注文住宅に住みたいけれど、住宅のことはあまり詳しくないので自分には難しいとあきらめていませんか?注文住宅は、流れさえ理解していればスムーズに引き渡しまで進めることが可能です。この記事では、注文住宅を検討している方step-housebuildむけに、注文住宅を建てるまでの8つのステップと、建築までの時間を短くするコツについて解説しています。 

注文住宅を建てるまでの流れ

注文住宅を建てるまでの大まかな流れをまずは確認しておきましょう。以下、注文住宅を建てるまでの各ステップについて詳しく解説します。 

予算を検討する

注文住宅は自分が希望する間取りや外観、設備にできるメリットがある反面、希望を全て盛り込むと大きく予算をオーバーしてしまう可能性があります。

自分が理想とする住居のイメージ造りと並行して、予算を確認しておくことも大切です。 

予算を決める基準が分からない場合、年収倍率を使って計算してみましょう。年収倍率とは、購入者あるいは購入者の世帯全体の年収に対する、物件価格の比率のことです。

【年収倍率の計算方法】 

年収倍率=物件価格÷年収(または世帯全体の年収) 

<計算例>

年収500万円の方が3,000万円の物件を購入する場合

3,000万円÷500万円=年収倍率6.0

住宅金融公庫が実施した2021年度フラット35利用者調査によると、注文住宅の年収倍率は7.0倍です。年収倍率の式を用いて逆算すると、年収800万円の方の場合、800万円×7.0倍=5,600万円。つまり年収800万円の方が注文住宅を建築する場合、5,600万円程度の物件を選ぶ可能性が高いと推測できます。 

予算を決めるのが難しいと感じたら、年収倍率を活用してはいかがでしょうか。 

引用元:2021年度 フラット35利用者調査 

関連記事:年収から見る住宅ローンの借入可能額。「何倍」が目安? 

希望条件を整理する

年収倍率などを基にして予算が決まったら、優先順位を付けるために、まずは希望条件を整理していきましょう。希望条件を整理する際に押さえておきたいポイントは以下の通りです。 

【注文住宅の希望条件を整理するときの主なポイント】

  • ・駅やらの距離、商業施設などの「立地」
  • ・間取りやリビングなどの「空間」
  • ・自然が豊か、海が近いなどの「環境」
  • ・耐震・セキュリティなどの「性能」
  • ・平米数・建物面積・土地面積などの「広さ」
  • ・木造・平屋・二階建てなどの「造り」
  • ・色や素材などの「外観」
  • ・広いリビング、暖炉、照明などの「内装」
  • ・自然が豊か、自給自足できる庭などの「環境」 

こうした希望条件をまずはリストアップして、予算を見ながら優先順位を決めていきます。 

ハウスメーカーと土地を探す

希望条件が整理できたら、土地、およびハウスメーカー・工務店といった建築会社を探します。建築会社は自分のイメージにとらわれず、幅広く比較・検討することが大切です。十分な打ち合わせができるように、建築会社選びは早めにスタートしましょう。 

複数のメーカーを効率的に回るために、多くのハウスメーカーがモデルハウスを展示している総合住宅展示場の活用もおすすめです。ただし総合住宅展示場にいくと、逆にハウスメーカーが多すぎて回りきれないため、事前に自分の希望条件とマッチしそうなハウスメーカーから優先的に訪問してみてはいかがでしょうか? 

土地探しは不動産会社や、不動産情報サイトなどである程度の相場を把握したうえで、自身の希望にあったものを探していきましょう。並行して不動産会社にも、希望する土地の条件などを伝えておけば、見つかったときに連絡がもらえる可能性もあります。 

またハウスメーカーは、希望に合った土地を探してくれるケースも多いため、土地探しよりもハウスメーカー探しを優先させたほうが良いかもしれません。 

間取りプランの作成を依頼する

ある程度お願いしたいハウスメーカーや工務店が絞れてきたら、各社に間取りプランと見積もりの作成を依頼します。この段階で一社に絞らないのは、どの建築会社が自分の希望条件を最もくみ取ってくれるのか比較するためです。自分が希望する間取りや、設備などの希望条件をリストアップして伝えておくと、よりスムーズに作成してもらえるでしょう。 

また見積もりについては、諸経費がどこまで含まれているかも確認しておかないと、後から追加で請求される可能性があるため注意が必要です。 

見積もりや、アフターサービス、保証制度など総合的に判断して、自分にあった建築会社を選びましょう。少しでも建築までの期間を短くする場合は、仮審査もこの段階で済ませておくことをおすすめします。 

工事の請負契約を締結する

工事請負契約とは、注文者の契約内容通りに建物を完成させ、それに対し注文者が代金を支払うことを約束する契約です。一般的な契約は口頭でも成立しますが、工事請負契約書については建設業法19条を根拠として、契約書を作成・交付、署名(または記名押印)する義務があり、記載すべき内容も決まっています。 

また工事請負契約は本契約であるため、急な転勤などの理由で請負契約をキャンセルすると多くの場合10.0%程度のキャンセル料がかかります。すでに測量や地盤調査が行われていれば、一般的にはその分も請求されるため注意が必要です。 

工事請負契約前のキャンセルであれば、キャンセル料はかかりませんがやはり測量や地盤調査費用が行われていれば、その分の費用は請求される可能性が高いでしょう。 

打ち合わせで詳細を決める

最終的に建築会社を決定し、工事請負契約を締結した後は打ち合わせでさらに詳細を決めていきます。 

【工事請負契約後に決めること】

  • ・より細かい間取り
  • ・住宅設備(キッチンや浴室、トイレなど)
  • ・外装(窓の種類・外装材の色や種類など)
  • ・内装(建具・床材の種類・壁紙など)
  • ・配線(スイッチやコンセントの位置など)
  • ・照明やカーテン
  • ・地鎮祭や着工日の日程 

注文住宅の仕様が決まると、建築会社は建築確認申請を行います。建築確認申請とは、打ち合わせによって決めた建物の設計が、建築基準法に基づいているかの検査の要請をすることです。 

建築確認申請後のプラン変更は難しいため、建築確認申請前に仕様の最終確認をしておきましょう。建築確認申請が完了後、住宅ローンの本審査ができるようになるので、並行して本審査を申し込みます。 

工事をおこなう

いよいよ工事の着工です。工事の騒音が発生する可能性があるため、着工前に近所に挨拶を済ませておきましょう。 

また、建築中は、ホームインスペクションを活用することをおすすめします。ホームインスペクションとは住宅診断士(インスペクター)が第三者の立場で住宅の状態を調査することで、建築中の工事も検査してもらえます。ホームインスペクションを活用することで、第三者の目で工事工程を確認してもらえるうえ、建築会社の工事工程のチェック機能としての役割も期待できます。 

住宅を引き渡す

住宅完成後に住宅の引き渡しが行われますが、引き渡し前に施主が立ち合い、不具合はないか最終チェックを行います。引き渡し後の修正は追加で工事費用が発生する可能性があるため、立ち合い時に気になる点があれば、修正を依頼しましょう。この時点で何も問題がなければ正式に引き渡しとなります。 

注文住宅の建築にかかる期間を短くするコツ

注文住宅の建築から引き渡しまでの期間はおおよそ46ヶ月です。ただ、少しでも注文住宅の建築にかかる期間を短くしたい方は、施工期間の短い工法を選ぶこと、住宅ローン審査を早めに済ませること、建てたいイメージを家族で共有しておくこと、この3つのコツを心がけてください。 

規格商品から選ぶ

メーカーによっては注文住宅の中でも、あらかじめ間取りや内装、設備などの規格が決まっている「規格住宅」を用意している場合があります。規格住宅であれば、打合せや使用を決める頻度を少なくできるため、建築にかかる期間を短くすることができるでしょう。 

施工期間の短い工法を選ぶ

工法とは家の骨組みを作る方法のことで、工法によって、住宅の気密性や設計の自由度、施工期間やコストなどに差が出ることがあります。注文住宅の建築にかかる期間を短くするには、施工期間の短い工法を選びましょう。 

主な工法の種類と施工期間の目安は、次の通りです。 

【主な工法の種類と施工期間の目安】

工法の種類

施工期間の目安(最短)

木造(在来軸組工法)

56ヶ月

木造(SE工法)

56ヶ月

ツーバイフォー工法

45ヶ月

住宅ローンの審査を考慮して早めに動く

住宅ローンは申込時に行われる仮審査と、着工前に行われる本審査の2つがあり、本審査は特に時間がかかります。 

これは仮審査が、金融機関が最低限の情報から申込人の収入や、返済能力をスピーディに判断することを目的としているのに対し、本審査は保証会社がより多くの資料から、本当に融資をしても大丈夫か改めて慎重に判断をする必要があるためです。 

審査期間の目安は、仮審査が3日~1週間、本審査は23週間程度となっています。審査の結果が出ないので次のステップに進めないということを避けるために、住宅ローンの審査は早めに申し込みましょう。 

建てたい住宅のイメージを家族で共有する

建てたい住宅のイメージを家族で共有しておかないと、勝手に自分一人で進めた結果、ある日家族から仕様について反対され、再度打ち合わせをすることになりかねません。何度も打ち合わせを繰り返せば、その分着工は遅れます。 

打ち合わせが終わるたびに、注文住宅のイメージは家族で共有しておくことをおすすめします。 

注文住宅の費用を支払う流れ

注文住宅は費用を34回に分けて支払います。建築会社によって割合や支払回数が異なりますが、イメージとしては工事請負契約締結時に建物代金の5.010.0%、着工時に建物代金の30.0%、建物の骨組みが完成したときに建物代金の30.040.0%、引き渡し時に建物代金の30.0%のような支払スケジュールになります。 

支払スケジュールを理解して、あわてることがないよう準備しておきましょう。 

まとめ

注文住宅は自分が希望する仕様の住宅が建てられますが、手順を理解して段取りよく進めていかないと引き渡しが大きく遅れてしまう可能性があります。

少しでも前倒しで理想の住宅で暮らせるように、今回紹介した注文住宅を建てるまでの8つのステップを役立ててください。 

注文住宅に住みたいけれど自分だけで進められるか不安な方は、ANAの住まいで実施している住宅購入に関する無料相談の利用もおすすめです。

 

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