土地を購入したいけれど、土地代以外の費用も意外にかかるため不安を感じている方もいるのではないでしょうか?確かに土地購入に関連する費用の目安は、土地代金の5~10%と決して安くはありません。ただし各費用の特徴や、費用が生じるタイミングを理解しておけば、計画的な準備が可能です。この記事では、土地購入に関連する費用の概要と、金額の目安について紹介しています。

土地の購入時にかかる費用

土地の購入時には以下のような費用がかかります。 

  • 仲介手数料
  • 印紙税
  • 手付金
  • 登録免許税
  • 司法書士への報酬
  • 住宅ローン手数料
  • その他費用 

土地の購入にかかる費用は、土地購入時と土地購入後の費用を合計すると、土地代金の510%と言われています。計画的に準備するためにも、各費用の金額の目安や、支払うタイミングについて確認しておきましょう。まずは、土地購入時にかかる費用について詳しく解説します。 

仲介手数料

不動産会社などの仲介会社と媒介契約を結んで住宅購入をする場合、仲介手数料の支払いが必要です。仲介手数料は売買契約締結時と、引き渡し日の2回に分けて50%ずつ支払われます。 

仲介手数料は宅建業法によって以下の通り上限が決まっています。 

取引物件価格(税抜)

仲介手数料の上限

400万円超

取引物件価格(税抜)×3.0%6万円+消費税

200400万円以下

取引物件価格(税抜)×4.0%2万円+消費税

200万円以下

取引物件価格(税抜)×5.0%+消費税

【計算例】土地の取引価格3,000万万円の場合

3,000×3.0%6万円=96×1.1(消費税)=1056,000 

印紙税

領収証や契約書などの課税文書に対して発生する税金を印紙税と言います。印紙税は課税文書に記載された契約金額に応じた金額の印紙を貼付して、消印をすることで納付が完了します。 

土地を購入する場合、売買契約をするとき、およびローンを利用するときに締結する金銭消費貸借契約をするときに印紙税が必要です。金銭消費貸借契約の印紙税については、「住宅ローン手数料」の章で解説します。 

【印紙税(売買契約の場合)】

売買契約書

印紙税額

軽減税率が適用された印紙税額

10万円超え50万円以下

400

200

50万円超え100万円以下

1,000

500

100万円超え500万円以下

2,000

1,000

500万円超え1,000万円以下

1万円

5,000

1,000万円超え5,000万円以下

2万円

1万円

5,000万円超え1億円以下

6万円

3万円

1億円超え5億円以下

10万円

6万円

参考:国税庁 

201441日から2024331日までの間に作成した、以下の要件を満たす契約書については軽減税率が適用されます(軽減措置)。

  • 売買契約書のうち、契約書に記載された契約金額が10万円を超えるもの 

手付金

売買契約締結時には、契約成立の証拠として手付金を現金で支払う必要があります。手付金の目安は、売買代金の510%程度です。 

売買契約時に取り決めた手付解除期日までであれば、買主は手付金を放棄、売主の場合は手付金の2倍の金額を買主に支払えば、売買契約をキャンセルできます。またどちらかに債務不履行があった場合、損害賠償として相手方に没収される可能性があります。 

登録免許税

その土地が自分のものであることを証明するには登記が必要で、登録免許税とは登記手続きの際に納める税金のことを言います。 

また、所有権が売主から買主に移るときの登記のことを「土地の所有権移転登記」と言い、税率は以下の通りです。 

登記の種別

登録免許税率

軽減税率

土地の所有権移転登記

課税標準額×2.0%

課税標準額×1.5%

参考:国税庁 

2023331日までの間に受けた土地の所有権移転登記は、軽減措置(軽減税率)が適用されます。 

司法書士への報酬

土地の所有権移転登記は自分でもできますが、必要書類を用意したり、取り寄せたりと手間がかかるため、司法書士に依頼するのが一般的です。司法書士に依頼する場合、登録免許税と報酬を併せて司法書士に支払います。 

日本司法書士会連合会の調査によると、所有権移転登記の平均額は関東地区の場合で5万円~9万円です。なお、住宅ローンを利用して土地を購入すると、多くの場合、融資条件として司法書士による登記を求められます。 

住宅ローン手数料

住宅ローンを利用すると、次のような諸費用がかかります。 

  • 金銭消費貸借契約書の印紙税
  • 抵当権設定にかかる登録免許税
  • 司法書士への報酬
  • 融資事務手数料 

住宅ローンの本審査後に通過すると、金銭消費貸借契約を締結するため印紙税が必要ですが、金銭消費貸借契約書の印紙税は以下の通りです。金銭消費貸借契約については、軽減措置はありません。

【印紙税(金銭消費貸借契約書の場合)】 

金銭消費貸借契約書の記載金額

印紙税額

10万円超え50万円以下

400

50万円超え100万円以下

1,000

100万円超え500万円以下

2,000

500万円超え1,000万円以下

1万円

1,000万円超え5,000万円以下

2万円

5,000万円超え1億円以下

6万円

1億円超え5億円以下

10万円

参考:国税庁 

また住宅ローンを利用する場合、物件引き渡し後に抵当権設定登記をするため、登録免許税が必要です。抵当権設定登記は、借入金額に以下の税率を乗じて計算をします。 

登記の種別

登録免許税率

軽減税率

抵当権の設定登記

0.4

0.1

参考:国税庁 

2024331日までの間に土地を購入した場合は軽減措置(軽減税率)が適用されます。 

また抵当権設定登記を司法書士に依頼するときは、ここでも司法書士報酬が発生します。 

日本司法書士会連合会の調査によると、関東地区の場合で、抵当権設定登記の平均額は約75,000円です。 

その他、住宅ローンを組むときにかかる手数料は以下の通りです。 

項目

概要

手数料が発生するタイミング

金額の目安

融資事務手数料

住宅ローンを利用するときに支払う金融機関の事務手数料

融資実行時、または金利上乗せ(毎月)

借入額×2.2%

ローン保証料

ローン契約者が返済不能になったとき、保証会社が代わりに金融機関に返済をする契約のための費用

融資実行時、または金利上乗せ(毎月)

高い場合で借入額×2.0

その他費用

仮に登記簿上の地目が「畑」や「田」の場合、農地法に基づく許可がなければ売買できません。ただし市街化調整区域の場合は、比較的簡易な手続きで「宅地」に変更が可能です。農地転用費用の相場は10万~20万円で、引き渡し時に支払うことが一般的です。 

また固定資産税清算金が発生する場合があります。固定資産税とは1月1日時点で、土地や建物といった不動産を持っている方に課税される税金です。 

しかし仮にその年の5月に土地を購入した場合、買主は固定資産税を支払わず、途中で売却をしたにもかかわらず売主が固定資産税を負担することになり、売主は不公平を感じるでしょう。 

こうした不公平が生じないよう、買主と売主は所有していた日数に応じて固定資産税を分担することが慣例となっています。これを「固定資産税清算金」と言います。 

例えば131日に土地を引き渡し、起算日を11日(※1)とした場合、売主が土地を保有していた期間は31日間のため、買主は334日分の固定資産税清算金を売買代金として残代金決済日(※2)に支払います。 

※1 起算日 不動産の保有期間を計算するための基準となる日

※2 残代金決済日 売買代金から手付金を引いた金額を支払う日 

土地の購入後にかかる費用

ここまでは土地購入時にかかる費用について解説してきました。次に、土地の購入後にかかる費用について見ていきましょう。土地購入後にかかる費用は以下の通りです。 

  • 不動産取得税
  • 固定資産税・都市計画税
  • 解体費用
  • 水道の引き込みにかかる費用
  • 地盤調査費用
  • 地盤改良費用 

以下、詳しく解説していきます。 

不動産取得税

不動産所得税とは、土地や建物を取得した方に一時的に課される地方税のことで、都道府県から送付される納税通知書に基づいて支払います。 

不動産取得税の税率は土地や建物の課税標準額に、以下の税率を乗じて計算します。

対象

取得税率

軽減税率

土地及び建物

4.0%2024331日までは3.0%)

建物:新築は1,200万円控、中古は築年数に応じて最大1,200万円控除

土地:課税標準額の2分の1

参考:総務省

ただし2024331日までに取得した場合、新築の住宅は課税標準から1,200万円が控除、中古住宅は築年数に応じた控除額が適用されます。また土地の場合は、課税標準額が2分の1になります。 

固定資産税・都市計画税

先にも述べましたが、固定資産税は1月1日時点で、土地や建物といった不動産を持っている方に課税される税金です。また、所有している土地や建物の所在地が市街化区域に指定されている場合は、都市計画税の支払いも必要です。46月ごろに納税通知書が届き、6月、9月、12月、2月に支払います。一括での支払いも可能です。 

固定資産税・都市計画税は固定資産税評価額に以下の税率を乗じて計算します。ただし、自治体によって異なる場合があります。 

 

税率

固定資産税

1.4%(自治体によって異なる)

都市計画税

最大0.3%(それ以下の自治体もある)

 住宅用地の場合、土地の評価額が200平米以下の場合は6分の1、それを超える部分は3分の1に減額されます。  

解体費用

建物付きの土地を購入した場合、建物を解体する必要があります。解体費用の相場は建物の構造によって異なり、工事終了後に支払うのが一般的です。 

【解体工事費用の相場】 

構造

坪単価

木造

4万~5万円

軽量鉄骨造

6万~7万円

鉄筋コンクリート造

7万~8万円

水道の引き込みにかかる費用

購入した土地まで上水道が引き込まれていない場合、水道の引き込み費用がかかります。水道管の口径にもよりますが、目安として30万~50万円の費用がかかります。 

地盤調査費用

購入した土地に建物を建てる場合、地盤に建物を建てられるほど十分な強度があるか確認が必要になります。 

地盤調査方法には、建設する場所に鉄の棒を差して測定する「スウェーデン式サウンディング試験」と、機械で穴を掘って調査する「ボーリング調査」があり、所要時間や調査費用の相場は以下の通りです。 

【スウェーデン式サウンディング試験とボーリング調査の所要時間と調査費用の目安】

 

スウェーデン式サウンディング試験

ボーリング調査

所要時間

半日~1日程度

1日~数日程度

費用

5万円

20万円

地盤改良費用

仮に地盤調査の結果に問題があった場合、「表層改良工法」「柱状改良工法」「鋼管杭工法」など地盤の改良工事が行われます。地盤改良方法の概要と費用相場は以下の通りです。 

工事の種類

概要

坪単価の目安

表層改良工法

セメントを流し込んで地盤を補強する方法

10,000円前後

柱状改良工法

セメント系凝固剤を地盤に注入させながら、コンクリートの柱を地中に作る方法

1万~2万円

鋼管杭工法

地面に鋼管を打ち込み補強させる

3万~4万円

土地の購入費用を安く抑えるコツ 

土地が高くて購入できないときは、以下のような土地がないか探してみましょう。 

  • 売れ残った分譲地を購入する
  • 競売物件を購入する 

上記の物件が安く購入できる理由を紹介します。 

売れ残った分譲地を購入する

一斉に売り出された分譲地のうち、しばらく売れ残っている区画は安く購入できる可能性があります。これは売主がなるべく早く土地を売ってしまいたいと考えるため、売れ残っている区画を安く売ろうとしているものと考えられます。 

ただし売れ残っているのは、騒音がある、交通量が多い道路に面している、付近にゴミ捨て場があるなど何らかのデメリットがある可能性も考えられます。周辺環境などを十分確認したうえで購入を検討しましょう。 

競売物件を購入する

競売物件とは、住宅ローンの返済ができなくなったため、裁判所が差し押さえて入札で売り出された物件のことです。一般的に競売物件の売買基準価格は市場価格の4050%で、さらにその80%が入札の最低価格になります。 

そのため市場価格よりも安く購入できる可能性はありますが、あくまでも入札のため、人気がある土地は大きく値上がりする可能性があります。さらに内覧や分割払いができないなど注意点の多い方法です。 

インターネットで競売物件情報を提供しているサイトがあるため、こまめに情報収集をしていれば、希望に合った物件にであう確率も高まるでしょう。 

土地の購入費用に関する注意点 

最後に、土地の購入費用に関する注意点として、個人事業主が事業として不動産を使用する場合、土地の購入費用は必要経費として計上できません。住宅利用ではないため、登録免許税や不動産取得税、住宅ローン控除等の各種税金の減免も受けられなくなります。 

また、土地は年月の経過とともに資産価値が目減りするものではないため、耐用年数が無期限という扱いです。したがって減価償却もできない点に注意が必要です。 

ただし、土地の購入をするために負担した印紙代、登録免許税、司法書士報酬、不動産取得税、固定資産税、都市計画税は経費にできます。仲介手数料は経費にはなりません。  

まとめ

土地を取得するためには、購入時だけではなく購入後も多くの費用がかかります。それぞれの費用がどれくらいかかるのか、また何時ごろかかるのかを理解して、余裕を持って準備できるよう心がけましょう。ANAの住まいで実施している無料相談では、土地の購入についての相談も対応しています。無料オンラインによる個別相談も実施しているため、ぜひご利用ください。

 

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