リノベーションの失敗はリフォームよりも深刻

リノベーションとリフォームは、いずれも改修工事を指す言葉で、明確に定められた定義はとくにありません。実際には、住宅に手を加える意図や目的によって使い分けられています。 

リフォームは、修繕や改修を行って新築の状態に戻す工事のことです。老朽化した建物の外壁の塗り直しやキッチン設備の変更、壁のクロスの貼り替えなどはリフォームに該当します。 

工事範囲が限られているため、大幅な間取りプランの変更はできませんが、短期間で施工が完了し、工事費用を抑えられます。また、完成後の住まいをイメージしやすいため、大きな失敗が少ない点も特徴です。 

一方、リノベーションは、英単語の「renovation(革新・刷新・修復)」をカタカナにした言葉で、既存の建物に大規模な工事を行うことを意味します。工事によって新築の状態よりも、機能や価値を向上させる意図があり、自由度の高い設計が可能です。 

空間デザインや間取りの変更、耐久性や耐震性を高める補修工事、間仕切り壁の撤去など、規模の大きな工事を行える分、工事期間が長く、工事費用も高額になります。また、解体したあとに想定外の問題が浮上して、対処に時間と費用がかかるケースも少なくありません。 

このように、リノベーションは工事が大がかりな分、失敗した場合のダメージが大きいため、事前に必要な対策を行うことが重要です。

リノベーションの失敗例:資金面

ここからは、リノベーションにおける具体的な失敗例と、取るべき対策について解説していきます。まずは、お金に絡む失敗例です。予算オーバーや工事に対する融資が降りない、など資金面でよくある失敗を避けるためにも、事例を参考に必要な対策を行いましょう。

資金面での具体的な失敗事例

資金面の失敗で多いのが、予算をオーバーしてしまった例です。リノベーションは、設備や内装、外装といった目に見える部分だけでなく、設備の配管や配線、内部といった見えない部分の工事も必要になるケースが多く見られます。 

たとえば、ユニットバスを新しくする工事では、ユニットバス本体の取り付けに加えて、水道や電気、ガスなどの設備工事が必要です。工事費用がかかることを知らないと、想定していたよりも費用が高額になり、予算を超えてしまうのです。 

また、リノベーション工事の融資に申し込んで承認されなかった場合、資金計画が根本的に狂ってしまいます。仮に融資審査に通ったとしても、月々の返済額を長期的に考えておかないと、返済により家計に影響が出る可能性もあります。

資金面での失敗を回避するには

資金面での失敗を避けるためには、事前の予算管理が最も重要です。リノベーション費用を的確に把握するために、必ず業者複数者に相見積りを依頼しましょう。相見積りを取ることで、費用相場と業者の見積り金額とを比較できるため、適正な価格がどうか確認できます。 

また、あらかじめ高めの予算を設定して計画していくことも大切です。見積りを作成した後で、手を加えたい箇所が増える可能性を考慮し、見積り金額の約1020%を上乗せした金額で認識しておけば、予算オーバーを避けられるでしょう。 

中古物件でリノベーションを行う場合は、建物の状態によっては見えない部分にかかる工事が増える可能性があります。安い中古物件の場合、住める状態にするまで設備系統や基礎や梁などの構造、耐震性能などの工事が必要となり、結果的に金額が大幅に上がる場合も考えられます。見えない部分の判断は難しいですが、専門家やリノベーション業者に相談して、可能な限り現実的な金額を把握しておくことが、失敗を避けるために有効です。 

なお、ローンを利用したい場合は、複数のローンに事前審査を申し込み、最も条件の良い金融機関を選びましょう。無事にローン審査に通ったあとは、無理のない返済計画を立て、現実的な月々の返済額を設定することも大切です。

リノベーションの失敗例:物件選び

物件を購入してリノベーション工事を行う際、物件選びの段階で失敗してしまう場合もあります。中古物件を購入する際、そもそもリノベーションに適さない物件を購入してしまうと、工事がうまくいかない可能性も出てくるでしょう。物件選びで注意したい点を、失敗例から学びましょう。

物件選びの実際の失敗事例

リノベーション用の物件選びの失敗例としてとくに多いのが「見えない部分の設備に問題があったケース」です。安い中古物件を選んだものの、水道や電気など設備が老朽化していたために、設備工事が必要となり予算も工事期間もオーバーしてしまう、といったケースがよく見られます。 

また、天井裏などで湿気がたまり、カビや虫の原因になる場合もあります。その場合も、当然ながら追加工事が必要です。 

ほかにも、リノベーションの妨げになる制約がある物件にも注意が必要です。撤去できない壁や柱、動かせない配管があるために間取りを変更できないとなると、希望する間取りを実現できない可能性が出てきます。 

マンションでは、そもそもリノベーションが禁止されている、高層階で設備の搬入ができない、という物件もあるので注意が必要です。

物件選びでの失敗を回避するには

リノベーションに適した物件を選ぶためには、物件の状態を事前に細かく確認することが重要です。動かせない配管や構造体となっている柱や壁を確認し、間取りの変更に影響する箇所を調べておくと、希望する住まいを実現できるか判断できるでしょう。 

とくに、キッチンや洗面所、トイレなど水回りの配管や電気配線、換気ダクトなどは生活する上で重要な箇所です。水を流せる場合は水漏れがないか、電気配線が放置されていないか、など設備の状態をチェックしておきましょう。 

加えて、リノベーション禁止などの制約や、設備搬入の際に障壁となる箇所についても確認が必要です。防火地域に該当している物件では、具体的にどのようなリノベーションが禁止されているのかを調べておくと、安心して工事を進められます。

リノベーションの失敗例:業者選び

リノベーションを依頼する業者選びを間違えてしまうと、最適な物件を選び、資金を注ぎ込んでも計画した通りに仕上がらないでしょう。設計担当や現場担当とのコミュニケーション不足や理解不足、技術不足といった原因からリノベーションに失敗してしまうケースもあります。

業者選びの実際の失敗事例

業者側の担当者とのコミュニケーションがスムーズに取れず、希望のリノベーションを実現できない可能性があります。業者自体の評判が良くても、担当者は実際に相談するまでわからないため、相性次第では不安を抱えたまま工事に入ることになります。 

物件探しから住宅ローンの申し込み、設計、施工などリノベーションの工程ごとに別の業者に依頼している場合、複数の業者との連絡や管理が負担となることも考えられます。 

また、建築士の実力不足によって、思い描いているようなリノベーションができないケースもありえます。理想のデザインや間取りを汲み取ってもらえない、理解してもらえても設計に反映させる技術がないなど、実力が伴わない建築士が担当となった場合、理想のリノベーションが実現できない可能性も出てきます。

業者選びでの失敗を回避するには

業者選びで失敗しないためにも、必ず相見積りを取って比較検討しましょう。最初から1社だけに絞って依頼を進めると、費用が相場なのかの判断が難しく、自分に合わない業者に依頼してしまう可能性があります。客観的に判断するためにも、3社以上から見積りを依頼できると理想的です。 

窓口や設計の担当者の力量が原因であれば、担当者の変更を依頼してみるのも一つの選択肢です。口コミや評判の良い業者を選んでも、自分と相性の良い担当者があたるとは限らないため、安心してリノベーションを進められるよう、不安な点は相談するようにしてみましょう。

リノベーションの失敗例:間取りプラン

無理な間取りや既存の間取りを無視したプランを立ててしまって結局実現できない、といった失敗もあります。リフォームに比べて設計の自由度が高いとはいえ、現実的な間取りを考慮しないと失敗に終わってしまう可能性があります。

間取りプランの実際の失敗例

収納スペースが少ないことに、リノベーション後に入居して初めて気づく、というケースは多く見られます。デザイン性や間取りを意識するあまり、収納の大きさや位置まで考えず、機能性が悪くなってしまうと物をしまう場所が少なくて、生活に支障を来たす可能性も考えられます。 

新しい生活に向けて家具を新調したものの、スペースが確保できておらず配置できない場合もあります。また、リノベーション当初は問題なかったものの、ご家族が増えた際に対応できなくなった、というのもよくある失敗例です。 

家の中の空気循環を考えていなかったために、換気性が悪くて、空気の入れ替えがうまく行われないと、空気の悪い部屋で過ごすことになってしまいます。設計図だけを見て、実際の空気の流れや換気について把握できれば良いですが、素人には難しく、確認しなかったために住み始めてから後悔することになりかねません。 

ほかにも、「玄関にシューズクローゼットをつけたが、クローゼットの扉が階段に干渉してしまって使い勝手が悪くなった」といったように、設計図を見るだけでは理想的なプランでも、暮らしてみると使い勝手が悪い間取りだった、という失敗例もあります。

間取りプランでの失敗を回避するには

リノベーションにおける間取りプランでの失敗を回避するためには、設計段階から「生活機能」についてよく考えることが大切です。生活機能とは、人が心身ともに健康的に生活する上で必要な機能を指します。 

リノベーションでは、「現在の自宅と比較して、収納は十分確保できているか」「家具を配置するスペースがあるか」「室内をスムーズに風が通るか」など、設計段階で建築士とともに1つずつ確認しておくと良いでしょう。 

同時に、将来のライフスタイルの変化にも対応できるよう、計画的に考える必要があります。今後の生活環境について、建築士に相談しておくと安心でしょう。

まとめ

リノベーションは、工事が大規模になるため、失敗すると金銭的にも時間的にも大きな損失が出てしまいます。予算オーバーや物件選び、業者選び、間取りプランの設計など、リノベーションでの失敗は誰にでも起こりうるものです。理想の住まいを実現するために、今回紹介した失敗例を教訓とし、リノベーション計画に取り入れましょう。 

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