結婚、出産、マイホーム購入などのライフイベントにはお金がかかります。ライフイベントを安心して迎えるためには、毎月の継続的な貯金が重要ですが、毎月の貯金額をいくらに設定すればいいか気になる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、毎月の貯金額の理想、年代別・年収別の毎月の貯金額、貯金を始めるコツなどを解説します。毎月の貯金額について詳しく知りたい方は是非参考にしてください。

毎月の貯金額の理想

収入に対する毎月の貯金額の理想は20~30%と言われています。例えば、月収30万円の方は毎月6~9万円を貯金するのが理想ということです。

20~30%という数値は、結婚や出産、マイホームの購入、子どもの進学といったお金のかかるライフイベントに備えながら老後資金を貯めることを想定した場合における目安です。

数値が高いほど安心ですが、高く設定して継続できなければ意味がないため、無理なく継続できる数値に設定することを心がけましょう。

【年代別】毎月の貯金額はいくら?

年代によって収入や生活状況が異なるため、貯金額も変化します。そのため、自身の年代に合った貯金ができているか判断するためには、年代別の毎月の貯金額を知っておく必要があります。

各年代の毎月の貯金額について詳しく見ていきましょう。なお、以下の見出しの年代別の毎月の貯金額の平均は金融広報中央委員会が公表した「家計の金融行動に関する世論調査」を元に作成しています。

また、平均値のみの場合は、データの偏りが生じると正確な情報を把握できない可能性があるため、データを小さい順に並べてちょうど中央に位置する値である中央値も記載しています。

20代の場合

20代の貯蓄額の平均・中央値、資産非保有率は以下の通りです。

【単身世帯】

貯蓄額の平均

121万円

貯蓄額の中央値

9万円

資産非保有率

43.9

【2人以上世帯】

貯蓄額の平均

249万円

貯蓄額の中央値

30万円

資産非保有率

36.8

20代は収入が少なく、十分な貯蓄ができていないという方も少なくありません。そのため、資産非保有率は他の年代より高く、貯蓄額の平均・中央値も低くなっているのが特徴です。

また、金融資産保有世帯の年間手取り収入からの貯蓄割合は、単身世帯で18%、2人以上世帯で14%でした。

30代の場合

30代の貯蓄額の平均・中央値、資産非保有率は以下の通りです。

【単身世帯】

貯蓄額の平均

594万円

貯蓄額の中央値

100万円

資産非保有率

34.0

【2人以上世帯】

貯蓄額の平均

601万円

貯蓄額の中央値

150万円

資産非保有率

28.4

30代は収入が安定し、生活にも余裕が生じやすくなるため、資産非保有率は20代よりも低くなり、貯蓄額の平均・中央値もともに上昇しています。

また、金融資産保有世帯の年間手取り収入からの貯蓄割合は、単身世帯で17%、2人以上世帯で14%と大きな変化は見られないものの、20代よりも若干減少しています。

結婚や出産、車や住宅の購入などで20代よりも出費が増えやすいことが影響していると考えられるでしょう。

40代の場合

40代の貯蓄額の平均・中央値、資産非保有率は以下の通りです。

【単身世帯】

貯蓄額の平均

559万円

貯蓄額の中央値

47万円

資産非保有率

40.4

【2人以上世帯】

貯蓄額の平均

889万円

貯蓄額の中央値

220万円

資産非保有率

26.8

30代までは加齢とともに貯蓄額の平均・中央値は上昇、資産非保有率は低下しました。しかし、40代は単身世帯で平均・中央値の低下、資産非保有率の上昇が見られる一方、2人以上世帯は貯蓄額の平均・中央値の上昇、資産非保有率の低下などの違いが見られます。

また、金融資産保有世帯の年間手取り収入からの貯蓄割合は、単身世帯で14%、2人以上世帯で12%と数値が下がっています。

40代は30代よりもお金のかかるライフイベントが多く、2人以上世帯は2人分の収入で貯蓄を維持できている一方、単身世帯は支出の影響を大きく受けている結果と考えられるでしょう。

50代の場合

50代の貯蓄額の平均、中央値、資産非保有率は以下の通りです。

【単身世帯】

貯蓄額の平均

1,391万円

貯蓄額の中央値

80万円

資産非保有率

38.3

【2人世帯以上】

貯蓄額の平均

1,147万円

貯蓄額の中央値

300万円

資産非保有率

27.4

50代は収入がピークに達する一方で、ライフイベントによる支出が少し落ち着きます。そのため、40代よりも単身世帯・2人以上世帯ともに貯蓄額の平均・中央値は上昇し、資産非保有率は低下しています。

また、金融資産保有世帯の年間手取り収入からの貯蓄割合は、単身世帯で14%、2人以上世帯で12%と変化は見られません。

高齢化が進行する昨今、老後には2,000万円の資金が必要とされています。安心して老後を迎えるためにも、支出の落ち着く50代で、老後の資金をしっかり確保しておくことが大切です。

【年収別】毎月の貯金額はいくら?

先ほどは年代別の毎月の貯金額について記載しましたが、昨今は働き方も多様化しており、同じ年代であっても年収の差が大きく開いているというケースも少なくありません。

そのため、毎月の貯蓄額の詳細を知るためには、年収別の貯金額を把握しておくことも大切です。先ほどと同様、以下の年収別の貯金額は金融広報中央委員会が公表した「家計の金融行動に関する世論調査」を元に作成しています。

年収

単身世帯

2人世帯以上

300万円未満

663万円(50万円)

618万円(50万円)

300500万円未満

1,019万円(200万円)

1,051万円(274万円)

500750万円未満

1,943万円(600万円)

1,193万円(400万円)

7501,000万円未満

3,837万円(2,260万円)

1,681万円(850万円)

1,0001,200万円未満

634万円(5万円)

2,400万円(1,280万円)

※()内は中央値

金融資産保有世帯の年間手取り収入からの年収別貯蓄割合は以下の通りです。

年収

単身世帯

2人世帯以上

300万円未満

10

8%

300500万円未満

17

8%

500750万円未満

20

11

7501,000万円未満

27

14

1,0001,200万円未満

11

18

基本的には年収が増えるにつれて貯蓄額・貯蓄割合は大きくなります。しかし、単身世帯の貯蓄割合は1,000万円を超えたタイミングで貯蓄額・貯蓄割合がともに大きく下落しています。

下落している要因として考えられるのが「年収1,000万円」の壁です。年収1,000万円の壁とは、年収が増えたことで適用される所得税の税率が高くなる、各種援助や控除が受けられなくなることによって、自由に使えるお金が少なくなる現象です。

老後に向けた貯金を考えている方は、年収による違いも考慮しておきましょう。

貯蓄なしの状態から無理なく貯金を始めるコツ

年金だけでは老後の資金は不十分であるため、貯蓄なしの状態で老後を迎えることはとても危険です。安心して老後を迎えるためには、貯蓄を少しでも増やしておくことが重要です。

貯蓄なしの状態から無理に貯金しようとすると、精神的な負担が大きくなり、リスクの高い方法を選択することで大切な手持ち資金を失うことになりかねません。

無理なく貯金するには、以下のコツを押さえながら貯金に取り組むことが大切です。

  • ●毎月の収支のバランスを把握する
  • ●支出(固定費)を見直す
  • ●貯金する目的と目標金額を決める
  • ●毎月貯金する額をあらかじめ決めておく
  • ●貯金用の口座を作る

それぞれのコツを詳しく解説していきます。

毎月の収支のバランスを把握する

収入から支出を差し引いて残った分が貯金に回せる金額です。自身あるいは世帯の収入がいくらで支出がいくらなのかを正確に把握できていない場合、計画的な貯金が難しくなるため、毎月の収支のバランスを把握することが大切です。

収支のバランスを把握するためには、家計簿をつけることをおすすめします。しかし、家計簿をつけるのが苦手で、途中で断念するという方も少なくありません。

最近は簡単に家計簿をつけることができるアプリも登場しています。カメラでレシートを撮影すれば記入が完了する、銀行口座と紐づければ出入金を簡単に管理できるため、家計簿をつけるのが苦手な方でも取り組みやすいでしょう。

支出(固定費)を見直す

支出を減らすことができれば貯金に回せる金額を増やすことが可能です。しかし、支出を減らすといっても何をどうすべきか分からないという方も多いことでしょう。

簡単に取り組めるのは固定費を見直すという方法です。住宅ローンの返済、家賃、保険料、サブスクの利用料金などは毎月の支払金額が決まっています。例えば、住宅ローンの借り換え、家賃の安い物件に引っ越す、保険を見直す、利用頻度の低いサブスクを解約すれば、毎月の支出を抑えることが可能です。

固定費の見直しで支出を毎月1万円抑えることができれば、年間で12万円も貯金に回せます。収入を増やすよりも支出を減らすほうが容易に取り組みやすいため、身近なところから無駄な支出を省きましょう。

貯金する目的と目標金額を決める

目的や目標金額を決めないまま貯金を始めた場合は、途中でモチベーションが下がってしまい、気づいたときには貯金が全くできていないということにもなりかねません。

無理なく継続するには貯金する目的と目標金額を決めることが大切です。目的と目標金額が明確になれば、現時点で目標のどれだけ達成できているのかが分かりやすくなるため、モチベーションを維持しやすくなります。

「いくらまで貯めた場合は〇万円を使ってもいい」といったように、細かな目標を設定してゴールした場合におけるボーナスを用意しておけば、モチベーションを維持しながら楽しく続けられるでしょう。

毎月貯金する額をあらかじめ決めておく

貯金をする際に収入から支出を差し引いて残った分を貯金に回すという方法を選択する方もいます。この方法でも特に問題ありませんが、支出によって貯金に回せる金額が変化するため、安定的・継続的な方法とは言えません。

そこでおすすめするのが先取り貯蓄という方法です。先取り貯蓄では、毎月貯金する額をあらかじめ決めておき、収入から貯金に回す分を引いてから残った分を支出に充てます。

毎月一定の金額を堅実に貯められるため、貯蓄が苦手な方でもこの方法であれば無理なく続けられるでしょう。

貯金用の口座を作る

給与の振込先、固定費やクレジットカードの引き落とし先が1つの口座で、残った分を同じ口座に貯めているという方も少なくありません。しかし、この場合、残った分を自由に使える環境にあるため、貯まったお金を使ってしまいがちです。

そこでおすすめするのが貯金用の口座を作るという方法です。普段使用する口座と貯金用の口座を分ければ、簡単にはお金を使えなくなるので貯金しやすくなります。

また、ある程度のお金が貯まったタイミングで普通預金から定期預金に切り替えれば、金融機関によっては金利が普通預金より高くなるほか、普通預金よりも引き出しにくくなるので無理なく貯金できるでしょう。

まとめ

理想の毎月の貯金額は収入の20~30%と言われています。お金のかかるライフイベントや老後資金を確保するには、収入の20~30%を目安に貯金すると良いでしょう。

貯金を無理なく行うには、支出(固定費)を見直す、毎月貯金する額をあらかじめ決めておくなどのコツを押さえながら貯金に取り組むことが重要です。

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