住宅ローン控除を利用できれば、マイホームの購入にかかる費用負担を少しでも軽減することが可能です。

しかし、住宅ローン控除は期限が決まっており、利用したい方は期限や適用条件などを確認しておく必要があります。

この記事では、住宅ローン控除はいつまで受けられるか、適用条件、借入限度額と控除上限額、計算方法などについて解説します。住宅ローン控除の期限について知りたい方は是非参考にしてください。

住宅ローン控除はいつまで受けられる?

住宅ローン控除はいつ住宅を購入しても受けられるというわけではありません。住宅ローン控除は2021年で終了する予定でしたが、2022年および2024年の税制改正を経て、2025年12月31日まで延長されました。

今後も延長される可能性はありますが、必ず延長されるとは限らないため、住宅ローン控除を受けたい方は期限までに適用条件を満たす必要があります。

住宅ローン控除とは何か、税制改正で期限が延長された背景について詳しく見ていきましょう。

そもそも住宅ローン控除とは

住宅ローン控除とは、住宅ローンを契約してマイホームを購入する際の負担を軽減するために設けられた減税制度です。正式名称は住宅借入金等特別控除です。

住宅ローン控除を受けることができるのは住宅ローンを契約してマイホームを購入した全員ではありません。適用要件を満たした場合のみ年末の住宅ローンの借入残高に応じた金額の控除を受けられます。

住宅ローン控除の期限が延長された背景

2021年に終了する予定だった住宅ローン控除が延長された背景には、以下の2つの理由が挙げられます。

  • ●新型コロナウイルスの感染拡大による影響
  • ●カーボンニュートラルの実現

世界的に感染が拡大した新型コロナウイルスの影響を受けて、2019年の年末以降は景気が落ち込みました。期限を延長することでマイホームの需要を呼び込むことができれば落ち込んだ経済が回復するという観点から延長されました。

カーボンニュートラルとは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出を0にすることです。日本は2050年までに温室効果ガスの排出を0にすることを目標にしており、温室効果ガスの排出を抑える省エネ住宅または太陽光発電が設置された住宅を促進するという観点からも延長されました。

住宅ローン控除の適用条件

住宅ローン控除の適用条件は、住宅ローンの契約目的が以下のいずれなのかによって異なります。

  • ●新築住宅
  • ●中古住宅
  • ●リフォーム・増築の場合

それぞれの適用条件を詳しく解説していきます。

新築の場合

住宅ローンを契約して新築住宅を購入する場合における主な適用条件は以下の通りです。

  • ●新築住宅を取得した日から6か月以内に居住、適用を受ける各年の12月31日まで引き続き居住
  • ●住宅ローン控除を受ける年の年間合計所得金額が2,000万円以下
  • ●新築住宅の床面積が50㎡以上、床面積の1/2以上が居住用
  • ●10年以上にわたり住宅ローンを返済
  • ●居住した年を含む5年間で居住用財産の譲渡による長期譲渡所得の課税の特例などの適用を受けていない

※特例適用の場合は合計年間所得が1,000万円以下であれば床面積40㎡以上に床面積の条件が変更されます。

中古の場合

住宅ローンを契約して中古住宅を購入する場合における主な適用条件は以下の通りです。

  • ●新築住宅を取得した日から6か月以内に居住、適用を受ける各年の12月31日まで引き続き居住
  • ●住宅ローン控除を受ける年の年間合計所得金額が2,000万円以下
  • ●新築住宅の床面積が50㎡以上、床面積の1/2以上が居住用
  • ●10年以上にわたり住宅ローンを返済
  • ●居住した年を含む5年間で居住用財産の譲渡による長期譲渡所得の課税の特例などの適用を受けていない
  • ●新耐震基準に適合している(登記簿上の建築日が昭和57年以降)住宅

上記以外にも、建築後使用されたものであるといった要件を満たす必要があります。

リフォーム・増築の場合

住宅ローンを契約してリフォームや増築する場合は以下のいずれかの条件を満たせば控除を受けられます。

  • ●自己所有の住宅で、所有者自身が居住する住宅の増改築
  • ●増築・改築・建築基準法に規定する大規模な修繕、大規模な模様替え工事
  • ●マンションの場合、区分所有する部分の床、階段、壁の過半の修繕、模様替えする工事
  • ●住宅の居室、キッチン、浴室、トイレ、洗面所、納戸、玄関、廊下の床または壁の全部に行う修繕や模様替え
  • ●建築基準法施行令の構造強度などに関する規定、地震に対する安全性に関わる基準に適合させる工事
  • ●一定のバリアフリー工事(平成19年4月1日以後に居住)
  • ●一定の省エネ改装工事(平成20年4月1日以後に居住)
  • ●増改築などの日から6か月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続き居住
  • ●一定の期日から2か月を経過する日のいずれか遅い日までに増改築等の契約を締結
  • ●増改築後の家屋の床面積が50㎡以上、床面積の2分の1以上が所有者自身が居住する住宅用
  • ●特別控除を受ける年分の合計所得金額が3,000万円以下
  • ●工事費用が100万円超、うち2分の1以上の額が所有者自身の居住する住宅部分に使用
  • ●10年以上にわたり分割して返済する方法による借入金または債務

適用条件は複雑なので、適用されるか不安な方は不動産会社や工事会社に確認しましょう。

【住宅の種類別】借入限度額と控除上限額

住宅ローンを契約して2024年~2025年までに入居した場合の住宅種類別の借入限度額と控除上限額は以下の通りです。

【2024年〜2025年に入居した場合】

住宅の種類

借入限度額

控除額の上限

長期優良住宅・低炭素住宅

4,500万円

409.5万円

ZEH水準省エネ住宅

3,500万円

318.5万円

省エネ基準適合住宅

3,000万円

273万円

その他の住宅

0万円

0万円

既存住宅(長期優良住宅・低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅)

3,000万円

210万円

既存住宅(その他の住宅)

2,000万円

140万円

新築住宅・中古住宅ともに住宅の省エネ性能が高いほど借入限度額、控除額の上限が高く設定されています。また、新築住宅のその他の住宅については住宅ローン控除の対象外ですが、2023年に建築確認が完了している場合は、借入限度額2,000万円、控除額の上限140万円となります。

住宅ローン控除の計算方法

住宅ローン控除の理解を深めるためには、住宅ローン控除の計算方法を理解しておくことが大切です。

住宅ローン控除の控除額は、年末時点の借入残高×0.7%です。以下の条件でシミュレーションしてみましょう。

【シミュレーションの条件】

  • ●建物情報:新築住宅(長期優良住宅)
  • ●入居時期:2024年
  • ●年末時点の住宅ローン残高:3,000万円
  • ●従来の所得税:20万円
  • ●翌年の住民税:12万円

上記の条件では、住宅ローンの控除可能額は3,000万円×0.7%の21万円です。従来の所得税の20万円よりも控除可能額が大きいため、住宅ローン控除を利用することによって所得税は0円、源泉徴収されている場合は全額が返還されます。住民税からは控除しきれなかった1万円を控除できるため、控除後の住民税は11万円となります。住民税からは控除しきれなかった1万円を控除できるため、控除後の住民税は11万円となります。ただし、住民税から控除できる額には上限があるので注意が必要です。原則として課税所得金額の5%に相当する額(9万7,500円)、一定の場合は課税所得金額の7%相当額(13万6,500円)が上限となります。

2026年以降、住宅ローン控除はどうなる?

現行の住宅ローン控除は2025年12月31日までの入居が適用条件となっており、2026年以降がどうなるのかは現時点では何も分かりません。

しかし、2021年に住宅ローン控除の終了が予定されていたことに加え、延長されたといっても入居時期によって徐々に借入限度額・控除上限額が引き下げられていることを考えると、2026年以降の延長は厳しいと予想されます。

延長の可能性が完全に否定されるわけではありませんが、住宅ローン控除を受けて費用負担を抑えながらマイホームを購入したい方は、 2024年~2025年の入居を目指しましょう。

住宅ローン控除を最大限活用するには

住宅ローン控除を最大限活用するには、以下のポイントを押さえておくことが大切です。

  • ●控除額の大きい住宅を選ぶ
  • ●中古住宅の場合はリフォームも行う

それぞれのポイントを詳しく説明していきます。

控除額の大きい住宅を選ぶ

住宅の種類によって借入限度額、控除上限額が変化します。例えば、省エネ基準住宅やZEH水準省エネ住宅よりも長期優良・低炭素住宅を購入したほうが借入限度額または控除上限額が大きくなるため、住宅ローン控除を最大限活用することが可能です。

しかし、控除額は大きくなりますが、住宅性能が上昇することによって建築コストも大きくなるのが一般的です。そのため、安易に控除額の大きい住宅を選ぶのではなく、建築コストや維持コスト、住宅ローン控除による恩恵などから総合的に判断しましょう。

中古住宅の場合はリフォームも行う

適用条件を満たす中古住宅の場合、住宅ローン控除を受けることによって費用負担を軽減できます。さらに中古住宅を購入する際に適用条件を満たすリフォームを行った場合は、リフォームも住宅ローン控除を受けることによって費用負担を軽減できるため、リフォームも行うことをおすすめします。

しかし、中古住宅を購入してリフォームをすれば必ず両方で住宅ローン控除を受けられるわけではありません。対象となる物件やリフォームの種類が限られているため、事前にしっかり確認してから契約しましょう。

住宅ローン控除の申請に必要な書類

住宅ローン控除は適用条件を満たす住宅を購入、リフォームを実施すれば、自動的に適用されるわけではありません。住宅ローン控除を受けるには、必要書類を用意して手続きを行う必要があります。

住宅ローン控除の手続きにおける必要書類には、以下のようなものが挙げられます。

必要書類

入手先

備考

マイナンバーカードのコピー

市役所

未所持または通知カードのみの場合は免許証やパスポートといった本人確認書類のコピーが必要

住宅借入入金特別控除額の計算明細書

税務署
国税庁ホームページ

住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書

借入先の金融機関

複数の金融機関の場合には各機関の証明書が必要

家屋の登記事項証明書

登記所
法務局
法務省ホームページ

住宅の工事請負契約書のコピーまたは売買契約書のコピー

不動産会社
建築会社

購入、建築を請け負った不動産会社や建築会社から渡されたものを使用

土地の売買契約書のコピーおよび土地の登記事項証明書

登記所
法務局
不動産会社

土地の購入に係る住宅ローン控除を受ける場合のみ必要

必要書類は内容によって変化する、手配に時間がかかる場合があるため、事前にどのような書類が必要なのか確認し、早めに準備しましょう。

住宅ローン控除を申請する際の流れ

住宅ローン控除を申請する際は、確定申告を行わなくてはなりません。会社員であっても初年度については確定申告が必要なので、確定申告の流れを把握しておくことが大切です。なお、会社員の場合、2年目以降は会社の年末調整で処理するため、確定申告は必要ありません。なお、会社員の場合、2年目以降は会社の年末調整で処理するため、確定申告は必要ありません。確定申告の流れは以下の通りです。

  1. 1.必要な書類を集める
  2. 2.確定申告書に必要事項を記載・提出
  3. 3.還付金の振込

確定申告に必要な書類を集めて、確定申告書に必要事項を記載・提出します。還付金がある場合は、記載した銀行口座に1~2か月程度で振り込まれます。e-Taxによるオンライン申告であれば3週間程度へと短縮が可能です。

確定申告が初めての方は書類の準備や記入に時間がかかることも珍しくありません。余裕を持って準備を進めましょう。確定申告の必要書類、手続きの流れについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:住宅ローン控除に必要な確定申告とは?必要書類、手続きの流れについて解説

まとめ

住宅ローン控除を利用すれば、マイホームを購入する際の負担を軽減できます。しかし、住宅ローン控除は住宅ローンを契約してマイホームを購入すれば必ず適用されるわけではありません。

期限内に居住しなければならず、適用条件を満たさなくてはならないため、受けられるのはいつまでなのか、適用条件を事前に確認しておくことが大切です。

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