすると、退職によって収入が減少した後も返済が続くことで返済不能に陥るリスクが高くなります。安易に考えるのではなく、総合的に無理のない返済計画を立てられているかよく考えることが大切です。

まとめ

住宅ローンを契約する際に月々10万円の返済額が無理のない返済計画かどうか気になっている方も多いことでしょう。月々10万円の返済額が無理のない返済計画かどうかは年収によって大きく異なります。

仮に年収の75%が手取り収入、そのうち25%を返済額に充てられると考えた場合に、月々の返済額が10万円でも問題ないのは年収700万円となります。

年収700万円であっても余裕があるとは言い切れません。支出が増える、収入が減るといったライフイベントを踏まえて、無理のない返済計画を立てましょう。

ANAの住まいでは、住宅購入に関する無料相談を行っています。住宅ローンの借入額に関する疑問を抱いている方はこの機会に一度相談してみてはいかがでしょうか。

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