本記事は「中古マンションは築何年くらいが狙い目か知りたい」「価格と築年数以外になにを気にしたらいいのかわからない」そんなお悩みを解決します。
たしかに、一口に中古マンションといっても、築年数も価格も物件によってさまざまです。迷ってしまうのも無理はありません。ただ、優良な中古マンションにはある共通のポイントが存在します。
キーワードは「築年数」と「メンテナンス」です。ポイントをおさえて、お得で優良な中古マンションを購入しましょう。
築年数による価格推移は「築25年」がポイント
中古マンションの狙い目は、築年数が25〜30年のものです。マンション価格は年数と共に資産価値が低下する性質を持ちますが、25〜30年を境に価格の低下がゆるやかになります。
以下は築年数毎でマンション価格の推移を表したグラフです。
上記の価格推移から、中古マンションの価格は築25年以降を境に価格の低下がゆるやかになっていることがわかります。つまり、築年数25〜30年経過した中古マンションは価格が底値に達した可能性が高いということです。
築25〜30年の中古マンションの購入がお得
築年数25〜30年の中古マンションがお得な理由は「まだまだ現役の物件」だからです。築年数が30年以上の物件もたしかに安いですが、あまりにも古すぎる物件は配管や階段など設備の老朽化が懸念されますし、耐震基準を満たしていない可能性もあります。
築30年以上のマンションは築25〜30年とさほど価格が変わらないにもかかわらず、故障や損壊のリスクが高いのです。
中古マンションの限界は?
中古マンションは築25〜30年がお得だとわかりました。しかし、築年数が経っていると気になるのが「マンションの寿命」です。「買ったはいいけど数年で住めなくなるんじゃないの?」そんな心配を抱くのも無理はありません。
結論からいうと、築年数25〜30年の物件は少なくともあと30年以上は住み続けられます。本章ではその理由について解説します。
マンションの平均寿命は68年!手を加えれば100年超えも可能
国土交通省が公表した以下の資料によると、RC系住宅(鉄筋コンクリート)で造られた建物の平均寿命は68年と明記されています。
固定資産台帳の滅失データを基に、区間残存率推計法を用いて、家屋の平均寿命(残存率が50%となる期間)を推計した結果(2011年調査) 、RC系住宅は68年、RC系事務所は56年。
引用:期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について(国土交通省土地・建設産業局不動産業課住宅局住宅政策課)
ただしこれは平均であって必ず68年が限界というわけではありません。屋内外の管理状態や改修の実施回数にもよりますが、適切な管理が施されていれば100年以上住むことも充分可能です。
設備のメンテナンスが大切
中古マンションの寿命は、設備状態に大きく左右されます。例えばコンクリートが崩れて錆びた鉄骨がむきだしになっているような物件だと、これから何十年と住み続けるのは難しいでしょう。地震のリスクも考えるならなおさらです。
寿命が長い物件は、外壁や配管、共用設備などマンションのメンテナンスが十分行き届いているものです。
長く住むために!良い中古マンション選びのポイントは4つ
優良な中古マンションを選ぶには、以下の4つに注目しましょう。
- 1. 耐震基準
- 2. 居住者層と空室率
- 3. コンクリートの状態
- 4. 管理体制の確認
ここからは、優良な中古マンションを見つけるためのポイントについて解説します。
1. 耐震基準
日本は地震大国です。優良な中古マンションを選ぶうえで、地震に対する損壊・倒壊リスクは無視できません。中古マンション選びでは耐震性能の高い「新耐震基準」に当てはまる物件を選びましょう。
耐震基準とは、建築基準法によって定められた、建物が最低限満たすべき地震への耐性の基準です。日本のマンションには、旧耐震基準で建築されたマンションと新耐震基準で建築されたマンションの2種類が存在します。
耐震基準 | 建築確認日 | 中規模地震(震度5強程度)に対する基準 | 大規模地震(震度6強〜7強程度)に対する基準 |
旧耐震基準 | 1981年5月31日以前 | 倒壊しない | 規定なし |
新耐震基準 | 1981年6月1日以降 | ほとんど損傷しない(軽いひび割れ程度でおさまること) | 倒壊しない |
最も大きな違いは大規模地震に対してです。規定が定められていない旧耐震基準と比べて、新耐震基準では明確な基準が設けられています。
耐震基準は建物を建築するうえで絶対にクリアしなければならない基準です。つまり、新耐震基準に当てはまる中古マンションは、地震に対して強い物件ということです。
2. 居住者層と空室率
中古マンション選びでは、居住者層が比較的若く、総戸数の多い物件を狙いましょう。理由は総戸数が多いと、空室分の徴収も戸数で割るので、各居住者の負担が減るからです。
分譲マンションでは、共用部分の清掃やメンテナンスに充てられる管理費と、大規模修繕に充てられる修繕積立金が区分所有者全員に毎月徴収されます。つまり空室だらけのマンションだと、メンテナンス費用が確保できないのです。
3. コンクリートの状態
マンションの寿命を長く保つには、設備のメンテナンスが欠かせません。そこをよく現すのがコンクリートです。ひび割れが何年間も放置されている場合、中の鉄筋部分が錆びて劣化している可能性があります。
ひび割れの数や塗装のハゲはどれくらいか、中の鉄筋が見えているような部分はないか、内見のときに細かくチェックしましょう。
4. 管理体制の確認
マンションは共同住宅です。これからを快適に過ごすため、管理体制が機能しているかチェックしましょう。管理体制を見極めるうえで重要なのは以下の2点です。
- ・手すりや階段、エレベーターなどマンション設備の劣化具合 ・廊下やゴミ捨て場、駐輪場など共用部分の清掃・整理状態
- ・住宅ローン控除が受けられない可能性がある
- ・リフォーム費用がかかる可能性がある
- ・返済期間が短くなる可能性がある
- 1. 住宅の購入後6か月以内に入居している
- 2. 住宅の登記床面積が50㎡以上かつ、その半分以上が居住用として使われる
- 3. 民間の金融機関や住宅金融支援機構から住宅ローンを組んでいる
- 4. ローンの返済期間が10年以上かつ分割返済である
- 5. 控除を受ける年の所得金額が2,000万円以下である
- 6. 建築後に1度使用された住宅である
- 7. 昭和57年1月1日以後の建築されたものである
- 8. 7.を満たさない住宅の内、取得日の2年以内に耐震住宅の証明を受けている
- 9. 7.及び8.を満たさない住宅の内、要耐震改修住宅(耐震基準を満たしていない住宅で一定の要件を満たすもの)の中で一定の耐震基準に適合することが証明されている
- ・狙い目は価格の下落が落ち着いた築年数25〜30年の物件
- ・中古でもメンテナンスされていれば100年以上は住める
- ・もしもの地震に備えて新耐震基準をクリアしたマンションを選ぼう
- ・共有スペースやコンクリートなどマンションの設備状態はチェックしておこう
- ・充分なメンテナンスが施されるよう空室率の低い物件を選ぼう
- ・中古マンションは住宅ローン控除の加入条件が厳しくなる
- ・老朽化による修繕やリフォーム費用も想定しておこう
- ・住宅ローンの返済期間や借入金額に制限がかかる場合がある
部屋を見ればその人の性格がわかるのと同じで、マンションの共用部分を見ることで建物全体の管理体制が把握できます。管理の行き届いた中古マンションを選びましょう。
中古マンションの注意点
ここまでで狙い目の築年数と、優良な中古マンションのポイントについて解説しました。しかし中古マンションは、新築や築浅にない以下の注意点が存在します。
住宅ローン控除が受けられない可能性がある
住宅ローンを組むと、一定の条件を満たせばローン残高に応じた所得税の控除が受けられます。これが住宅ローン控除や住宅ローン減税と呼ばれる制度です。控除の適用には条件がありますが、中古マンションの場合、新築よりも適用条件が厳しくなります。
住宅ローン控除適用条件
以下は住宅ローン控除の適用要件です。
リフォーム費用がかかる可能性がある
格安の中古マンションだと、部屋の給湯器や壁紙など、備え付けの設備が老朽化しているケースは珍しくありません。マンションの専有部分が故障した場合、修繕やリフォーム費用は本人持ちです。
購入後に思いがけない故障や損壊が発生するリスクを考慮して、マンション購入の予算は百万円程度余裕を持っておくようにしましょう。
返済期間が短くなる可能性がある
住宅ローンは対象の物件を担保として多額のお金を借入してもらう仕組みです。法廷耐用年数(固定資産として使える期間のこと)47年に近い築年数の中古マンションは、金融機関から担保としての評価が高くありません。
そのため、中古マンションの住宅ローンでは「法廷耐用年数(47年)−築年数」が返済期間の限界となる可能性があります。借入額に関しても同様です。
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まとめ
中古マンション購入の簡単な概要を以下にまとめました。
マンション購入は大きな出費を伴う重大なライフイベントです。中古といえども決して安い買い物ではないため、専門家への相談や入念な下調べが成功のカギを握ります。
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