家の購入を考えていていろいろ調べているうちに、やることが多すぎて不安を感じ始めたという方はいませんか?家を購入するまでには、住宅選びから住宅ローン、契約の締結など多くのステップがありますが、一生に何度もするわけではないため不安を感じるのも無理はありません。この記事では、家の購入を検討している方むけに、家を購入するまでの流れと、各工程でのチェックポイントについて解説しています。
家を購入する流れ
家を購入するまでにはたくさんの工程があります。スムーズに進められるように、まずは家を購入するまでの工程のなかでポイントをまとめてみました。
1.資金計画を立てる
家を購入する際にまずやることは資金計画を立てることです。資金計画を立てることで、おおよそ自分の現在年収と将来年収からどれくらいの物件が購入できるのかをイメージすることができます。
家を購入するときの資金計画のポイントは、「老後の生活費まで見据えた資金計画を立てる」ということです。
近年、老後は公的年金だけでは一般的な生活を送ることができないと言われており、老後にむけて多くの貯蓄を用意しておく必要があります。しかし資金計画は住宅ローンさえ返せれば良いというものではなく、老後の生活資金まで準備できる長期の資金計画を立てることを心がけましょう。
「借り入れ可能な金額」と、「無理なく返せる金額」は異なることを理解しておくことが大切です。
関連記事:年収から見る住宅ローンの借入可能額。「何倍」が目安?
2.情報を収集する
資金計画を立てて、いくらくらいの物件が購入できるのかわかったら、実際に物件を探していきます。情報収集の方法としては次のような方法があります。
- ・不動産業者から直接入手
- ・インターネット
- ・折り込み広告
- ・専門情報誌
ある程度希望する物件の要件が決まっているときは、地域などを限定して情報を集約している折り込み広告や専門情報誌のほうが便利ですが、こうした紙媒体は定期的に物件情報が更新されるわけではないため、常に鮮度の高い情報を収集することが大切です。
インターネットを利用するとエリア・築年数・価格・間取りなどの条件を絞り込めるため、効率的に検索できます。ただしインターネットにすべての物件情報が掲載されているとは限らないため、複数の方法を組み合わせることをおすすめします。
「ANAの住まい」は、ANAのマイルがたまる不動産情報サービスです。気になる物件や業者が見つかるほか、無料査定相談なども行っています。「不動産を探したいけど、何からはじめて良いのかわからない」という方は、ぜひご相談ください。
3.物件を見学する
希望する物件を見つけたら、その物件を紹介している会社に連絡をして物件見学の申し込をしましょう。周辺知識の情報や、ハザードマップなどは物件の位置さえわかれば事前に調べることができるため、あらかじめ調べておけば、見学時により担当者に踏み込んだ質問ができるでしょう。
- ・間取り
- ・収納スペース
- ・キッチンやトイレ、バスルームなどの設備
- ・コンセントの位置や数
- ・電話やインターネットの接続口
- ・建具
- ・駐車場
- ・共用設備
- ・セキュリティ
- ・耐震性
- ・生活音
- ・日当たりや風通し
- ・近隣の治安
- ・立地(駅や商業施設・役所までの距離など)
- ・災害リスク(ハザードマップで確認)
- ・嫌悪施設の有無
またあとで検討したい点について写真が撮れるようにスマートフォンも用意しておきましょう。収納スペースの広さなどを確認するために、3m以上のメジャーなどもあると便利です。
4.物件を絞り込む
希望する物件の見学がひととおり終わったら、今度は物件を絞り込んでいきます。
物件を絞り込む過程で一長一短があって結論が出ないケースもあるため、物件見学のときにチェックリストを作成して、各チェックポイントに点数を付けていくと数値化できるため比較しやすいかもしれません。
また各チェックポイントに優先順位をつけて、より上位のチェックポイントを満たした物件を選ぶという方法もあります。
ただし一生住み続ける場所になる可能性もあるため、雰囲気などの直感も重要です。物件を絞り込む際は、データと直感の両面から総合的に判断するよう心がけましょう。
5.購入を申し込む
購入したい物件が決まったら、物件を扱っている会社に買付証明書を提出します。買付証明書とはその物件を購入したいという意思を示す書類のことです。
買付証明書に法的拘束力はありませんが、書類によって購入の意思表示をすることで、購入希望の信憑性は高まるでしょう。ただし法的拘束力がないため提出後のキャンセルは可能ですが、かなり話が進んだ段階で買主が一方的にキャンセルをした場合、損害賠償を請求されることがあります。
買付証明書に所定の書式はありませんが、主に以下の内容を記載します。多くの不動産会社では買付証明書の書式を用意しているため、自身で用意するケースはあまりありません。
- ・希望購入額
- ・年収
- ・手付金
- ・残代金(希望物件価格から手付金を引いた額)
- ・住宅ローンの依頼先
- ・申込額
- ・融資特約の利用有無
買付証明書を早く提出したからといって、売主が買付証明書を提出した順番に交渉してくれるとは限りません。希望購入額など、買付証明書の内容を見て、より有利な条件で売れる買主と売主が成約してしまう可能性がある点には注意が必要です。
また買付証明書の提出時に、申込証拠金が求められるケースもあります。
6.住宅ローンの事前審査に申し込む
事前審査とは、住宅ローンの利用条件を満たしているかを確認する目的で行われる簡易な審査です。金融機関の事前審査申込書に必要事項を記入して、必要書類と併せて提出します。
【仮審査の事前審査申し込みの必要書類】
- ・顔写真付きの本人確認書類(マイナンバー、運転免許証など)
- ・お勤めの方の場合は直近1年分の源泉徴収票、自営業の方の場合は直近3年分の確定申告書の写し
- ・健康保険証など(勤続年数を確認するため)
- ・物件の所在地や価格のわかる資料や登記簿謄本
7.売買契約を締結する
住宅ローンの事前審査で借り入れできることが確認できたら、売買契約の締結に入ります。なお、売買契約締結時は、原則、売主・買主・不動産仲介業者の立ち合いが必須です。
契約締結までの流れは、まず買主が、宅地建物取引士から、不動産に関する詳細情報や契約条件等が記載されている「重要事項証明書」の説明を受けます。重要事項説明書の内容が理解できたら、買主は重要事項証明書に記名押印。その後、売買契約書の内容を読み合わせ、問題なければ契約締結となります。
重要事項や売買契約書は内容が難しく感じる可能性があるため、事前にコピーなどをもらって確認しておくこともおすすめです。
契約締結後、手付金と仲介手数料の支払いが必要ですが、これらは現金での支払いが原則なので、あらかじめ準備しておきましょう。
8.住宅ローンを契約する
売買契約を締結したら、住宅ローンの本審査を申し込みます。仮審査が、住宅ローンの利用条件を満たしているかを確認する簡易的なものであるのに対し、本審査は利用者の返済能力や、対象物件の価値など、本当に貸して大丈夫かを判断するために詳細な審査が行われます。
本審査では事前審査よりも多くの書類が提出です。必要書類がそろわないと審査が遅れるため、事前に必要書類を金融機関に確認しておきましょう。また仮審査と重複している書類については、改めて本審査のときに準備しておく必要があります。
本審査を通過すると、金融機関と住宅ローンとの金銭消費貸借契約を交わします。
9.物件を内覧する
新築物件の場合、建物の完成前に契約をおこなうため、物件引き渡し前に完成した建物の事前チェックが必要です。このチェックのことを内覧と言います。
完成した建物の状態が、契約した内容と異なっていないか十分確認し、問題があれば引き渡し日までに改善を依頼しましょう。
なお、中古物件や新築後に売買契約をする物件の場合は、物件見学の時点でチェックが必要です。
10.残金を決済する
購入代金から手付金を差し引いた残金を支払います。残金を支払う場合は、金融機関から直接代金を振り込んでもらうことも可能です。
11.物件の引き渡しを受ける
残金を決済すると、売主から正式に物件とともに、鍵や保証書も引き渡されます。
決済・引き渡し時には、多くの諸費用の支払いも必要になるため、確認しておきましょう。
- ・登録免許税(所有権移転登記・所有権保存登記)
- ・表示登記費用(新築一戸建ての場合)
- ・火災保険料/地震保険料
- ・住宅ローンの諸費用
12.税金の手続きをおこなう
住宅ローンを利用する場合、要件を満たせば住宅ローン控除を受けられます。ただしお勤めの方の場合、初めて住宅ローン控除を利用する年だけは確定申告をしなければなりません。お勤めの方は確定申告に馴染みがないかもしれないため、初回だけ忘れずに確定申告をしてください。
家の購入にかかる期間
どのような物件を購入するかによって、家の引き渡しまでにかかる期間が異なります。
お子さんの入学や異動をきっかけに、家の購入を検討し始めたという方もいるかもしれません。適切な時期に新居で落ち着いて過ごせるよう、引き渡しまでにかかる期間の目安を物件別に紹介します。
注文住宅
注文住宅とは間取りや外観、設備などを自分の希望通り自由に設計して建てる住宅のことを言います。注文住宅は、まず自分の理想にあった土地を探すことが必要です。また自分の希望通りの家を作り上げてくれそうな建築会社も選定する必要があるでしょう。
さらに自分の要望を伝えるために、打ち合わせをしながら進めていくため、その他の物件種類よりも時間がかかります。住宅がまだできていないことから、検討から引き渡しまでの期間を考える必要があり、9~14ヶ月くらいの期間は想定しておきましょう。
建売住宅
不動産会社が仕入れた土地に住宅を建て、土地と住宅でセット販売している住宅を建売住宅といいます。
建売住宅は既に住宅が建てられているため、新たに土地や建築会社を探す必要はありません。そのため、購入したい物件さえ見つかれば、契約から入居まで3ヶ月あれば引き渡しが行われるでしょう。
新築マンション
新築マンションとは、竣工してから1年未満かつ未入居の物件のことです。
すでに完成している新築マンションであれば建売住宅と考え方は同じのため、売買契約から3ヶ月程度で引き渡されます。
ただし建設中に販売を開始しているケースであれば、契約から引き渡しまで1年以上かかる可能性があります。
中古住宅
未入居で築後1年以上経過した建物、あるいは築後1年以内でも、建物を使用した方が所有権移転か、居住をしたことがある建物であれば中古住宅にあたります。
中古住宅も既に物件が完成しているため、売買契約から引き渡しまでの期間の目安は3ヶ月程度です。引き渡し後にリフォームをする場合はご入居までに数日~3か月程度さらにかかります。
家を購入する流れに関する注意点
家を購入する際、契約後のキャンセル、あるいは本審査に落ちたような場合、思わぬ不利益が生じることがあるため注意が必要です。家を購入する際の注意点について解説します。
契約後のキャンセルは手付金が発生する
手付金とは契約締結時に契約成立の証拠として買主が売主に対して支払うお金のことで、相場は売買代金の10%程度です。買主が売買契約後に契約をキャンセルをする場合、手付金を放棄しなければならないため注意しましょう。
また手付金を放棄して契約をキャンセルできる期日(手付金解除日)を過ぎてからのキャンセルは、違約金も発生します。
なお手付金は、契約成立の証拠としての役割以外に、解約の代償や債務不履行の違約金という側面もあります。
本審査に落ちると解約になる場合がある
住宅ローンは事前審査を通過しても、本審査に落ちることがあります。
仮に売買契約を締結した後に住宅ローンに落ちてしまった場合、ローンを利用せずに購入することは難しいでしょう。
このようなときのために、売買契約では、住宅ローン審査に落ちたときは、違約金の負担をすることなく手付金が返還され、契約を解除できる住宅ローン特約が規定されているのが一般的です。
何よりも住宅ローン審査に落ちないことが一番です。住宅ローン審査に通過しやすくなるために、仮審査から本審査の間でできることは限られていますが、少なくともカードローンや自動車ローンなどの残債は、本審査までに極力ゼロにするように心がけましょう。
まとめ
家を購入するまでには多くのステップがあります。住宅は大きな買い物のため全体の流れを理解して、ステップごとに万全の準備をしておきましょう。家の購入を検討していて、何を準備して良いのか不安という方は、ANAの住まいで実施している、無料の個別相談を活用してみましょう。