リフォーム補助金とは国や自治体が一定の条件を満たすことを条件に、改修工事にかかる費用の一部を支給するものです。基本的に返還する必要はありません。
ただし補助金を受けるためには事前に申請が必要で、審査を通過した場合に限ります。また期限前であっても予算額に到達すると、早めに打ち切りになることもあるので注意が必要です。
リフォーム補助金を受けるには、要件や期限などを理解することが重要になります。この記事では要件や期限、申請方法を紹介しますので、ぜひお得なリフォームの実現にお役立てください。
リフォームに使える補助金と期限
リフォームに使える補助金と期限は以下の通りです。補助金によっては終了していますが、再度募集をはじめる可能性があります。詳細についてはホームページなどで確認することもできます。
補助金 |
申請期限 |
断熱リフォーム支援事業 |
2023年3月20日~2023年6月16日予定 |
次世代省エネ建材支援事業 |
令和4年度は2022年11月30日に受付終了 |
介護・バリアフリーリフォーム補助金(介護保険による住宅改修の助成金) |
随時受付 |
こどもエコ住まい支援事業 |
2023年3月31日 ~ 予算上限に達するまで(遅くとも2023年11月30日まで) |
ZEH支援事業 |
令和4年度は2023年3月24日まで延長 |
住宅エコリフォーム推進事業 |
令和4年度の交付申請は2023年1月13日に受付終了 |
1 断熱リフォーム支援事業
公益財団法人北海道環境財団が行なっている事業ですが、全国が対象です。本事業は既存住宅のエネルギー消費効率の改善と低炭素化を促進、高性能建材による断熱改修を支援することが目的です。次回の申請受付期間は2023年3月20日〜2023年6月16日予定となっています。
なお交付前に「契約・発注・着工等」を行うと、補助金の交付対象にならないので注意が必要です。
補助金の対象となる製品を使うことが条件になります。補助金額は補助対象経費の3分の1、または戸建て住宅は1戸当たり120万円のどちらか低い額が上限です。
2 次世代省エネ建材支援事業
経済産業省が既存住宅に対して行うもので、省エネ改修の促進が期待できる高性能断熱材などの効果を実証することを目的とした事業です。
外張り断熱・内張り断熱・窓断熱の3つの区分から選ぶことができ、補助率は補助対象経費の2分の1以内です。補助金の上限は区分や地域、住宅の区分(戸建て住宅・集合住宅)によって異なりますが、125万円〜400万円になります。断熱材や断熱パネル、玄関ドア、窓などが対象です。
通常各年度内に1次から3次公募期間を設けています。それぞれの受付期間はホームページで確認することができますが、令和4年度分に関しては終了しています。また、受付期間内であっても予算に達した時点で打ち切りになるので、早めに申請することをおすすめします。
3 介護・バリアフリーリフォーム補助金(介護保険による住宅改修の助成金)
介護保険による要介護者を対象にした、住宅改修に対する助成金です。よって介護保険の被保険者であることが条件になります。バリアフリー工事などを行なった場合、20万円を上限にその9割が助成金として支給されます。なお期限はなく、随時受け付けています。
要支援・要介護どちらの場合も、1人が生涯受けられる支給限度基準額は20万円ですが、要介護状態が重くなったときや引っ越したときは再度20万円まで支給限度標準額が設定されます。
助成の対象となる住宅改修工事は以下の通りです。
- ・手すりの取り付け工事
- ・段差の解消工事
- ・滑りの防止・移動の円滑化等のための床や通路面の材料の変更
- ・引き戸への変更工事
- ・和式便器から洋式への交換工事
- ・その他ケアマネージャーが必要であるとした住宅改修工事
4 こどもエコ住まい支援事業
こどもエコすまい支援事業者と契約する必要がありますが、対象となるリフォーム工事をする場合にリフォーム箇所に応じた補助金を受けることができます。なお予算に到達した場合は打ち切られますのでご注意ください。
子育て世帯や若者夫婦世帯が対象となる工事をする場合は、補助上限が引き上げになります。対象となる世帯とそれぞれの上限は以下の通りです。
子育て世帯:申請時点において、2004年4月2日以降に出生したお子様がいるご家族
若者夫婦:申請時点において夫婦であり、いずれかが1982年4月2日以降に生まれたご家族
子育て世帯もしくは若者夫婦世帯 |
既存住宅を購入 |
一戸当たりの上限 |
該当する |
該当する |
60万円 |
該当しない |
45万円 |
|
該当しない (その他の世帯) |
該当する(安心R住宅に限る) |
45万円 |
該当しない |
30万円 |
対象となるリフォーム工事は以下の通りです。なお④〜⑧の工事は①〜③の工事と同時に行う場合に対象になります。
- 1.開口部の断熱改修
- 2.外壁・屋根・天井・床の断熱改修
- 3.エコ住宅設備の設置
- 4.子育て対応改修
- 5.防災性向上改修
- 6.バリアフリー改修
- 7.空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置
- 8.リフォーム瑕疵保険等への加入
5 ZEH支援事業
国土交通省・経済産業省・環境省が連携して、中小の工務店が連携して建築するZEHの促進支援を進めるための事業です。家庭内の大幅な低炭素化の実現をはかることを目的としています。
交付要件は『ZEH』の定義を満たしていることや本事業の条件を満たす設備を導入すること、要件を満たすエネルギー計測装置(HEMS)を導入することなどがあります。一戸当たりの上限は70万円ですが、令和5年度以降についてはまだ公表されていません。
令和4年度は現在追加公募(一般公募)を受け付けており、2023年3月23日まで期間を延長しています。令和5年度の受付期間や内容については、今後ホームページなどにて確認する必要があります。
6 住宅エコリフォーム推進事業
国土交通省が住宅ストックの省エネ化を推進するために行なう事業です。住宅のZEHレベルを高くする工事を行なうと、補助金が交付されます。
補助率(補助限度額)と対象となる工事は以下の通りです。
区分 |
補助率・補助限度額 |
省エネ診断 |
1/3等 |
省エネ設計等 |
1/3等 |
省エネ改修(建て替えを含む) |
11.5% 【構造補強を伴う場合】 |
対象工事
- ・二重サッシや複層ガラスによる開口部の断熱工事
- ・断熱材の挿入による躯体部分の断熱工事
- ・高効率給湯器の設置
- ・照明のLED化工事
補助金毎の必要書類と申請方法
補助金ごとに必要書類や申請方法が異なります。また契約や工事前に申請が必要な補助金もあり、順序を間違えると補助金を受けられない可能性もあります。
補助金ごとに詳しく紹介していきます。
1 断熱リフォーム支援事業
申請方法は以下の通りです。
- 1.公募要領や申請様式など交付申請書書類をホームページからダウンロード
- 2.ダウンロードした書類を記入例を確認しながら必要事項を記入
- 3.関係書類をまとめてメール等で申請
- 4.交付決定後に契約・発注・着工
- 5.工事完了後施工前・施工後の写真を提出し、完了実績報告書を提出
- 6.交付額確定通知書により補助金が確定
戸建て住宅の場合に必要となる書類は以下の通りです。また工事の内容によっては、工事に関係する書類が別途必要になります。
- ・交付申請書・誓約書
- ・暴力団排除に関する誓約書
- ・総括表・明細書
- ・平面図・求積図
- ・住民票の写し
2 次世代省エネ建材支援事業
申請方法は以下の通りです。
- 1.交付申請書・提出書類を作成
- 2.交付申請書受理・審査
- 3.補助金交付決定通知書の発行
- 4.事業開始(契約・発注・着工)
- 5.中間検査(現地調査)
- 6.事業完了(工事完了・支払い完了)
- 7.実績報告書・提出書類作成、提出
- 8.効果測定・審査等
- 9.交付額確定通知書発行・受領
- 10.補助金入金
必要書類は以下の通りです。
なお工事の内容によって異なる場合があります。詳しくはリフォーム会社にご相談ください。
外張り断熱 |
内張り断熱 |
窓断熱 |
|
交付申請書 |
〇 |
〇 |
〇 |
暴力団排除に関する誓約事項 |
〇 |
〇 |
〇 |
明細書 |
〇 |
〇 |
〇 |
総括表 |
〇 |
〇 |
〇 |
誓約書 |
〇 |
〇 |
〇 |
見積書 |
〇 |
〇 |
〇 |
平面図 |
〇 |
〇 |
〇 |
立面図 |
〇 |
― |
― |
矩計図・断面図 |
〇 |
ー |
ー |
展開図・伏図 |
〇 |
〇 |
〇(窓のみの場合は不要) |
求積表 |
〇 |
〇 |
〇(窓のみの場合不要) |
本人確認書類 |
〇 |
〇 |
〇 |
外皮計算書など性能を確認できる書類 |
〇 |
ー |
ー |
設計チェックシート |
〇 |
〇 |
〇 |
居室の断熱性能が確認できる書類 |
〇 |
〇 |
〇 |
高効率換気システムの要件が確認できる書類 |
〇 |
ー |
ー |
3 介護・バリアフリーリフォーム補助金(介護保険による住宅改修の助成金)
申請方法は以下の通りです。
- 1.地域を管轄するケアマネージャーに住宅改修について相談
- 2.リフォーム業者に見積もりを依頼
- 3.市区町村の役所へ申請
- 4.役所の担当課が承認・助成決定通知
- 5.リフォーム工事着手
- 6.リフォーム業者へ工事代金支払い
- 7.役所に工事完了の申請
- 8.助成金の入金
市区町村によって多少名称などが異なる場合がありますが、必要書類は以下の通りです。
- ・支給申請書
- ・住宅改修が必要な理由書(ケアマネージャー等が作成)
- ・見積書
- ・工事費内訳書
- ・平面図など工事の内容が分かる図面
- ・リフォーム前の写真(工事完了の申請時に工事完了後の写真を提出)
- ・工事代金支払いの領収書(工事完了の申請時)
4 こどもエコ住まい支援事業
この事業に関しては、工事発注者が自ら申請することはできないため、リフォーム業者と協力して申請することになります。申請方法は以下の通りです。
- 1.工事施工会社が「こどもエコすまい支援事業者」に登録申請
- 2.工事計画・見積もり
- 3.工事請負契約の締結
- 4.共同事業実施規約の締結
- 5.工事着手
- 6.交付申請の予約
- 7.工事の完了・引渡し
- 8.交付申請
- 9.交付決定通知
- 10.実績報告書(請求書)
- 11.補助金交付額確定通知
- 12.補助金入金
必要書類は以下の通りです。
- ・こどもエコすまい支援事業補助金共同事業実施規約
- ・工事請負契約書
- ・工事前写真・着工写真
- ・工事発注者の本人確認書類等(運転免許証や住民票)
既存住宅購入を伴う場合
- ・不動産売買契約書
- ・不動産容器の全部事項証明書
安心R住宅の購入が伴う場合
- ・安心R住宅調査報告書
5 ZEH支援事業
令和4年度より、本事業に対する申請はSIIが提供する「戸建ZEH補助金申請ポータルサイトを利用して電子申請(ZEHポータル)になりました。申請者が個人で申請を行う場合は、まず申請者のユーザー仮登録が必要になります。
申請の流れは以下の通りです。
- 1.公募内容の確認
- 2.ZEHポータルよりユーザー登録
- 3.ZEHポータルにログイン
- 4.申請事業・公募区分を選択し新規登録
- 5.情報入力
- 6.申請完了
- 7.審査結果の通知
ここでは個人が申請する場合の流れを紹介しましたが、申請はリフォーム業者が行なうことも可能です。慣れていないと難しいため、必要に応じて担当者に依頼することをおすすめします。
なお令和5年度の補助金についてはまだ発表されていません。今後ホームページで確認する必要があります。
6 住宅エコリフォーム推進事業
補助金の交付申請は、「jGrants」を利用して行なう電子申請になります。申請の流れは以下の通りです。
- 1.gBizIDの「gBizID プライム」または「gBizID メンバー」のアカウントを取得
- 2.事業者登録を行なう
- 3.交付申請を行なう(診断のみ・部分改修・全体改修の3つに分かれています)
- 4.完了実績報告を行なう
なお2022年9月1日以降の契約でなおかつ事業者登録後の着工であれば、交付申請は契約締結後、工事のタイミングに寄らずいつでも実施することができます。プロジェクト名を決める必要がありますが、ほかの申請と識別しやすいようにするためのものです。
必要書類は以下の通りです。
- ・工事請負契約書
- ・見積書一式
- ・補助対象事業費内訳書
- ・共同実施規約または買取再販に係る誓約書
- ・土砂災害危険区域外の建築士証明(建て替えを含む場合)
- ・耐震工事を予定している旨を証する書類(部分改修を含む場合・全体改修を含む場合)
補助金申請時の注意点
最後に補助金を申請するときに、注意していただきたいポイントを3つ紹介します。
- ・期限が早まる可能性もある
- ・併用できない補助金
- ・申請のタイミングに注意する
1 期限が早まる可能性もある
補助金は期限が設けられていますが、予算に到達した時点で受付終了となる可能性があります。受付終了まで余裕があったとしても、なるべく早く申請することをおすすめします。
また申請を予定している場合は、最新の進捗状況をホームページなどで確認し、その動向に注意するようにします。
2 併用できない補助金
原則的に補助金は併用できません。内容や要件を確認し、複数の補助金を使える可能性がある場合は、多く出る方を活用します。
また申請が可能であっても複数を活用する場合は、その補助金からほかの補助金を差し引いて計算されることになります。
ただし国と市区町村など、予算の出所が異なる場合は併用できる可能性もありますので、詳しくはリフォーム会社や問い合わせ窓口などで確認します。
3 申請タイミングに注意する
補助金は契約前に申請する必要があるものや、工事前の写真が必要な補助金などがあります。その手順を間違えたり、工事前・後の写真がないと補助金を受けられなくなる可能性もあります。
申請の流れや要件はよく確認する必要がありますので、リフォーム会社の担当者と相談しながら協力して行うことをおすすめします。
まとめ
リフォーム補助金事業は複数あり、国が行なう事業もあれば公益財団法人などが窓口になっている事業もあります。
それぞれ細かい要件が設定されていることもあり、慣れていないと比較が難しいかもしれません。リフォーム補助金の利用を検討する場合は、リフォーム会社とよく相談してから決めるようにしたいものです。
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