住宅ローンを契約する際は、各種手数料が発生する場合があります。金利が低くても、手数料が高めに設定されている住宅ローンの場合、全体的な費用負担が大きくなるので注意が必要です。
この記事では、住宅ローンの手数料とは何なのか、いつ支払うのか、相場、手数料を抑えるポイント、注意点などについて解説します。住宅ローンの手数料について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
住宅ローンの手数料とは?
住宅ローンを契約する際は、各種手数料が発生する可能性があります。事務手数料の名称は金融機関ごとに異なり、事務手数料、融資事務手数料、取扱手数料などさまざまです。
金利が低く設定されていても手数料が高く設置されている場合は、住宅ローン契約に伴うコストが増えることで全体的な費用負担が大きくなるため、どのような手数料がかかるのかを事前に把握しておくことが大切です。
住宅ローンの手数料は大きく以下の2つに分類されます。
- ●定額型
- ●定率型
それぞれの手数料の仕組みを詳しく見ていきましょう。
定額型
定額型とは、住宅ローンの契約金額(借入金額)の大小に関係なく、一定に固定されている手数料です。定額型は契約金額が大きくなっても手数料が一定に設定されているので、一般的に契約金額が大きい方ほど恩恵を受けられる可能性が高いです。
しかし、定額型は定率型よりも住宅ローンの金利が高めに設定されている、別途保証料を請求される可能性があるので注意してください。
定率型
定率型とは、住宅ローンの契約金額(借入金額)に一定の手数料率を乗じて算出する手数料です。定率型は契約金額が大きくなるにつれて手数料の負担が増えるので、一般的に契約金額が小さい方ほど恩恵を受けられる可能性が高いです。
しかし、定率型は定額型よりも住宅ローンの金利が低く、保証料が不要になる傾向があります。一概にどちらが良いとは言い切れないため、手数料そのものの金額、金利、保証料の有無などから総合的に判断しましょう。
住宅ローンの手数料と保証料の違い
保証料とは、住宅ローンの契約者が保証会社との保証契約締結時に支払う費用です。保証契約とは、住宅ローンの契約者が万が一返済不能になった場合、一時的に返済を立て替えてくれる契約です。そのため、住宅ローンを提供する金融機関に支払う手数料とは別物なので、注意してください。
金融機関は、保証契約の締結を住宅ローンの契約条件としているケースも少なくありません。その理由は、連帯保証人を立てても融資を回収できるとは限らず、保証会社を利用したほうが確実に融資を回収できるためです。
保証会社が返済を立て替えたからといって、契約者の返済義務がなくなるわけではありません。金融機関から保証会社に返済先が変わるだけで、契約者は残債を保証会社に支払う必要があります。
住宅ローンの手数料はいつ払う?
住宅ローンを契約する際の基本的な流れは、以下の通りです。
- 1.住宅ローンを探す
- 2.仮審査を申し込む
- 3.仮審査結果の通知
- 4.本審査を申し込む
- 5.本審査結果の通知
- 6.住宅ローン契約(金銭消費貸借契約)を締結する
- 7.住宅ローンの実行
住宅ローンの手数料は、金融機関が融資を実行する際の事務手続きに対して支払われる費用です。そのため、融資が実行される日(上記7番)に支払う必要があります。
住宅ローンの返済は分割で長期に渡って少しずつ返済しますが、手数料の支払いは一括なので、資金不足で手数料を支払えないということがないように手数料を事前に用意しておきましょう。
(銀行によっては、上記手数料を含んでお借入れができる場合もございます。そのため、ご検討されている銀行へご確認いただくことをおすすめいたします。)
住宅ローンの手数料の相場
住宅ローンの手数料は定率型と定額型の2種類あり、各手数料の相場は以下の通りです。
- ●定率型:2.2%(税込)程度
- ●定額型:2万2,000円~11万円程度
手数料が定率型の住宅ローンを契約する際、契約金額に各金融機関が設定している手数料率を乗じて計算します。仮に3,000万円の住宅ローンを契約した場合は、手数料率が2.2%であれば「3,000万円×2.2%=66万円」の手数料を金融機関に支払わなくてはなりません。
定額型の2万2,000円~11万円程度と比べると大幅に費用負担が大きいため、手数料が定額型の住宅ローンを契約したいと考えた方も多いでしょう。
しかし、定額型の住宅ローンは金利が高めに設定されている、手数料と別に保証料が設定されている場合があるため、総合的にどちらが費用負担を軽減できるのかよく考えてから契約する必要があります。
住宅ローンの手数料を抑えるポイント
住宅ローンの手数料の負担が大きく、少しでも手数料を軽減したいと考えている方も多いのではないでしょうか。負担を軽減するには、複数の住宅ローンを比較検討することが欠かせません。
複数の住宅ローンを比較検討する理由は、住宅ローンの手数料設定が金融機関ごとに異なるためです。同じ定率型・定額型でも、手数料率や手数料の金額の設定が異なります。
例えば、手数料が定額型で3万円の金融機関と4万円の金融機関の場合、その他の条件が同じであれば3万円の金融機関で住宅ローンを申し込んだほうが手数料を抑えることができます。
比較検討する中で、最も手数料負担の小さい金融機関で住宅ローンを契約すれば、手数料を抑えられるでしょう。
住宅ローン手数料の注意点
住宅ローンの手数料の負担を軽減するためには、各金融機関の手数料を比較するだけでは不十分です。その理由は、手数料の負担が小さくても、保証料を支払う必要がある、金利が高く設定されている場合は、住宅ローン全体における費用負担が大きくなるためです。
仮に、手数料が定率型で2.2%の金融機関と手数料が定額型で3万円の金融機関で3,000万円の住宅ローンを契約したケースで考えてみましょう。定率型は66万円、定額型は3万円であるため、通常は定額型を選択したほうが手数料負担を抑えられます。
しかし、もし定額型の保証料が70万円だった場合はどうでしょうか。定率型は66万円、定額型は保証料を含めると73万円となるため、定額型のほうが定率型よりも費用負担が大きくなります。
手数料の大小だけでは全体的な費用負担が大きいかどうかを判断できないため、手数料の種類や金額、住宅ローンの契約金額や金利、保証料などから総合的に判断しましょう。
住宅ローンを組む際に手数料以外にかかる費用
住宅ローンを組む際は、手数料以外にも以下のような費用がかかります。
項目 |
費用の目安 |
概要 |
保証料 |
定額または金利上乗せ |
保証会社と保証契約を締結する際の費用 |
印紙税 |
1~2万円 |
住宅ローンの契約書に添付して納める税金 |
団信の保険料 |
10~12万円 |
住宅ローン専用の保険に加入する際の保険料 |
登録免許税 |
住宅ローン契約金額×0.4% |
登記手続きを行う際に納める税金 |
司法書士報酬 |
6~10万円 |
登記手続きを司法書士に依頼する際の報酬 |
保証料は数十万円または数百万円の定額を支払う形式と、住宅ローン金利に0.2%前後の金利を上乗せする形式が用いられるケースが多いです。印紙税は、住宅ローンの契約書に記載された金額によって変化します。
団信の保険料は、保障内容によって金額が異なります。特約を付帯して保障内容を充実させれば保険料が高くなるので注意してください。
登録免許税は、金融機関が不動産に抵当権を設定する際にかかります。自身で登記手続きを行えば司法書士報酬を減らせますが、金融機関から司法書士の利用を融資条件として義務付けられることが一般的です。
住宅ローンを借りる際の諸費用について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:住宅ローンを借りる際の諸費用の種類と住宅ローン手数料を抑える方法とは?
住宅ローンの手数料に関するよくある質問
住宅ローンの手数料の理解を深めるためにも、よくある質問と回答を確認しておきましょう。
Q.住宅ローンの手数料が払えないときはどうする?
住宅ローンの手数料は、住宅ローンの融資が実行される際に一括で支払わなくてはなりません。資金不足で手数料を支払えない場合、フリーローンや住宅ローンの諸費用専用の諸費用ローンを契約して補うという方法があります。ただし、金利設定が住宅ローンよりも高めなので、不足分のみを借りるといったように融資を少額に抑えることをおすすめします。
審査次第で、事務手数料等の諸費用分を住宅ローンと同金利で追可融資してくれるケースもあります。
Q.住宅ローンの手数料は住宅ローンに組み込むことはできる?
事務手数料を住宅ローンの中に組み込み、分割で支払える住宅ローンもあります。一括で支払わずに済むため、費用負担を軽減できるでしょう。ただし、全ての金融機関が対応しているわけではありません。そのため、事務手数料の負担が厳しい方は、手数料を住宅ローンに組み込めるかどうか確認してから契約しましょう。
まとめ
住宅は高額なので、なかなか購入に一歩を踏み出せないという方も多いでしょう。しかし、金利が低く、返済期間が長い住宅ローンを利用すれば、住宅購入のハードルを下げることができます。住宅ローンについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:住宅ローンとはどんな仕組み?種類や流れをわかりやすく解説!
住宅ローンは契約金額を分割で返済できますが、住宅ローンを契約する際の手数料やその他の諸費用は、原則一括で支払わなくてはなりません。
少しでも手数料を抑えるには、各金融機関の手数料の設定を比較することが重要です。しかし、手数料の大小だけでは全体的な費用負担の大きさまでは判断できません。そのため、手数料の種類や金額、住宅ローンの契約金額や金利、保証料などを踏まえながら総合的に判断しましょう。
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