土地を購入する際に利用できる補助金は、自動的に受けられるというものではありません。費用負担を少しでも軽減するためにも、どのような補助金があるのか理解しておくことが大切です。
この記事では、土地購入時に使える補助金、補助金を申請する際の注意点などについて解説します。記事を読めば、土地購入時にどのような補助金が使えるのか、申請時の注意点がわかるため、土地購入時の負担を軽減できるでしょう。
土地購入時に使える補助金はある?
マイホームを新築するにあたり、土地の取得を検討している方の中には、何かしらの補助金が利用できないのか気になっている方も多いと思います。
結論から言うと、新築住居用に土地を購入する際に利用できる補助金はあります。しかし、単に新築住宅用の土地を購入しただけで補助金を受けられるのではなく、建築する新築住宅が要件を満たさなくてはならないので注意が必要です。
新築住居用の土地購入時に使える補助金一覧
新築住居用の土地購入時に使える補助金として、以下の5つが挙げられます。この補助金は土地購入だけで受けられるものではなく、新築する住居が要件を満たす場合のみ受けられるものなので、どのような違いがあるかしっかり理解しておきましょう。
- ・住宅省エネ2023キャンペーン
- ・地域型住宅グリーン化事業
- ・LCCM住宅整備推進事業
- ・蓄電池等を活用したDER等導入事業
- ・地方自治体の補助金
住宅省エネ2023キャンペーン
住宅省エネ2023キャンペーンとは、こどもエコすまい支援事業、先進的窓リノベ事業、給湯省エネ事業の3つのキャンペーンの総称です。
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、住宅の断熱性の向上や高効率給湯器の導入などのように住宅省エネ化を支援する新たに創設された補助事業を指します。キャンペーンの詳細は以下の通りです。
補助金額 |
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先進的窓リノベはリフォームを対象としている一方、新築は対象外です。交付申請期間は2023年3月下旬~予算上限に達するまでとされています。住宅省エネ2023キャンペーンの詳細は以下をご覧ください。
参照:「住宅省エネ2023キャンペーンについて」
住宅を新築するにあたり、省エネ性能の高い住宅を建築したいと考えている方に向いているでしょう。
地域型住宅グリーン化事業
地域型住宅グリーン化事業とは、地域における木造住宅の生産体制を強化し、環境負荷の低減を図るために資材の供給や設計、施工などの連携体制を行う事業です。
地域材を用いた省エネ性能などに優れた木造住宅(ZEHなど)の整備などに対する支援を行い、地域材の活用促進の支援を強化しています。2022年度の補助金の詳細は以下の通りです。
補助金額 |
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2023年度も予算が組まれたことによって事業の継続がほぼ確定しましたが、実施時期や条件などは詳細が決まっていません。2022年度に実施された地域型住宅グリーン化事業については以下をご覧ください。
参照:「地域型住宅グリーン化事業(評価)」
住宅を新築するにあたり、省エネ性能の高い木造住宅を建築したいと考えている方に向いているでしょう。
LCCM住宅整備推進事業
LCCM住宅整備推進事業とは、ライフサイクルカーボンマイナス住宅の略称であり、使用段階の二酸化炭素排出量に加え、資材製造や建設段階の排出量、長期寿命化によりライフサイクル全体(建築・解体・再利用などまで)を通じた排出量をマイナスにする住宅に対する補助を行う事業です。
ZEH支援事業制度よりも省エネ化を達成した住宅に対して、さらに補助を受けられるようにしたものと言えます。2022年度補助金の詳細は以下の通りです。
補助金額 |
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2023年度も予算が組まれたため、事業の継続がほぼ確定しましたが、実施時期や条件などの詳細は未定です。2022年度に実施されたLCCM住宅整備推進事業については以下をご覧ください。
参照:「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの推進に向けた取り組み」
新築にあたり、省エネ性能がさらに優れた環境に優しい住居を建築したい方に向いているでしょう。
蓄電池等を活用したDER等導入事業
蓄電池等を活用したDER等導入事業とは、ZEHを新築する際、蓄電池を設置してDER(分散型エネルギーリソース)の実証実験に参加した場合に補助を行う事業です。
補助金の詳細は以下の通りです。
補助金額 |
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2022年度は2021年度からの見直しが行われて実施されましたが、2023年度は詳細が公表されていません。2022年度の蓄電池等を活用したDER等導入事業については以下をご覧ください。
参照:「令和4年度 分散型エネルギーリソースの異なる活用に向けた実証事業」
地方自治体の補助金
地方自治体でも新築住宅に対する独自の補助を行っています。例えば、東京都では、東京ゼロエミ住宅促進事業という補助を行っています。東京ゼロセミ住宅促進事業とは、東京都における住宅のZEH化促進のための補助を行う事業です。
東京ゼロエミ住宅促進事業は幅広い省エネ設備に補助を行っています。以下は補助金の代表例です。
補助金額 |
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国の行っている補助と併用できない場合があるため、自治体に問い合わせて確認してみましょう。
参照:クール・ネット東京「令和4年度東京ゼロエミ住宅促進事業」
新築住居用の土地購入時に補助金を申請する際の注意点
新築住居用の土地購入時に補助金を申請する際には、以下の点に注意が必要です。
- ・補助金の適用条件を確認する
- ・補助金の申請期限を確認する
土地を購入しただけでは補助金を基本的に受けられません。補助金を受けたい場合は、条件に適した住居を新築しなくてはならないため、補助金の適用条件をしっかり確認しておく必要があります。
また、補助金は新築住居を建築したからと言って、自動的に受けられるというものではありません。申請が遅れて申請期限を過ぎてしまった場合は、補助金を受けられない可能性があるので注意が必要です。期限を確認し、余裕を持って申請しましょう。
新築住居用の土地購入時に利用できるその他の制度
新築居住用の土地購入時に利用できるその他の制度は、以下の通りです。
- ・住宅ローン控除
- ・住宅取得等資金贈与の非課税特例
- ・登録免許税の軽減
- ・不動産取得税の軽減
- ・固定資産税の軽減
住宅ローン控除
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して住居を取得した場合、年末の住宅ローン残高に応じて所得税の控除が受けられる制度です。
新築住宅の建築で住宅ローン控除が適用される要件は以下の通りです。
【新築住宅の住宅ローン適用要件】
- ・住宅を取得してから6か月以内に入居し、引き続き居住している
- ・家屋の床面積(登記面積)が50㎡以上
- ・床面積の2分の1以上が専ら自己の居住の用に供されている
- ・民間の金融機関や独立行政法人住宅金融支援機構などの住宅ローンなどを利用している
- ・住宅ローンなどの返済期間が10年以上で、分割返済するものである
- ・控除を受ける年の所得金額が2,000万円以下
- ※家屋の床面積が40㎡以上50㎡未満でも控除を受けられますが、所得要件が1,000万円以下となる
参照:国税庁「マイホームを持ったとき」
以上の条件を満たした場合、13年間以下の控除を受けることが可能です。
控除額 |
住宅ローンなどの年末残高(最高3,000万円)×0.7%=控除額(最高21万円) ※控除額は100円未満の端数を切り捨て |
新築住居を取得した年の翌年に確定申告を行い、2年目以降は確定申告または年末調整を行うことによって控除を受けられます。
住宅取得等資金贈与の非課税特例
住宅取得等資金贈与の非課税特例とは、直系尊属(父母や祖父母など)からの贈与で、自己居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得または増改築などの対価に充てる金銭を取得した場合に、一定の要件を満たせば一定額までの贈与税が非課税となる特例です。
非課税額 |
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以下の要件を満たすことによって住宅取得等資金贈与の非課税特例を利用できます。
【受贈者の要件】
- ・贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(贈与者は受贈者の直系尊属)である
- ・贈与を受けた年の1月1日において、18歳以上である
- ・贈与を受けた年の年分の所得税にかかる合計所得金額が2,000万円以下(新築等をする住宅用の家屋の床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は1,000万円以下)である
- ・2009年分から2021年分までの贈与税の申告で住宅取得等資金の非課税の適用を受けていない
- ・自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある人から取得をしたものではない
- ・贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をする
- ・贈与を受けた時に日本国内に住所を有している(受贈者が一時居住者であり、かつ、贈与者が外国人贈与者または非居住贈与者である場合を除く)
- ・贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住する、もしくは遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれる
【住宅用家屋の要件(新築または取得の場合の要件)】
- ・新築または取得した住宅用の家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が40㎡以上240平方㎡以下、かつその家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供される
- ・取得した住宅が次のいずれかに該当する
- 〇建築後使用されたことのない住宅用の家屋
- 〇建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、1982年1月1日以後に建築されたもの
- 〇建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、地震に対する安全性にかかる基準に適合するものであることにつき、一定の書類により証明されたもの
- 〇2、3のいずれに該当しない建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、住宅用の家屋の取得の日までに同日以後住宅用の家屋の耐震改修を行うことにつき、一定の申請書等に基づいて都道府県知事などに申請をし、かつ、贈与を受けた翌年3月15日までにその耐震改修によりその住宅用の家屋が耐震基準に適合することとなったことにつき一定の証明書等により証明がされたもの
参照:国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」
自動的に控除が適用されるわけではありません。納税地の所轄税務署長に贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日までの間に以下の書類を添付して提出する必要があります。
- ・非課税の特例の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書
- ・戸籍の謄本
- ・新築や取得の契約書の写し
登録免許税
新築住居を建築して、所有権が自分にあることを登録する際、登記を行う必要があります。この登記手続きに対してかかるのが登録免許税です。
本来登録免許税には本則税率が適用されますが、住宅用家屋は2024年3月31日まで以下のように税率が軽減されます。
住宅の種類 |
税率 |
本則(所有権の保存) |
0.4% |
一般住宅 |
0.15% |
長期優良住宅(戸建て) |
0.1% |
本則(抵当権の設定)本則 |
0.4% |
一般住宅(長期優良住宅を含む) |
0.1% |
軽減措置を受けるには、自己の居住に供するための住居であり、50㎡以上であるといった要件を満たす必要があります。
参照:税務署「特定の住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ」
不動産取得税
不動産を新築または取得した際、不動産取得税という税金がかかります。不動産を取得した旨を都道府県税事務所に申告し、申告後に送られてくる納税通知書の内容に基づいて納税します。不動産取得税は建物と土地に分けて計算します。
取得した土地と建物については以下のように本則税率から軽減されます(2024年3月31日まで)。
不動産の種類 |
税率 |
土地・建物(本則) |
土地や建物の固定資産税評価額×4% |
建物 |
(課税標準額-控除額)×3% |
土地 |
(固定資産税評価額×2分の1)×3%-控除額 |
控除額は各自治体によって異なるため、自治体に確認しましょう。
軽減措置を受けるには、自己の居住に供するための住居であり、50㎡以上であるといった要件を満たす必要があります。
参照:東京主税局「新築住宅を取得したときに不動産取得税の軽減制度はありますか」
固定資産税の軽減
1月1日時点の不動産の所有者に対して毎年固定資産税が課されています。新築住居の場合、一定要件を満たせば以下のような固定資産税の軽減措置を受けられます。
【新築戸建て】
軽減額 |
税額を2分の1に軽減 |
一般住宅 |
3年間 |
長期優良住宅 |
5年間 |
【土地】
小規模住宅用地(200㎡まで) |
評価額を6分の1に軽減 |
一般住宅用地(200㎡超) |
評価額を3分の1に軽減 |
参照:国土交通省「新築住宅に係る税額の減額措置」
適用を受けるには、各都道府県の税事務所に必要書類の提出が必要なので問い合わせてみましょう。
まとめ
新築住居を建築するにあたり、土地を取得した場合には、各種補助金や控除を利用できます。しかし、土地を取得しただけで利用できるというわけではなく、基本的には一定要件を満たす新居を建築しなくてはなりません。補助金や控除を活用して、費用負担を少しでも軽減するためにも、どのような補助金や控除があり、どのような条件で利用できるのかを事前に確認しておくことが大切です。
また、新居を建築したからと言って、自動的に補助金や控除を受けられるわけではありません。申請や手続きが必要になることがほとんどなので申請期限までに必ず申告しましょう。
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