住宅ローンを契約する際に、商品の選択はもちろん金利についても悩む方が多いでしょう。住宅ローンは金額が大きく返済期間が長いため、金利の選択も重要なポイントです。

当記事では、住宅ローンの金利の中でも変動金利についてその概要や金利の推移傾向、上手に変動金利と付き合うコツを紹介します。変動金利に対する正しい知識をつけましょう。

住宅ローンの金利は2種類

住宅ローンの金利は複数ありますが、中でも固定金利と変動金利は必ず知っておきたい種類です。ここでは住宅ローンの金利の中でも特に多く利用される2つの金利を紹介します。各金利の特徴を踏まえた選択が大切です。

固定金利

ひとつ目の固定金利は一定の期間において金利が固定されているものを指します。固定金利はさらに分類でき、返済スタート時からおわりまで固定される「全期間固定金利」と、返済スタートから一定の期間のみ金利が固定される「当初固定金利」があります。

固定金利は金額が一定のため、支払い計画を立てやすいメリットがあります。一方で、固定期間が長期に渡る場合は適用金利が高いデメリットがあります。毎月一定額を返済したい方は固定金利がおすすめです。

変動金利

ふたつ目の変動金利は借入期間中の金利が一定期間で変動する金利タイプを指します。 一般的に半年に一度適用金利の見直しが行われます。変動金利のメリットは固定金利と比較して金利が低い点が挙げられます。しかし、世界情勢や政策により変動が大きいため、ある程度の知識を持っての選択がおすすめです。

変動金利の場合、社会情勢の影響が大きく反映されますが、何かが起こったからといってすぐに金利が上昇することはあまりないでしょう。激変緩和措置が定められていることから、段階的に引き上げられたり、事前に金融機関から通知が来たりします。

なお、住宅ローンとはどんな仕組み?では住宅ローン全般への理解を深められます。ぜひご覧ください。

金利が上がったり下がったりする理由

金利は金融機関にとっての収益にあてはまります。ローン商品を販売し、金利で収益を上げながらよりよいサービスの提供に努めています。この金利はお金を借りたい方が増える(お金の需要が高まる)と上昇する特徴を持ち、具体的には景気が好転する際や、物価が上昇しようとする際が該当します。

一方、金利が下がる原因には金融緩和が挙げられます。不景気の兆候が見られる際、人為的に金利を引き下げてお金の流通量を増やします。

銀行が健全に経営するためはもちろん、社会においてお金が適切にめぐるために金利が上がったり下がったりすると考えましょう。

【2023年最新】住宅ローン金利の推移を解説

ここからは2023年の金利情報を紹介します。金利の推移をさまざまな背景と絡めながら読み解くと理解が深まります。

2023年7月時点での金利情報

※ 主要都市銀行のHP等により集計した金利(中央値)を掲載。なお、変動金利は昭和59年以降、固定金利期間選択型(3年)の金利は平成7年以降、固定金利期間選択型(10年)の金利は平成9年以降のデータを掲載。
※ このグラフは過去の住宅ローン金利の推移を示したものであり、将来の金利動向を約束あるいは予測するものではありません。
出典:独立行政法人住宅金融支援機構「民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)

ここからは独立行政法人住宅金融支援機構の「民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)」を元に解説を進めます。

まず、具体的な金利については下記の数値が出ています(2023年7月時点)
固定金利期間選択型(10年):3.470%
固定金利期間選択型(3年):3.100%
変動金利型:2.475%

データを遡っていくと変動が激しい時期があるとわかります。次からは特に変動が目立つポイントで起こった出来事や政策を解説します。

2016年に固定金利が下落したのは日銀の「マイナス金利政策」

同データでは2016年に大きな下落が見られます。中でも10年型の固定金利が顕著です。2016年はマイナス金利政策が打ち出されたことから金利が低下しました。

民間銀行が日本銀行に預けている預金金利をマイナスにすることで、民間銀行が企業や個人に融資を行いお金をめぐらせようとします。その結果が住宅ローンの金利にも反映されました。

2022年12月20日には長期金利の変動幅上限が0.25%から0.50%に

2016年1月のマイナス金利政策をきっかけに、日本国内の金利は低水準が続いていました。その結果、国内の住宅ローンの各金利も低水準で推移し、住宅メーカーは低金利をアピールポイントとしてセールスを行っていました。

しかし、2022年12月20日に日銀金融政策決定会合において、長期金利(1年以上の負債における金利)の変動幅の上限が0.25%から0.50%へ引き上げられました。この引き上げは市場が想定していなかったタイミングでの動きだったため多くの金融関係者が驚き、市場金利も大きく上昇しました。

住宅ローンをはじめとした金利は政策によって大きく変動します。住宅ローンの契約を検討する際は、お金にまつわるニュースをチェックすることもおすすめです。

参考:日本銀行金融市場局「2022 年度の金融市場調節」

今後の金利動向はどうなる?予測してみた

ここからは今後の金利について考察します。未曾有の事態が頻発する近年、正確に金利を読み解くのは至難の業です。しかし、ただ流れに乗るだけでなくこれまでの傾向をヒントに推移を予測してみましょう。

変動金利の推移予測

変動金利は、日本銀行の政策金利の影響を受けやすい短期金利(1年未満の負債における金利)をもとに決まります。そのため、推移を予測するには政策金利の動向を追うことが大切です。

近年、諸外国で政策金利を引き上げる傾向が多く見られます。そのため、日本においてもアメリカを意識して政策金利が引き上げられた場合、住宅ローン金利も上昇する可能性があります。

参考:固定金利の推移予測

参考までに、固定金利の推移も予測してみます。独立行政法人住宅金融支援機構の「民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)」のデータでは、固定金利は低金利にありながらもわずかに上昇傾向が見られます。

同データでは固定金利を10年タイプと3年タイプにわけて表示されていますが、いずれもやや上昇傾向にあります。世界的に金利の上昇が続く限り今後も少しずつ金利が上昇する可能性があるでしょう。

知っておきたい!金利上昇に備えるコツ

ここからは住宅ローンの契約前に知っておきたい2つのポイントを紹介します。変動金利を選択する場合、金利上昇を前提に対策をすると上手な返済が行えます。

繰り上げ返済に注目する

住宅ローンは月々一定額を返済するのとは別に繰り上げ返済も可能です。一定金額とは別にまとまった金額を返済します。返済は50万円や100万円など金融機関によって異なる他、手数料も商品によってさまざまです。

繰り上げ返済のメリットは返済額がすべて元本のみに充てられる点です。元本が減ると支払い利息も連なって減るため総支払額を減らせます。金利上昇が囁かれ始めたタイミングで少しでも繰り上げ返済を済ませておくと、金利上昇のダメージを軽減できます。

固定金利で計画的な返済を行う

変動金利に不安を感じる際は固定金利の選択もおすすめです。変動金利は固定金利と比較して低い点が魅力的です。しかし、金利上昇時はキャッシュフローの見直しが必要だったりあせったりすることもあるでしょう。

固定金利においてもずっと固定ではなく、定期的な見直しがあるため社会情勢によってある程度の金利上昇は見込まれます。しかし、変動金利よりは変動の幅が小さいため、返済プランが立てやすいでしょう。金利の見直しがあるタイミングで固定金利への変更も選択肢のひとつです。

ただし、変更によりかえって金額が高くなるケースもあるため、金融機関への相談や専門家のアドバイスを受けましょう。ANAの住まいでも、無料で相談が可能です。ローンや家づくり全般にお悩みの際はぜひ一度ご相談ください。

まとめ

今回は金利の中でも変動金利に着目してその特徴や推移の傾向を解説しました。住宅ローンは長期にわたり支払うため、金利へ目を向けることが大切です。変動金利を選択する場合は社会情勢や国の政策に注目し、適宜繰り上げ返済を行ったり固定金利への変更を検討したり対策を打ちましょう。その際にご相談事項やご不明点等ございましたら、お気軽にANAの住まいにご相談ください。

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