住宅を購入する際はローンを検討する方が多いでしょう。しかし、住宅ローンの審査や契約はたくさんの書類や手続きがあるため不安を感じます。当記事では、住宅ローンを組む際に必要な書類を紹介します。また、各書類を取得できる期間まで紹介するため準備に見通しが持てます。書類の種類が豊富なため、今回紹介した項目をもとに準備を進めましょう。

住宅ローンの申し込みに必要な書類は 3つに分類できる

住宅メーカーやマンションを決定し、購入に向けて進める中で気になるのは住宅ローンの申込みです。多くの方は一生に一度の買い物のため不安や疑問でいっぱいになります。ここではまず、住宅ローンの契約に必要な書類を大まかに分類して解説します。

身分証明書類

1つ目は契約者の情報を確認する書類です。具体的には下記の証明書や書類が挙げられます。

  • ● 運転免許証
  • ● パスポート
  • ● 健康保険被保険者証
  • ● 個人番号カード(マイナンバーカード)

近年は悪質な犯罪が増えていることから「犯罪による収益の移転防止に関する法律」により、融資の場合は本人確認が義務付けられています。金融機関は氏名や住所、生年月日を確認します。

参考:犯罪による収益の移転防止に関する法律 | e-Gov法令検索

収入確認書類

住宅ローンの審査は契約者の収入情報や借入情報を元に行います。そのため、審査に申し込む際は源泉徴収票や課税証明書などを提出します。代表的な書類としては下記が挙げられます。

  • ● 源泉徴収票
  • ● 住民税決定通知書もしくは課税証明書
  • ● 確定申告書のコピー
  • ● 納税証明書(その1、その2)
  • ● 借入明細書

会社員として働いている場合と確定申告をする個人事業主では、提出書類が異なりますがいずれも必ず提出を求められます。また、住宅ローン以外に借り入れを行っている場合は、その明細書も提出します。

物件購入に必要な書類

物件購入に必要な書類は大きく分けて以下の4つにわかれています。

  • ● 売買契約書
  • ● 工事請負契約書
  • ● 重要事項説明書
  • ● 不動産登記簿謄本

売買契約書は不動産の売買に必要な契約書類であり、不動産の売買を仲介して不動産仲介業者が作成する書類です。

工事請負契約書は新築工事もしくは改修工事をするハウスメーカーや工務店へ建築を依頼する際に締結する契約書です。

重要事項説明書とは、土地や建物の契約前に説明が必要な書類であり、都市計画法や建築基準法に基づく内容が記載されています。

不動産登記簿謄本は、建築する土地や建物に関する所有権や抵当権について記載された書類です。建物の登記簿に関しては、建物の種類や登記などについても記載されています。

住宅ローンに必要な書類の注意

住宅ローンに必要な書類を準備する際にはいくつか注意すべきポイントがあります。たくさんの書類を提出する必要があるため、どの書類をいつまでに準備し、また何枚必要なのかを事前に確認しておきましょう。各銀行がネット上に必要書類のチェックリストを公開しているので活用することをおすすめします。

有効期限があるものは入手するタイミングに気をつける

提出書類の中には取得から提出までの有効期限が設定されているものがあります。代表的な書類は以下の3つです。

  • ● 住民票
  • ● (源泉徴収票がない場合)給与明細、賞与明細
  • ● 確定申告書
  • ● 納税証明書

各書類は金融機関によって有効期限が設定されていますが、住民票謄本は発行後1ヶ月~3ヶ月以内、給与明細は直近3ヶ月分、賞与明細は直近2回と期限が設定されています。また、必要に応じて確定申告書や納税証明書の提出を求められますが、確定申告書は直近のもの、納税証明書は発行後3ヶ月以内のものと定められています。

特に注意が必要な書類は住民票謄本です。以前入手したまま保管していた書類を再利用することが多く、有効期限が過ぎていたことに気づかないまま提出する場合があります。再提出を求められますが、予定の都合がつかずに再入手が上手くできなければローン審査開始が遅くなり、ひいては予定していた融資タイミングまでに契約締結できないリスクがあることを認識しておきましょう。

コピーで済ませられる場合と原本の場合をチェックする

提出書類によっては、提出物が写しでも問題ない場合と原本でなければならない場合に分かれるため、提出前に書類の提出形態を必ずチェックしましょう。住宅ローン審査は事前審査と本審査の2回に分けて審査しますが、事前審査に提出する書類は基本的にすべて写しでもかまいません。一方で、本審査に提出する場合は原本でなければならない書類が多く、また書類の種類が多くなるため、書類の準備が非常に重要です。

事前審査、本審査のどちらにおいても住民票謄本については写しでかまいません。

同じ書類が複数枚必要になることがある

住宅ローンの申請や建築の契約時に必要な書類のなかには、同じ書類であっても金融機関とハウスメーカー、工務店の双方へ同じ書類を提出することがあります。そのため、同じ種類の書類を複数枚、事前に常備しておく必要があることを把握しておきましょう。具体的な書類は以下のとおりです。

  • ● 本人確認書類
  • ● 健康保険証
  • ● 印鑑証明書
  • ● 住民票
  • ● 売買契約書
  • ● 重要事項説明書
  • ● 建築図面

住宅ローンを締結する際には多種類の書類を提出する機会が増えるため、一度提出して安心していると、再度提出が必要な場合に手元に残っておらず再度取得しなおすリスクがあります。必要部数は事前に確認しておく必要があります。

住宅ローンのステップごとに必要な書類を解説

住宅ローンの締結までには、事前審査と本審査の2回の審査をクリアする必要があります。仮審査と本審査のそれぞれで必要になる書類は異なりますので、審査を依頼する前に必要書類を準備しておくことが重要です。

事前審査で必要な書類

事前審査に必要な書類は以下のとおりです。

  • ● 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード)
  • ● 健康保険証
  • ● 前年分の源泉徴収票など収入確認用書類
  • ● 他にローンを借り入れている場合、返済予定表またはローン残高証明書

また、収入確認用書類はサラリーマン、会社経営者、個人事業主によって提出書類が以下のように異なります。

  • ● サラリーマン:前年分の源泉徴収票
  • ● 会社経営者:源泉徴収票、直近3年分の決算報告書
  • ● 個人事業主:およそ3年分の確定申告書

以上の書類以外にも、金融機関で署名捺印する書類として住宅ローン借入申込書もあるため、必要な書類を事前にリストアップしておきましょう。

本審査で必要な書類

本審査で必要な書類は以下のとおりです。

  • 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード)
  • 住民票
  • 実印に対応した印鑑証明書
  • 収入の確認用書類(前年の源泉徴収票など)
  • 勤続年数の確認用書類(健康保険証など)
  • 不動産の購入に関する書類(売買契約書、建物登記事項証明書など)

一部書類は事前審査に提出した書類と同一の書類がありますが、事前審査から本審査までに期間があく場合は、有効期限つきの書類の期限が切れていないことに注意が必要です。事前審査に必要な書類と違う点は、印鑑証明書や不動産の購入に関する書類です。

融資が決定した後に必要な書類

住宅ローンの本審査を無事に通過したのち、融資決定が行われる際に必要な書類について紹介します。融資決定後、住宅ローンの本契約に進みます。そのため、契約に必要な書類として以下書類の準備が必要です。

  • ● 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード)
  • ● 住民票
  • ● 実印に対応した印鑑証明書
  • ● 収入印紙
  • ● 建物登記済証

住宅ローンは建物の登記が完了している状態になって初めて契約ができるようになります。そのため、本審査に必要だった建物登記事項証明書を登記完了後の登記済書として提出します。

各書類の発行場所を解説

これまで、事前審査から本審査、ローン契約締結時に必要な書類を紹介しました。多種多様な書類が住宅ローン審査から契約までに必要であることがわかりましたが、どの書類をどこで入手できるのか把握しづらい方が少なくありません。ここでは提出が必要な書類ごとに、どこで入手できるかを説明します。

住民票

住民票は市区町村役場で入手できます。そのため、平日の開庁時間に合わせて取得申請する必要があり、日中仕事をしていると取得しづらく感じます。交付申請時に注意が必要なポイントは、マイナンバーが記載されていない住民票を交付申請することです。

一方で、最近はマイナンバーカードを利用してコンビニエンスストアで入手できるようになりました。マイナンバーカードを利用して取得する場合、事前に交付申請するための設定が必要になり、設定完了までに5営業日要する場合があります。設定完了後は365日24時間交付申請できるため便利ですが、初めて設定する場合には、提出期限までに余裕をもって対応しましょう。

公図

土地の公図や地積測量図は物件に関する書類として提出が必要であり、不動産業者から入手できますが、以下のような申請方法があります。

  • ● 法務局の窓口で「地図証明申請書」を提出し取得する
  • ● 法務省運営のオンライン申請を活用して取得する
  • ● 民事法務協会運営の登記情報提供サービスを利用して取得する
  • ● 申請書を郵送して取得する

不動産業者は上記の申請方法で、物件所有地の管轄法務局もしくは市町村役場から公図を入手します。ハウスメーカーであれば不動産業者と連携し取得しておいてもらえますが、工務店であれば不動産業者と直接やりとりする場合もあるため、提出までに余裕をもって対応する必要があります。

不動産登記事項証明書

不動産登記事項証明書も不動産業者から入手できますが、以下のような申請方法があります。

  • ● 法務局や出張所の窓口にて交付申請をおこなう
  • ● オンライン上で交付申請をおこなう
  • ● 郵送にて交付申請をおこなう

一番簡単な方法は、法務局や出張所に出向いて窓口で交付申請することです。即日交付が可能ですが、開庁時間である平日8:30〜17:15までに訪問する必要があるため、平日の日中仕事をしている場合は難しい場合もあります。一方でパソコンを使えればオンライン申請が可能なため、平日での受け取りが難しい場合は、オンライン申請にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。こちらの書類も公図と同様に一戸建てかつ土地を含めて住宅ローンを利用する場合に必要です。

納税証明書

納税証明書は、現在居住している管轄の税務署へ以下の方法にて交付申請することで入手できます。

  • ● 納税証明書交付申請書をもちいて郵送または窓口で申請する
  • ● オンライン(e-Tax)上で交付申請する

窓口で申請する場合は、管轄税務署の開庁時間(平日8:30~17:15)内に訪問する必要があります。オンライン申請に用いるe-Taxは、パソコン以外にもスマートフォンやタブレット端末からでも利用可能です。納税証明書の交付申請以外にも、セルフメディケーション減税の申請などでも活用できるシステムなので、利用方法を把握しておくと便利です。

住民税決定通知書

住民税決定通知書は、基本的に毎年6月に居住している市区町村役場から郵送で送付されます。一方で納税方法が普通徴収か特別徴収かによって、通知書の受け取り方が異なる点に注意が必要です。普通徴収は自身で住民税を直接納付する場合の納税方法であり、特別徴収は給与から天引きされて納付する方法です。そのため、普通徴収にて納付している方については、市区町村役場から直接郵送されますが、特別徴収にて納付している場合、お勤めの会社を経由して郵送されています。

まとめ

今回の記事では、住宅ローンの審査から契約に至るまでに必要な書類について紹介しました。必要書類は、身分証明書類、収入確認書類、物件の購入に関する書類の3つに分けられます。そして、住宅ローンの書類を準備する際には、必要書類の有効期限や提出形態、用意する部数に注意を払う必要性を学びました。

住宅ローンの審査は事前審査と本審査の2段階に分けて審査をしたのちに、正式なローン契約を締結します。タイミングごとに必要な書類が異なりますので、紹介した各書類の入手先と合わせて、提出が必要な書類をリストアップして用意することをおすすめします。

夢のマイホームを手に入れるためには、ハウスメーカーや工務店との打ち合わせ以外にも必要書類の準備など事前にやることが目白押しです。ひとつひとつは難しくないため、少しずつ準備をしながら乗り越えていきましょう。準備にあたってわからないことや不安な点がありましたら、ANAの住まいの無料個別相談でご相談ください。

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