初めてのリフォームは「何から始めたらいいのか分からない」と悩んでいる人も多いかもしれません。この記事ではリフォームをしたいと思ってから、工事完成までの全体的な流れを分かりやすく紹介します。
また満足のいくリフォームをするためには、施工会社選びが重要です。後悔しないための選定方法や、リフォームするうえで注意すべきポイントを紹介します。しっかり準備して、快適な住空間を手に入れたいものです。
リフォームの流れ
リフォームを依頼する場合、あらかじめ完成までの流れが把握できているとスムーズです。施工会社へ依頼したらすぐ工事できるわけではありません。ある程度段取りが必要です。
まずはリフォームをしようと思ってから、完成までの流れを7つのステップで解説します。
- 1.リフォームのイメージ作り
- 2.予算を決める
- 3.複数社に相見積もり
- 4.施工会社の確定
- 5.詳細打ち合わせと契約
- 6.工事の着手
- 7.完成
1 リフォームのイメージ作り
まずは何を改善したいのか、不便を感じているのはどこなのか考えてみます。工事内容によっては設備の交換などをする「リフォーム」ではなく、間取りの変更をともなうような「リノベーション」になるかもしれません。大掛かりな工事になれば、その分費用もかかります。
まず改善したいことや、困っていることを箇条書きで書いてみることをおすすめします。改善したいポイントを可視化することで、何をしたいのか見えてきます。またそのメモは、施工会社に相談する時にも役立つでしょう。
- ・浴室の段差を解消したい
- ・温水洗浄便座委に不具合がある
- ・対面式のキッチンにしたい
またリフォーム後の生活をイメージすることも大切です。リフォームすることによって、どんな生活を手に入れたいのかイメージします。
- ・新しい機能が備わった浴室で日々の疲れを癒したい
- ・お手入れが楽なトイレに交換して家事を時短する
- ・ホテルのような寝室にしたい
2 予算を決める
リフォームのイメージができたら予算を決めます。もちろんこの段階では希望するリフォームにいくらかかるか分からないかもしれませんが、リフォームに使える金額を決めておきます。
リフォームは計画している間に設備をグレードアップしたり、工事するエリアを増やしたくなる可能性があります。資金が足りない場合は、リフォームローンを利用する方法もあります。高額になる可能性がある場合は視野に入れておきます。
リフォームローンとはリフォーム資金専用のローンです。通常担保は不要ですが、住宅ローンに比べると金利は高めです。まずは住宅ローンを借りている金融機関に相談してみましょう。
金利や借入できる金額は、金融機関によって異なります。審査に時間がかかる可能性もあるため、あらかじめホームページなどで借入先候補を決めておくと安心です。
3 複数社に相見積もり
基本的には、複数社に見積もりを依頼することをおすすめします。金額を比較したい場合は、まず1社に現地を見てもらい、希望や予算を伝えて見積書を作成してもらいます。
1社目に提案してもらった内容を他社にも相談し、見積もりを作成してもらいます。見積もりの内容や条件が異なると、金額の比較ができなくなるためです。この場合2社目には1社目の金額は伝えません。かならずそれよりも安い金額で提案してくるので、正確な比較はできません。
もし一般的にリノベーションといわれる大掛かりな工事になる場合は、その会社ごとのプランを自由に提案してもらいましょう。ポイントは、必ず盛り込んでほしい要件はしっかり伝えつつ、自由に提案してもらうことです。自分では思いつかないような提案をしてもらえる可能性があるでしょう。
現地調査や見積作成には時間がかかります。依頼先を決めるまでに疲れ果ててしまわないように、2〜3社ぐらいに見積依頼するのがちょうどいいです。
「どこへ依頼したらいいか分からない」という人には、施工会社を紹介してくれるサービスの利用をおすすめします。一定の基準を満たした施工会社から選ぶことができるので安心です。
4 施工会社の確定
見積もりが出揃ったところで、リフォーム工事の依頼先を決めます。同じ内容であれば安いに越したことはありませんが、金額だけで決めないようにしましょう。極端に安い場合には注意が必要です。
また施工会社によっては得意・不得意もありますが、事前には分からないことがほとんどです。たとえば内装工事は得意だけど、外構工事は得意でない場合があります。
施工会社を決める際は同じような施工事例がないか確認し、できればその写真などを見せてもらいましょう。実際に実績などを聞いてみるのも一つの方法です。
後半で施工会社の選び方をさらに詳しく紹介していきますので、そちらも参考にしてください。
5 詳細打ち合わせと契約
依頼先の施工会社が決まったら、正式に契約をします。契約をした後に内容を変更すると、余分に費用がかかってしまいます。見積書や仕様書などをきちんと確認し、選んだ設備のグレードやカラーに間違いがないか確認します。
代金の支払い時期や完成時期、万が一解除した場合の違約金、アフターケアの有無など契約前に確認することをおすすめします。
契約時には通常以下の書面が用意されます。また1冊に綴じられていることもあります。軽微な工事の場合は設計図面や仕様書がない場合もありますので、その場合は見積書で内容を確認します。
- ・請負契約書・契約約款
- ・見積書
- ・設計図面
- ・仕様書
- ・工程表
6 工事の着手
マンションの場合は、工事着手前に管理組合に届け出(工事内容や工程表の掲示など)が必要になるケースがあります。事前に管理規約を確認することをおすすめします。
一戸建ての場合、工事の内容によっては近隣挨拶をした方がいいケースもあります。騒音問題や大きなトラックが長い時間停車する場合などは、全面道路の通行に支障が出る場合があります。
近隣挨拶については、必要に応じて施工会社が単独で行ってくれる場合もあります。近隣挨拶の有無も含めて事前に相談しておくとよいかもしれません。
また比較的高額となる工事の場合、工事着手時に代金の一部を支払うケースもあります。支払いを忘れないように注意が必要です。
7 完成
工事が完成したら、担当者と一緒に工事の仕上がりをチェック(竣工検査)します。契約通りに完成しているか、また傷や汚れがないか確認します。また必要に応じて試運転し、使用方法の説明などを受けます。
問題がなければ引渡しを受け、最後に保証書や取扱い説明書などを受け取ります。そして支払期日までに残代金を支払います。
リフォームをする際に用意するもの
ここからはリフォームをする際に用意しておきたいものを紹介します。もちろんなくてもリフォームはできますが、あった方がスムーズにすすめることができます。
- ・建物の図面・マンションであれば購入時のパンフレット
- ・イメージ写真や画像
1建物の図面
建物の図面や設計図、マンションであれば購入時のパンフレットなどを用意します。法務局で建物図面を取得する方法もありますが、まずは手元にある書面で大丈夫です。
もちろんなくてもリフォームはできますが、図面がない場合は施工会社がその工事する空間の寸法を測るなどして図面を作成する必要があります。
増改築をする場合で一定の場合は、建築確認を申請する必要があります。その場合は建築当時の検査済証が必要になります。詳しくは施工会社に相談してみてはいかがでしょうか。
2イメージ写真や画像
リフォームのイメージを言葉だけで伝えることは難しいので、思い描くリフォーム後のイメージを写真や画像を使って担当者に伝えることをおすすめします。
ネット上の画像でもいいですし、雑誌などの写真でも問題ありません。なるべく担当者とのイメージの食い違いを無くします。美容院でしてもらいたいヘアスタイルの写真を見せるイメージです。
またそうして情報収集しているうちに、自分がしたいリフォームの完成形も固まります。楽しんで情報収集することをおすすめします。
リフォームをする際のポイント
リフォームをする際に押さえていきたいポイントを紹介します。建物の構造によってはできないリフォームがあり、その場合は他の方法で理想に近づける必要があります。
工事の打ち合わせにはコミュニケーションが必要ですから、担当者との相性も重要になります。あわせてトラブル回避の方法も紹介します。
1 間取りの変更はできない構造もある
建物内装の壁は、空間を仕切るための「間仕切り壁」と、建物を支える役目をしている「構造壁」があります。
間仕切り壁は取り払うことができますが、構造壁は手を加えることができません。広い空間にしたい時や間取りを変更する場合は、この確認が必要になります。それでも間取りを変更したい場合は、他のプランを検討します。
2 担当者も大事
リフォームを満足のいくものにするためには、施工会社の力量だけでなく担当者との相性も重要です。
そもそもコミュニケーションが上手くできないと自分のイメージを伝えることが難しく、イメージ通りのリフォームができない可能性があります。打ち合わせを進めていくうちに「違うな」と感じたら、潔く依頼先を変更することをおすすめします。
そもそも担当者のスキルが足りない場合もあります。レスポンスが遅かったり、約束を守らないことがあった場合は、工事中にも同じことが起きる可能性があると心得ます。
3 追加費用が発生しないよう事前に確認しておく
リフォーム工事の見積もりは、建物の下地の状態を目視できない状態で現地調査する為、状況によっては追加工事が発生する場合があります。たとえば以下のようなケースは追加工事が発生します。
- ・浴室の下地がシロアリの被害によって腐食していた
- ・屋根工事をしようと思ったら、雨漏りしている箇所が見つかった
- ・給排水工事をしようと思ったら水道管が錆びていた
なかには建物の築年数や経験値から、下地工事の費用を見込んで見積提示している場合もあります。しかし他の安い見積もりを提示した会社よりも高いと判断されてしまう可能性があり、親切が仇になることもあるのです。逆に安すぎる場合は注意が必要です。
追加費用が発生するのは、施工会社の落ち度ではありません。追加工事が発生したときは、なぜ費用が必要になるのか確認します。
リフォーム業者の選び方
リフォームを成功させるためには、施工業者選びが重要です。安心できる施工会社なのか判断するポイントを紹介します。
- ・建築士がいる業者を選ぶ
- ・アフターフォローがある業者を選ぶ
- ・実績とノウハウを持ち合わせた業者を選ぶ
- ・リフォーム瑕疵保険に加入している会社から選ぶ
1 建築士がいる業者を選ぶ
建設工事のうち、500万円以下の工事(軽微な建設工事)であれば建設業の許可は必要ありません。つまり電気やガス工事以外は、特別な資格がなくても請け負うことができるのです。
建築士とは建築の専門家です。建物の設計や工事の監理などを資格を持って業としています。建築士には1級・2級・木造の3つの資格に分かれていますが、建物の規模や用途に応じてできる業務の範囲が異なります。
軽微な工事は建築士がいない施工会社でも工事は可能ですが、将来的に大きな工事をするかもしれません。可能であれば建物全体のことを相談できる、建築士がいる施工業者を選ぶことをおすすめします。
2 アフターフォローがある業者を選ぶ
公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センターの「住宅相談統計年報 2022」によると、同センターへの住宅の取得やリフォームに関しての電話相談件数は、2021年度「新規相談件数」が35,040件であり、前年度の29,069件と比較して約2割増加していることが分かります。
約35,000件のうちリフォーム相談は11,046件で、2021年度と比べて約20%増、多少増減があるものの毎年リフォームに関する相談は増加傾向にあります。
またリフォーム相談者の解決希望の内容のグラフによると、修補(修補と損害賠償を含む)を47.6%の人が希望していることが分かります。
リフォーム工事を依頼した後、何らかの不満を抱えている消費者がこのように多く存在することを考えると、引渡し後の補修や手直しなどを行なう、アフターフォローがしっかりしている施工業者を選ぶことがトラブル回避に役立つと思います。
3 実績とノウハウを持ち合わせた業者を選ぶ
リフォームは依頼者が住みながら行うことが多く、また建物自体が経年により劣化していることもあり、予期しないトラブルが発生する可能性があります。
リフォーム工事の実績が豊富な会社は、経験値からトラブルを回避するノウハウを持っています。また顧客の考えを理解するスキルも持ち合わせていますので、なるべく実績豊富な施工業者を選ぶことをおすすめします。
実績については、過去の施工例や施工写真などを見せてもらうことなどで判断することができます。
4 リフォームかし保険に加入している会社から選ぶ
新築住宅の場合は長期の保証の義務がありますが、リフォーム工事には民法上の保証義務のみです。高額なリフォーム工事でも、1年程度の保証だったり、メーカー保証のみだったりします。
また施工ミスがあったとしても、補修してもらえないことが多く、トラブルになることもあります。しかしリフォームかし保険に加入している施工会社であれば、リフォームした箇所すべてが保険対象となり、構造耐力上主要な部分や雨水の侵入を防止する部分は5年間(それ以外は1年間)保証されます。
リフォーム工事を依頼する際には、リフォームかし保険に加入しているか確認してみるといいかもしれません。
参考:リフォームのかし保険|個人の方|住宅瑕疵担保責任保険協会 (kashihoken.or.jp)
住宅:住宅リフォーム事業者団体登録制度 - 国土交通省 (mlit.go.jp)
まとめ
リフォームで理想の暮らしを手に入れるには、リフォーム会社の選定が重要です。事前にリフォームの流れを把握すれば、打ち合わせや契約までの流れもスムーズに進めることができます。
リフォームを依頼する際には関係書類が必要になりますので、あらかじめ準備しておきます。またイメージ画像を用意しておくと、理想のリフォームを上手に伝えることができます。
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