住宅購入を検討している方の中には、住宅助成金を利用できないか気になっている方も多いのではないでしょうか。

助成金や補助金などを利用できれば費用負担を軽減できますが、利用するには条件が設けられているため、各制度の詳細を事前に確認しておくことが大切です。

この記事では、2024年に全国・各地方自治体で住宅購入時に受けられる助成金・補助金、利用可能な減税制度・軽減措置、申請時の注意点などを解説します。

【2024年】住宅購入時に受けられる助成金・補助金

住宅購入時に受けられる助成金・補助金の内容は年によって違います。そのため、現在はどのような助成金・補助金を受けられるのか常に最新情報を確認しておくことが大切です。

2024年に利用可能な住宅助成金として、以下の5つが挙げられます。

  • ●子育てエコホーム支援事業
  • ●サステナブル建築物等先導事業
  • ●住宅・建築物省エネ改修推進事業
  • ●長期優良住宅化リフォーム推進事業
  • ●既存建築物省エネ化推進事業

それぞれの住宅助成金について詳しく見ていきましょう。

子育てエコホーム支援事業

子育てエコホーム支援事業とは、エネルギー価格の高騰の影響を受けやすい子育て世帯や若者夫婦世帯に対し、高い省エネ性能を有する新築住宅の取得や省エネ改修に対して支援するものです。

子育てエコホーム支援事業の詳細は以下の通りです。

 

概要

対象者

子育て世帯(18歳未満の子どもがいる世帯)
若者夫婦世帯(夫婦のいずれかが39歳以下の世帯)

対象住宅

長期優良住宅、ZEH住宅などの省エネ性能の高い新築住宅や改修住宅

補助限度額

<新築の場合>
長期優良住宅100万円/
ZEH住宅 80万円/

<改修の場合>
子育て世帯・若者夫婦世帯上限30万円/
その他の世帯上限20万円/
※子育て世帯・若者夫婦世帯が既存住宅購入を伴う場合は
上限60万円/
※長期優良リフォームを行う場合は
子育て世帯・若者夫婦世帯:上限45万円/
その他の世帯:上限30万円/

サステナブル建築物等先導事業

サステナブル建築物等先導事業とは、先導性の高い省エネ・省CO2プロジェクトに対して支援を行うものです。

サステナブル建築物等先導事業の詳細は以下の通りです。

 

概要

対象者

特別な世帯要件なし

対象住宅

先導性の高い省エネ化に取り組む住宅・非住宅の新築・改修

補助限度額

最大5億円/プロジェクト(補助金はプロジェクト費用の2分の1まで)

住宅・建築物省エネ改修推進事業

住宅・建築物省エネ改修推進事業とは、住宅・建築物のカーボンニュートラル実現に向けて、既存住宅・建築物などの省エネ改修を促進するための支援を行うものです。

住宅・建築物省エネ改修推進事業の詳細は以下の通りです。

 

概要

対象者

特別な世帯要件なし

対象住宅

省エネ基準適合レベルまたはZEHZEBレベルへの省エネ改修工事

補助限度額

<住宅で国+地方の場合>
省エネ基準適合レベル 30万円/戸(補助対象費用の4割を限度)
ZEHレベル 70万円/戸(補助対象費用の8割を限度)

<非住宅で国+地方の場合>
補助率:23%
限度額:
省エネ基準適合レベル 5,600/
ZEBレベル 9,600/

長期優良住宅化リフォーム推進事業

長期優良住宅化リフォーム推進事業とは、既存住宅の長寿命化や省エネ化に資するための性能向上リフォームまたは改修などを支援するものです。

長期優良住宅化リフォーム推進事業の詳細は以下の通りです。

 

概要

対象者

特別な世帯要件なし

対象住宅

インスペクション(住宅診断)を実施し、維持保全計画・履歴を作成すること工事後に耐震性、劣化対策、省エネルギー性を確保すること

補助限度額

限度額:80万円/
※長期優良住宅(増改築)認定を取得する場合は160万円/
補助率:改修費用の3分の1まで

既存建築物省エネ化推進事業

既存建築物省エネ化推進事業とは、既存建築物の省エネルギー改修を促進し、民間事業者などが行う省エネ性能を向上させることを目的とした改修工事、省エネ工事に加えて実施するバリアフリー改修工事に対して、国が事業の実施に要する費用の一部を支援するものです。

既存建築物省エネ化推進事業の詳細は以下の通りです。

 

概要

対象者

特別な世帯要件なし

対象住宅

既存の住宅や建築物で、省エネ改修工事およびバリアフリー改修工事などを実施するもの
20%以上の省エネ効果が見込まれる既存建築物の省エネ改修工事等

補助限度額

5,000万円/プロジェクト
補助率:改修費用の3分の1まで

【地方自治体別】住宅購入時に受けられる補助金・助成金

住宅購入時には、国の支援以外にも地方自治体の支援を受けることも可能です。ただし、全ての地方自治体で住宅助成金を利用できるわけではありません。また、国と地方自治体の住宅助成金は併用できない場合があるので注意が必要です。

地方自治体によって住宅助成金の有無、内容は大きく異なるため、事前にどのような補助金・助成金を受けられるのか各地方自治体のホームページなどで確認することが大切です。

代表的な事例として、東京都・神奈川県・埼玉県の3つの住宅助成金を詳しく解説します。

東京都

東京都では東京ゼロエミ住宅導入促進事業という住宅助成金を受けられます。東京ゼロエミ住宅導入促進事業とは、エネルギー消費量の約3割を占める家庭部門の省エネルギー対策を推進し、省エネ性能の高い住宅を新築して環境負荷を低減する取り組みを支援するものです。

東京ゼロエミ住宅導入促進事業の詳細は以下の通りです。

 

概要

対象者

新築住宅の建築主(個人・事業者)

対象住宅

都内の新築住宅(戸建住宅・集合住宅等)
ただし、床面積の合計が2,000㎡未満のもの

補助限度額

<住宅建設費>
戸建住宅
水準130万円/戸、水準250万円/戸、水準3210万円/
集合住宅等
水準120万円/戸、水準240万円/戸、水準3170万円/

助成対象住宅に対する太陽光発電設備や蓄電池およびV2Hを設置する場合は追加して補助が受けられます。

神奈川県

神奈川県ではネット・ゼロ・エネルギー・ハウス導入費補助金という住宅助成金を受けられます。ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス導入費補助金とは、エネルギーの消費量の削減および再生可能エネルギーの利用促進を目指し、中小工務店が施工するネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の導入に係る経費の一部を支援するものです。

ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス導入費補助金の詳細は以下の通りです。

 

概要

対象者

新築住宅を建設する場合の建築主
既存の住宅を所有し、省エネ改修を行う個人または法人

対象住宅

新築住宅:ZEH基準を満たす新築住宅
既存住宅:既存住宅で、省エネ性能を向上させる改修工事を行うもの

補助限度額

ZEH+(Nearly ZEH+含む):100万円/
ZEHNearly ZEH含む) 55万円/
ZEH Oriented50万円/

埼玉県

埼玉県では家庭における省エネ・再エネ活用設備導入補助金という住宅助成金を受けられます。家庭における省エネ・再エネ活用設備導入補助金とは、家庭部門の脱炭素化を促進するため、自らが居住する既存住宅に新たに省エネ・再エネ活用設備を導入する方を支援するものです。

家庭における省エネ・再エネ活用設備導入補助金の詳細は以下の通りです。

 

概要

対象者

特別な世帯要件なし

対象住宅

既存住宅

補助限度額

太陽光発電設備:7万円/kW(上限35万円)
太陽熱利用システム:補助対象経費の2/3(上限40万円)
蓄電池・エネファーム:10万円/

住宅購入時に利用できる減税制度・軽減措置

住宅購入時には、以下のような減税制度・軽減措置を利用できます。

  • ●住宅ローン減税制度
  • ●住宅取得等資金の贈与税非課税の特例
  • ●認定住宅等の新築等の優遇制度
  • ●税の軽減措置

それぞれの減税制度・軽減措置について詳しく説明します。

住宅ローン減税制度

住宅ローン控除とは、住宅ローンを契約して、新築・購入・増改築する際に年末の住宅ローン残高の一部を所得税から控除する制度です。住宅ローンを利用する個人の経済的負担を軽減することを目的としています。

 

概要

適用要件

主として居住の用に供する住宅であること
生計を一にする親族や特別な関係者からの取得でないこと
過去3年間に特定の譲渡所得の特例を受けていないこと
上記のような一定要件を満たす必要がある

控除期間

新築住宅等の場合、控除期間は原則13
既存住宅の場合、控除期間は10

控除率

年末のローン残高の0.7%を控除

借入限度額/最大控除額

<新築住宅>
長期優良住宅・低炭素住宅
4,500万円(5,000万円)/31.5万円(35万円)
ZEH水準省エネ住宅
3,500万円(4,500万円)/24.5万円(31.5万円)
省エネ基準適合住宅
3,000万円(4,000万円)/21万円(28万円)
※()内は子育て世帯・若者夫婦世帯の上限
上記以外の住宅   0
2023年までに新築の建築確認をしている場合は2,000万円/14万円

<既存住宅>
長期優良住宅、認定低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅
3,000万円/21万円
その他の住宅
2,000万円/14万円

令和6年度税制改正で住宅ローン減税の制度内容が変更されました。詳細については以下をご確認ください。
参照:国土交通省「住宅ローン減税

住宅取得等資金の贈与税非課税の特例

住宅取得等資金の贈与税非課税の特例とは、住宅購入資金を贈与された際、一定額までの贈与に対して贈与税が非課税となる制度です。

住宅取得等資金の贈与税非課税の特例の詳細は以下の通りです。

 

概要

適用要件

贈与者は直系尊属(親や祖父母)
受贈者は18歳以上、贈与を受けた年の合計所得が2,000万円以下
住宅の新築、購入、増改築等のための資金
床面積が50㎡以上240㎡以下で、その半分以上が受贈者の居住用
上記のような一定要件を満たす必要がある

控除期間

控除率

借入限度額/最大控除額

省エネ等住宅: 最大1,000万円
その他の住宅: 最大500万円

基礎控除110万円との併用が可能であるため、省エネ等住宅の場合は合計1,110万円まで非課税です。詳細は以下をご確認ください。
参照:国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

認定住宅等の新築等の優遇制度

住宅ローン控除と別に認定住宅等新築等特別税額控除があります。認定住宅等新築等特別税額控除とは、個人が令和7年12月31日までに、認定住宅等(認定長期優良住宅、認定低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅)を新築または建築後未使用のものを取得した場合に利用できる税額控除です。

認定住宅等新築等特別税額控除の詳細は以下の通りです。

 

概要

適用要件

認定長期優良住宅や認定低炭素住宅などの認定を受けた住宅であること
床面積が50㎡以上であること
住宅の半分以上を居住用とすること
上記のような一定要件を満たす必要がある

控除期間

1年分のみ

控除率

工事費用の10%

借入限度額/最大控除額

最大控除額:65万円

住宅ローンを利用してかどうかは要件ではありません。そのため、住宅ローンを契約していない方はこちらを選択することで負担を軽減できます。ただし、住宅ローン控除と併用できないので注意が必要です。詳細は以下をご確認ください。
参照:国土交通省「認定住宅等新築等特別税額控除(投資型減税)について

税の軽減措置

住宅を購入した場合は、登録免許税・不動産取得税・固定資産税などの各種税金が軽減されます。

登録免許税

登録免許税とは、新築住宅や土地などの不動産を購入、取得した際の不動産の登記でかかる税金です。具体的には不動産の所有権移転登記、抵当権設定登記などがあります。

新築住宅の場合、認定長期優良住宅や低炭素住宅などの一定の要件を満たす住宅であれば、所有権保存登記の税率が通常の0.4.%から0.15%に軽減されます。また、一定の耐震基準を満たす既存住宅は、通常の2.0%から0.3%に軽減。

住宅ローンを契約する際の抵当権設定においても、税率が0.4%から0.1%に軽減されます。

不動産所得税

不動産取得税とは、土地や建物などの不動産を取得した際に課される地方税です。不動産を取得する際に一度だけ課されます。

新築住宅の場合、課税標準額から1,200万円が控除されます。なお、認定長期優良住宅の場合はさらに控除額が1,300万円に増額。

住宅用地の取得に対しても軽減措置が適用されるため、課税標準額の1/2が控除されます。

固定資産税

固定資産税とは、毎年1月1日時点で土地や建物などの固定資産を所有している方に課される地方税です。新築住宅の場合は、一般住宅だと居住用部分の固定資産税が3年間半額、認定を受けた長期優良住宅だと5年間に延長されます。

また、住宅用地の特例では、200㎡以下の土地部分は1/6、200㎡超は1/3に固定資産税が減額されます。

住宅購入時に補助金・助成金を申請する際の注意点

住宅購入時の補助金・助成金は自動的に受けられるものとは限りません。補助金や助成金を受けるためには手続きが必要になるものもあるので注意が必要です。

不備なく申請を進めるには、どのような書類が必要なのかを事前に確認しておくことが大切です。また、書類を紛失すると必要な手続きができなくなるため、なくさないようにしっかり保管しましょう。

また、国と地方自治体の住宅助成金の中には、併用することによって負担をさらに軽減することも可能です。しかし、全て併用できるわけではないため、併用できるのかどうかも確認しておきましょう。

まとめ

国や地方自治体の補助金や助成金を受ければ、住宅購入時の負担を軽減できます。しかし、住宅助成金は必ずしも受けられるとは限りません。

各住宅助成金には、適用条件が設けられており、住宅助成金を受けるためには手続きが必要なものもあります。住宅助成金をうまく利用して住宅購入時の負担を軽減するためにも、どのような住宅助成金があるか、併用できるか、どんな手続きが必要なのかなどを事前にしっかり確認しておきましょう。

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