自宅のリフォーム工事によって税金控除が受けられることをご存知ですか?古くなった自宅や相続により譲り受けた家をリフォームする際、該当する減税制度に申請することで、控除や軽減によって税金が安くなる可能性があります。 

この記事では、リフォームで使える減税制度や対象工事について詳しく解説します。最後まで読めば、リフォーム減税制度を受けるとどのくらい節税できるか把握できますので、ぜひ参考にして減税を受けるために手続きを行いましょう。

リフォームはどの税金が控除されて減税になる?

リフォーム工事を行った際、控除によって節税につながる場合があります。多くのケースで減税を受けられる可能性が高いのは、以下3つの税金です。

  • 所得税
  • 固定資産税
  • 贈与税 

それぞれの税金がどのような控除を受けられるか、詳しく解説していきます。

所得税

所得税の控除は、主に「リフォーム促進税制」と「住宅ローン控除」の2つに分けられます。

リフォーム促進税制

リフォーム促進税制は、リフォームローンの利用にかかわらず申請できる控除制度です。リフォームローンを組まず、自己資金で工事を行う方だけでなく、10年未満のリフォームローンを組む場合でも利用できます。また、確定申告によって控除が受けられるため、会社員でも利用可能です。 

リフォーム促進税制による所得税の節税効果をシミュレーションしてみましょう。年収500万円の会社員の所得額は(基礎控除のみ適用の場合) 476,500円です。 

1,000万円のリフォーム工事を行った場合、対象となるリフォーム工事の種類によって6062.5万円の控除が受けられます。控除額が62.5万円だった場合の所得税額は351,500円で、リフォーム工事による所得税の差額は125,000円となります。

住宅ローン減税

住宅ローン減税は、返済期間が10年以上のリフォームローンを組んで行う、一定要件を満たしたリフォーム工事に適用される減税制度です。 

年収500万円の方が1,000万円のリフォームローンを組んだ場合の控除額(補助金利用なし)は、7万円です。控除後の所得税額は462,500円なので、差額は14,000円となります。 

ただ、住宅ローン減税ではリフォーム後に住み始めた年から10年の間、毎年控除を受けられます。適用条件など詳しくはのちほど解説します。

固定資産税

「固定資産税」は、保有する土地や建物などの固定資産に課される税金です。適用要件を満たすリフォーム工事を行った場合、各自治体に申告することで、建物にかかる固定資産税の減額を受けられます。減税の対象となる工事と軽減額は、以下のように決められています。

  • 耐震リフォーム:固定資産税額の2分の1
  • ・バリアフリーリフォームおよび省エネリフォーム:固定資産税額の3分の1
  • ・長期優良住宅化リフォーム:固定資産税額の3分の2 

なお、工事完了から3か月以内に申告する必要があります。固定資産税が分からない場合、毎年の「固定資産税納税通知書」で確認できます。

リフォーム資金の贈与税

贈与税は、個人として譲り受けた現金などの贈与について課される税金です。2023年時点では、110万円未満の贈与は非課税ですが、リフォームや新築のための住宅取得等資金を贈与で受けた場合は、以下の範囲で贈与税が非課税となります。

  • ・耐震・省エネ・バリアフリーリフォーム:1,000万円まで
  • ・上記以外:500万円まで 

申告期間は、贈与を受けた年の翌年315日までです。

リフォームで使える7つの減税制度

リフォームによる3つの節税対策を見てきましたが、実際にどの程度税金が安くなるかは利用する減税制度によって変わります。ここでは、リフォームで使える7つの減税制度を紹介します。各制度の併用については、以下の表にまとめました。

 

 

所得税

固定資産税

 

 

住宅ローン

耐震

バリアフリー

省エネ

同居対応

長期優良住宅

耐震

バリアフリー

省エネ

長期優良住宅

所得税

住宅ローン

×

×

×

×

耐震

×

バリアフリー

×

省エネ

×

×

同居対応

×

長期優良住宅

×

×

×

固定資産税

耐震

×

×

×

バリアフリー

×

×

省エネ

×

×

長期優良住宅

×

×

×

住宅ローン減税

「住宅ローン減税」は、10年以上のローンを組んでリフォームを行う際に利用できる減税制度です。控除金額は、年末時点でのローン残高から補助金などを差し引いた分の0.7%(上限14万円/年)と決まっており、最大10年間に渡って減税が受けられます。

住宅リフォーム減税を受けるためには、入居の翌年に確定申告が必要です。ただし、会社員の場合、2年目以降は年末調整で控除を受けられます。

適用条件

  • ・対象となる工事:耐震リフォーム、バリアフリーリフォーム、省エネリフォーム、もしくは大規模な修繕などのいずれか
  • ・工事完了後6か月以内に居住を開始する自宅のリフォーム工事
  • ・標準的な工事費用相当額から補助金などを差し引いた金額が100万円超
  • ・工事後の床面積は50㎡以上
  • ・申請者の合計所得額は2,000万円以下 など

耐震改修に関する特例措置

「耐震改修に関する特例措置」は、現行の耐震基準に満たない住宅で耐震リフォーム工事を行い、一定の要件を満たした場合、所得税の控除や固定資産税の減額措置を受けられる特例です。 

所得税は最大62.5万円の控除が受けられ、固定資産税は2分の1を軽減する措置が受けられます。建物の建築時期や改修後の床面積、工事箇所などによって控除金額が変わります。なお、適用期限は20231231日である点に注意が必要です。

適用条件

  • ・現行の耐震基準に適合する耐震改修工事であること
  • ・申請者本人が居住するための住宅における工事 など

省エネ改修に関する特例措置

「省エネ改修に関する特例措置」は、住宅の省エネ性能を上げるためのリフォーム工事を行った場合、所得税の控除もしくは固定資産税の軽減が受けられる制度です。適用期限は20231231日までです。 

対象工事に加えて、太陽光発電設備を設置すると控除対象限度額が100万円上がります。東京都では、2025年度より新築住宅への太陽光パネルの設置が義務化されていますので注意しましょう。

適用条件

  • ・対象となる工事:窓の断熱工事、もしくはそれと同時にほかの省エネ性能向上工事を行った場合
  • 申請者本人が居住する住宅であること
  • 省エネリフォーム後の家屋の床面積(登記簿表示)が50㎡以上
  • 工事完了後6か月以内に居住開始すること など

バリアフリー改修に関する特例措置

「バリアフリー改修に関する特例措置」は、高齢者や要介護者を含めた家族が暮らしやすい住まいを実現するためのリフォーム工事の減税制度です。適用期限は20231231日で、工事内容などの条件を満たした場合、最大60万円の所得税控除、3分の1の固定資産税の軽減が受けられます。

適用条件

  • ・対象となる工事:通路等の拡幅、階段の勾配の緩和、浴室改良、便所改良、手すりの取付け、段差の解消、出入口の戸の改良、滑りにくい床材料への取替えのいずれか
  • ・次の14のいずれかが自ら所有、居住する住宅:1. 50歳以上、2. 要介護または要支援認定者、3. 障がい者、4. 65歳以上の親族または2もしくは3に該当する親族のいずれかと同居している者
  • ・次の13のいずれかが居住する住宅:1. 65歳以上、2.要介護または要支援認定者、3.障がい者
  • ・標準的な工事費用相当額から補助金などを引いた額が50万円超 など

同居対応改修に関する特例措置

「同居対応改修に関する特例措置」は、二世帯や三世帯など多世帯住宅へリフォームする際に受けられる減税制度です。適用期限は20231231日までで、最大62.5万円の所得税控除が受けられます。

適用条件

  • ・対象となる工事:調理室の増設、浴室の増設、便所の増設、玄関の増設
  • ・改修工事後、居住部分に調理室、浴室、便所または玄関いずれか2以上の室がそれぞれ複数あること など

長期優良住宅化リフォームに関する特例措置

「長期優良住宅化リフォームに関する特例措置」は、住宅の耐久性を向上させるリフォーム工事を行い「長期優良住宅(増改築)認定」を取得した場合に受けられる減税制度です。耐震改修または省エネ化改修と同時に、住宅の土台の防腐対策などの耐久性向上工事をした場合に適用されます。適用期限は20231231日です。

適用条件

  • ・対象となる工事:小屋裏の換気性を高める工事、小屋裏の状態を確認するための点検口を天井等に取り付ける工事 など
  • ・増改築による長期優良住宅の認定を受けていること など

住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置

「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」とは、住宅の増改築やマンションにおけるリフォーム工事のために、親や祖父母からの資金の贈与を受けた場合に申請できる減税制度です。

適用条件

  • ・住宅の新築・取得・増改築などのための金銭贈与に限る
  • ・直系尊属(父母や祖父母など)からの贈与であること
  • ・贈与を受けた翌年315日までにリフォームを施工すること
  • ・非課税枠の上限:贈与を受けた額のうち500万円~1,000万円 など

減税制度の対象となるリフォーム工事とは?

減税を受けるためには、対象となるリフォーム工事を行う必要があります。ここでは、リフォーム減税の対象となる以下5つのリフォーム工事について解説します。

  • ・耐震工事
  • ・バリアフリー
  • ・省エネ
  • ・同居対応
  • ・長期優良住宅

耐震リフォーム

耐震リフォームでは、建物の基礎や壁、屋根などに、現行の耐震基準に適合するリフォーム工事を行った際に、減税制度が適用されます。木造住宅とマンションそれぞれで規定された方法で、基準を満たしていると確認できることが条件です。

バリアフリーリフォーム

バリアフリーリフォームで減税制度の対象となるのは、以下8つの工事です。

  • ・通路等の拡幅
  • ・階段の勾配の緩和
  • ・浴室改良
  • ・段差の解消
  • ・便所改良
  • ・手すりの取付け
  • ・出入口の戸の改良
  • ・滑りにくい床材料への取替え

引用:住宅リフォームの支援制度(住宅リフォーム推進協議会) 

ただし、減税制度を利用するためには、規定されている居住者の要件も同時に満たしている必要があります。

省エネリフォーム

省エネリフォームでは、窓の断熱工事、またはそれと同時に以下のいずれかの工事を行うことが減税制度の条件です。

  • 床の断熱工事
  • ・天井の断熱工事
  • ・壁の断熱工事
  • ・太陽光発電設備設置工事
  • ・高効率空調機設置工事
  • ・高効率給湯器設置工事
  • 太陽熱利用システム設置工事

引用:住宅リフォームの支援制度(住宅リフォーム推進協議会)

同居対応リフォーム

同居対応リフォームは、二世帯住宅または三世帯住宅とするための以下のリフォーム工事を指します。

  • ・調理室(キッチン)の増設
  • ・浴室の増設
  • ・便所の増設
  • ・玄関の増設

引用:住宅リフォームの支援制度(住宅リフォーム推進協議会)

長期優良住宅化リフォーム

長期優良住宅化リフォームは、以下のようなリフォーム工事が該当しますが、木造や鉄筋コンクリート造など住宅の種類によっても変わります。

  • ・小屋裏の換気性を高める工事
  • ・小屋裏の状態を確認するための点検口を天井などに取り付ける工事
  • ・外壁を通気構造などとする工事
  • ・浴室または脱衣室の防水性を高める工事 
  • ・土台の防腐または防蟻のために行う工事
  • ・外壁の軸組等に防腐処理または防蟻処理をする工事 
  • ・床下の防湿性を高める工事
  • ・床下の状態を確認するための点検口を床に取り付ける工事 
  • ・雨どいを軒または外壁に取り付ける工事
  • ・地盤の防蟻のために行う工事 
  • ・給水管、給湯管または排水管の維持管理または更新の容易性を高める工事

引用:住宅リフォームの支援制度(住宅リフォーム推進協議会)

リフォーム減税制度に申請する流れ&必要書類

リフォーム減税制度の適用を受けるためには、対象のリフォーム工事を行ったあと、自分で申請しなければなりません。ここでは、リフォーム減税制度の申請に必要な確定申告と必要書類について解説します。

翌年に確定申告する

所得税控除を受けるためには、工事の翌年に確定申告を行う必要があります。確定申告では、1年間分の所得や控除について、必要書類をまとめて税務署へ提出します。会社員でも減税制度を受けるためには確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整にて適用されます。 

申告期間は例年、翌年の216日から315日で、期限までに提出しない場合ペナルティが課されることがあるので注意しましょう。

必要書類について

リフォーム減税の確定申告に必要な書類は、「控除額の計算明細書」「登記簿(全部事項証明書)」「増改築等工事証明書」などです。ただ、利用する制度ごとに提出書類は異なるため、各自治体に確認しておくと無難です。 

また、利用できる減税制度はリフォーム工事内容や箇所により変わるため、リフォーム会社に相談しましょう。

まとめ

リフォーム工事の支払い負担を軽減できる減税制度は、該当する場合に所得税や固定資産額が安くなる場合があります。対象となる工事や費用、建物、居住者などの要件が制度ごとに細かく決められており、申請には確定申告も必要なため、リフォーム会社に確認しながら手続きを行うことをおすすめします。 

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