住宅ローンを何歳まで組めるのか気になっている方もいることでしょう。年齢を理由に契約を断られた場合、購入計画を見直さなくてはならないため、事前に確認しておくことが大切です。
この記事では、住宅ローンを何歳まで組めるか、平均年齢、何歳までに完済した方が良いか、借入額の目安、組む際のポイントや注意点などを解説します。住宅ローンを何歳まで組めるのか気になっている方は、是非参考にしてください。
住宅ローンは何歳まで組める?
住宅ローンは申込可能な年齢があらかじめ決められています。金融機関によって年齢が異なるため、契約前に確認する必要はありますが、申込可能年齢を20歳以上70歳未満に設定している金融機関が多いです。
返済期間を長期間に設定することによって毎月の返済負担を軽減できるのが住宅ローンの魅力の1つですが、自由に設定できるわけではありません。住宅ローンは申込可能年齢だけでなく、完済時年齢も決められているため、高齢の方が住宅ローンを申し込んだ場合は、返済期間が短く設定される点に注意してください。
また、住宅ローンを申し込む際は、団体信用生命保険(団信)という生命保険に加入するのが一般的です。団信の加入を必須としている住宅ローンの場合は、団信に加入できなければ住宅ローンを申し込むことができません。そのため、高齢の方が申し込む際は、健康上の理由で申し込めない可能性があるということも理解しておきましょう。
住宅ローンを組む人の平均年齢
住宅金融支援機構が発表した「2022年度 フラット35利用者調査」によると、融資区分別の平均年齢は、以下の結果となりました。
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注文住宅
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土地付注文住宅
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建売住宅
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マンション
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中古戸建
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中古マンション
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2021年度
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45.1歳
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38.5歳
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40.5歳
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44.0歳
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43.3歳
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44.1歳
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2022年度
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46.2歳
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39.6歳
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41.7歳
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45.7歳
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44.3歳
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45.2歳
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参照:住宅金融支援機構「2022年度 フラット35利用者調査」
土地付注文住宅においては平均年齢が40歳を下回りましたが、それ以外の融資区分は平均年齢が40歳代という結果でした。また、2021年度と2022年度を比較すると全ての融資区分において平均年齢が上昇しています。
晩婚化、定年年齢の引き上げによって50歳以降に住宅ローンを組む方が若干増えた、収入が安定する40歳代で契約する方が多いことが結果に影響していると考えられます。
住宅ローンは何歳までに完済した方が良い?
国土交通省が発表した「令和4年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」によると、住宅ローン融資を行っている金融機関の98.7%が完済時年齢を審査時に重視いているという結果でした。
借入時年齢が97.2%であることを考えると、完済時年齢を重視していることが分かります。完済時年齢が重視される理由として、収入が減少することによるリスクの上昇が考えられます。完済時年齢が高ければ、年金からの返済や貯金を取り崩しながらの返済となるため、キャッシュフローが悪化することによる滞納のリスクが高いです。
審査に通る可能性を少しでも高める、滞納のリスクを軽減するためにも、安定した収入が得られる65歳には完済できる計画を立てることをおすすめします。
住宅ローンの借入額の目安
住宅ローンを契約する際は、事前にどのくらいの年収に対していくら借りられるのか、毎月の返済額はどのくらいになるのか目安を把握しておくことが大切です。
仮に、年収に占める住宅ローンの返済額の割合を示す返済負担率が25%の場合における借入額、毎月の返済額の目安をまとめると以下の通りです。なお、元利均等返済、返済期間35年、当初金利1.5%で算出しています。
年収
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毎月の返済額の目安
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住宅ローンの借入額
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400万円
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8万3312円
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2721万円
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500万円
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10万4163円
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3402万円
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600万円
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12万4984円
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4082万円
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700万円
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14万5805円
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4762万円
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800万円
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16万6656円
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5443万円
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900万円
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18万7476円
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6123万円
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1000万円
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20万8327円
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6804万円
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返済負担率の設定は各金融機関によって異なります。金融機関によっては同条件でも、借入額が上記よりも小さくなる可能性があります。正確な借入額、毎月の返済額の目安を知りたい方は各金融機関でシミュレーションしてみましょう。
住宅ローンを組む際のポイント
住宅ローンを組む際は、契約後のトラブルを回避するためにも、以下のポイントを押さえておくことが大切です。
返済計画は無理のない範囲で立てる
将来的なライフプランを考慮する
それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。
返済計画は無理のない範囲で立てる
住宅ローンを契約する際、無理のない範囲で返済計画を立てることが大切です。例えば、フラット35においては、返済負担率を年収400万円未満は30%以下、年収400万円以上を35%以下としています。
しかし、この返済負担率は無理のない返済額というわけではありません。あくまでも審査における1つの借入上限であり、上限ギリギリで借りた場合は想定外の支出によってキャッシュフローが悪化する可能性があるので注意が必要です。
加齢とともに収入が増えることを想定していても、想定よりも増えなかった、会社が倒産した、病気で働けなくなったなどの収入面の問題が生じる可能性もあります。さまざまなリスクを想定して、無理のない返済計画を立てましょう。
将来的なライフプランを考慮する
住宅ローンを契約する際は、将来的なライフプランを考慮することも重要です。例えば、住宅の購入だけではなく、結婚、出産、車の買い替え、子どもの進学、老後などのさまざまなライフイベントが発生します。
これらのライフイベントには多額のお金を必要とするものも多く、それらの支出を考慮して返済計画を立てておかなければ、キャッシュフローが悪化して住宅ローンの返済が困難になる可能性があるので注意が必要です。
特に高齢になってから住宅ローンを契約する方の場合、退職による収入の減少、病気や介護による支出の増加なども考慮しなくてはなりません。
また、老後には2000万円の老後資金が必要とされています。老後を安心して迎えるためにも、将来的なライフプランを考慮して計画を立てましょう。
【年齢別】住宅ローンを組む際の注意点
住宅ローンを契約する際は、何歳で契約するかによって注意点が異なります。無理なく返済し、トラブルを回避するには、事前に年代別の注意点を押さえておくことが大切です。
年代別の注意点を詳しく解説していきます。
20代
20代で住宅ローンを借りる場合、35年ローンを契約した場合における完済時の年齢は55歳です。退職前に完済を迎えられる、完済後も退職まで期間があるため、老後資金の貯蓄に回せるといったメリットがあります。
しかし、20代は収入が少ないため、借入可能額が低く設定される可能性が高いです。また、加齢とともに収入が増える前提で契約を締結したものの、想定通りに収入が増えるとは限りません。
30代や40代と違って十分な貯蓄がないため、不測の事態にも十分に備えておくことが大切です。
30代
30代で住宅ローンを借りる場合、35年ローンを契約した場合における完済時の年齢は65歳です。完済時の年齢が退職と同時になるため、収入減少によって収入が減少することによる返済負担が増加するリスクを軽減できます。
多少の貯蓄があるため、万が一急な出費が生じても貯蓄からの返済が可能なので20代よりも余裕があります。
ただし、出産、車の買い替え、子どもの進学といったように、何かと多くのお金がかかるライフイベントが後に控えています。将来的な支出を考慮した計画を立てていないと、途中でキャッシュフローが悪化して返済が苦しくなる可能性があるので注意してください。
40代
40代で住宅ローンを借りる場合、35年ローンを契約した場合における完済時の年齢は75歳です。完済時の年齢が退職後にはなるものの、退職金を返済に充てる、繰り上げ返済をするといった形で早めに完済することで老後の負担を抑えられます。
40代も30代と同様、貯蓄があるため、万が一急な出費が生じても貯蓄からの返済が可能なので住宅ローンの返済に余裕があります。しかし、40代も30代と同様、出産、車の買い替え、子どもの進学のように、何かと多くのお金がかかるライフイベントが後に控えているため、返済に支障を生じさせないためにも返済計画をしっかり立てておきましょう。
また、老後に向けた準備も必要になるため、住宅ローンの返済だけでなく、老後資金の確保を考慮することも大切です。
50代
50代で住宅ローンを借りる場合、35年ローンを契約した場合における完済時の年齢は85歳です。完済時の年齢を80歳未満に設定している金融機関が多く、実際に35年のローンを組むことはできません。組めたとしても80歳までの30年となります。
50代で住宅ローンを組むメリットは、お金のかかるライフイベントがおおよそ終わっている、終わっていない方でもおおよその必要なお金が明確で収支を管理しやすいという点です。また、十分な貯蓄があるケースが多く、万が一の事態が起きても余裕を持って返済に対応できるでしょう。
完済時年齢の関係で35年ローンが組めず分割回数が減少します。これには返済期間が短くなることで支払総利息が減少するというメリットがある一方で、分割回数が少なくなることで月々の返済額が大きくなるというデメリットを伴います。月々の給与に対するキャッシュフローとしては厳しくなり、貯蓄を崩しつつ返済することになるかもしれません。
また、月々の返済額が大きくなった場合、銀行審査基準の1つである年収に対する返済割合の比率が高くなり、金融機関の審査の見方が厳しくなる可能性があります。
キャッシュフローに問題がないか確認するほか、審査に通らない可能性があるということを理解しておきましょう。
60代
60代で住宅ローンを借りる場合、35年ローンを契約した場合における完済時の年齢は95歳です。完済時の年齢を80歳未満に設定している金融機関が多く、実際に35年のローンを組むことはできません。組めたとしても80歳までの20年となります。
60代で住宅ローンを組むメリットは、貯蓄が他の年代よりも多く、頭金を多く用意することで借入額を減らせる点です。退職金を返済に充てることもできる、お金のかかる主なライフイベントは終わっているため、収支を管理しやすいという点もメリットです。
しかし、50代と同様、分割回数が減少して毎月の返済額が大きくなったことで、月々の給与に対するキャッシュフロー、特に退職後の年金生活になってからのキャッシュフローとしては厳しい点に注意してください。審査の見方が厳しくなる点も同様です。
また、住宅ローンを契約する際は団体信用生命保険(団信)という保険への加入を求められることが多く、加入を契約条件としている金融機関も多く、加入できない場合は住宅ローンを契約できません。
60代が住宅ローンを契約する際は健康上の理由で団信に加入できず、住宅ローンを契約できない可能性があるということも理解しておく必要があります。
まとめ
住宅ローンは何歳でも申し込めるわけではありません。金融機関ごとに申込可能年齢、完済時年齢が定められており、申し込むにはそれらの条件を満たす必要があります。
契約時の年齢が若いと年収が少ないという理由から借入可能額が小さくなる、高齢になってからでは割回数が減って毎月の返済額が大きくなりキャッシュフローが厳しくなる、返済割合の比率が高くなり審査の見方が厳しくなる、健康上の理由から団信に加入できずに申し込めない可能性があるといったように、申し込む年齢によって注意点が異なります。
契約後のトラブルを回避するためにも、年代ごとの特徴を理解し、自分に合った最適なタイミングで契約しましょう。
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